【3860】 19歳の娘について、主治医に聞けないこと

Q: 私は50代の母、娘は19歳です。昨年、希望の大学に入学し、G.W.の間に布団から起き上がる事が出来なくなり、大学のカウンセリングルーム、同大学の大学病院の精神科の先生がルームに来て下さり、双極性障害2型と診断され、現在その先生の教え子の開業医の心療内科の先生に診て頂いています。

娘は真正面から自分の病気を受け止め、薬を飲み夜もだいたい決まった時間に休み、過ごしております。去年は殆ど大学を休み、今年は登校したり休んだりを繰り返しています。ラモトリギン200mg、ロゼレム錠8mg半錠、レクサプロ錠10mgを処方されています。

私は去年一年間、主治医から遺伝だといわれ、娘に申し訳なく、娘の前で駄目だとわかりつつ泣いてしまう事もあり、カウンセリングを一度受けましたが、今は本、ネットなどで色々読んで病気を理解して、向き合っていこうと思えるようになりつつあります。

先生への質問は (1)薬を一生飲み続けなければいけないのか、(2)副作用は大丈夫か、
(3)本当に治る事はないのか (4)薬を飲んでいても躁鬱の状態になるのか (5)治らないなら寛解とはどういう状態なのか (6)家族は娘に対してどう接するのが良いか

他にも色々あるのですが一番の心配は副作用です。

娘は自分の状況をしんどいながら冷静に主治医に説明出来ていると思います。私よりもっと大人だなと思います。娘と最初の3ヶ月は一緒に通院しましたが私が居ない方が主治医に話をしやすいようなので一人で通院しています。私はとどめを刺されそうで怖くて主治医に上記の質問が出来ません。

主治医は娘と同じ大学の先輩に当たり、大学を通う事に対して親身になってくれる良い先生だと思います。娘も大学は通い続けたいと思っているようです。

よろしくお願い致します。

 

林: 未成年のお子様が精神科に通院することになり、母親として大変ご心配されていることはお察し申し上げますが、まだまだこの質問者には母親としての冷静さが不足しており、そのことは質問内容に如実に現れていると思います。たとえば、副作用を心配されていること自体は母親の心配として自然であり理解できますが、

副作用は大丈夫か

という質問は、質問としての意味をなしていません。これは一体どういう回答を求めていらっしゃるのでしょうか。

私はとどめを刺されそうで怖くて主治医に上記の質問が出来ません

ということは、「副作用は大丈夫です」という回答を期待しておられるのでしょうか。私は決してそんないい加減な回答はしませんし、そもそも「副作用」は「大丈夫」とか「大丈夫でない」などと答えられる性質のものではありません。薬には副作用というデメリットがあり、同時に効果というメリットがあります。そしてメリットがデメリットより大きいときに、その薬を飲むべきであるという結論が導かれます。副作用についてはこれ以外の答えは存在しません。この認識をお持ちにならないと、「副作用は大丈夫です」と言って偽りの安心をさせてくれる医師を信頼したり、逆に「副作用は大丈夫ではありません」と言われてやっぱりそうかと納得して薬をやめさせたりなど、どちらにしても正しくない判断をし、結果的にお子様のためにならないことになりがちです。
この【3860】の質問者への最も重要で有効なアドバイスはたった一つで、それは「現実を直視してください」ということです。

私はとどめを刺されそうで怖くて主治医に上記の質問が出来ません

という姿勢では、母親として、お子様のためになることは何もできません。

良い現実も悪い現実も受け入れ、そのうえで母親として子どもためにできることをするという決意を固めてから、このメールの(1)から(5)を、主治医の先生に質問してください。

(2019.8.5.)

05. 8月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 薬の副作用, 躁うつ病 タグ: , |