【3781】私は統合失調症のふりをしていたんです

Q: 20代女性です。
いつも興味深くQ&Aを拝読しています。林先生にだけお話するのですが、実は私が統合失調症だと診断されているのは誤りなのです。と言いますのも、私は、統合失調症の人ならこう答えるだろうと考えながら問診を受け、たくさん検査や脳波を採ったときにも統合失調症らしく反応したのです。なぜそんな必要があるかと言われますと、なにか人より劣っているから、劣っている自分を責めないでほしいという免罪符が欲しかったというのです。そのように演技したため、統合失調症と診断され障害者認定を受けました。自殺未遂もパフォーマンスの一環として、2~3回行いました。
しかし今、日常がうまくいきつつあり、このような社会保険制度に対する不誠実を改めたいと考えるようになりました。けれど突然、統合失調症の患者が前述のような、このようなことを言い出したら当然信用されないでしょうね。医師やまわりの人に、実は演技だっただけだと的確に伝えるには、どのようにしたらいいのでしょうか。また私は、障害者手帳を見せて交通費を割り引いてもらったことがあるのですが、それについて返金したとしても罪に問われたりしますか?最近よく逮捕される恐怖に怯えて、毛が逆立つ思いをします。申し訳なく思っており、もちろん返金したいと思っています。こんな質問してすみません。最近、病院にかかってないので、市役所で相談したら通報されるかと思うと林先生にしか相談できません。

 

林:
私は、統合失調症の人ならこう答えるだろうと考えながら問診を受け、たくさん検査や脳波を採ったときにも統合失調症らしく反応したのです。

そういうことは不可能だと思います。
一回、あるいは少ない回数だけの短時間の診察なら、統合失調症の演技をして精神科医を騙すことは可能です。また、他の病気、特にうつ病などでは、かなり長期にわたって精神科医を騙すことは可能です。(【2800】精神科医が騙されるなんて思わなかったのですが
などもご参照ください)。けれども長期間にわたって統合失調症を演ずることはまず不可能です。また、たとえ一回だけの検査や問診でも、ある程度の時間をかければ、「統合失調症らしく」答えることはまず不可能で、かえって演技であることが明らかになるのが常です(【2417】頭の中で考えている事をそのまま(口調も)書き起こしてみました。統合失調症の傾向がありますでしょうか【3421】この文章の統合失調症らしさはどのような点でしょうかなどもご参照ください)。

この【3781】の質問者については、「統合失調症のふりをしていた」と信じているところが統合失調症の思考障害としての症状でしょう。このメールの他の部分からも、思考障害の存在が透けて見えます。

最近、病院にかかっていないので、

治療を中断したため、統合失調症が悪化しているのでしょう。なるべく早くまた病院を受診してください。

(2019.2.5.)

05. 2月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症