【3451】失声が半年続いています

Q: 20代・大学生・女性です。
私はX年9月、約1ヶ月間の教育実習中に突然声が出なくなり、過呼吸を起こして倒れてしまいました。声が出なくなった翌日にまず耳鼻科に行き、鼻からカメラを通して声帯を調べてもらい、声帯自体には異常が見つからなかったことから心因性失声症だろうと診断されました。耳鼻科を受診してから1週間後に、耳鼻科の先生の紹介で地元の精神科を受診し、1時間ほどカウンセリングを受け、そこでも心因性失声症と診断されました。精神科の先生には、原因は教育実習先の先生と人間的に合わず、実習中の緊張もあり睡眠時間2時間・食欲も無く食事はお昼に生徒と一緒に少量のご飯を食べるだけの生活が続き、過度なストレスがかかったことだろうと言われました。また、失声症は必ず治る病気ではあるが、明確な治療法というものは無く、治療に時間がかかるかもしれないということも説明されました。また、このときは失声症に加え、食欲不振と中途覚醒が酷く、夜中に何度も目を覚ます状況が続いており、そのことも精神科の先生に説明しました。
その日はカウンセリングや病気の説明を受け、診察が終わりました。そして1週間後にまた同じ精神科に診察を受けに行き、先生に「薬物療法が効果的な場合もある」と説明を受け、レクサプロ錠10mg(1日1回0.5錠×7日分)を処方されました。その日からレクサプロの服用を始めたのですが、食欲不振が酷くなり、中途覚醒と不眠も続いていました。1週間後に再び精神科を受診したときに、そのことを説明すると先生は「薬が合わなかったのだろう」と言い、エビリファイ散1%(1日1回0.15g×14日分) に処方が変わりました。それからは中途覚醒と不眠は続いていたものの食欲不振は徐々に回復したので、エビリファイの服用を続けました。
しかし、年があけてX+1年の1月始め頃から急に過眠と過食が酷くなり、朝は眠気と体の重さが酷くなかなか起きられず、お昼になってからやっと活動が始められるという状態になりました。過食も酷く、1月~2月までに5キロほど太りました。自分でもおかしいなと思い、1月に最初に精神科に通院したときに先生にこの状況を説明したところ、「やっぱりもう一度薬を変えてみようか」と言われ、またレクサプロ錠10mgを処方されました。それからはレクサプロの服用を始め、1週間おきに精神科に通院しましたが状況は良くならず、過眠が酷く、お昼過ぎてからやっと体を起こし、午後3時頃になってからやっと大学に通うという生活が続きました。通院したときにこの状況を先生に説明しても、「過眠は薬の副作用のようなものだから仕方がない」と言われ、診察のときも「最近どう?」と聞かれ10分もかからず診察が終わり、レクサプロを処方されるだけということが続き、薬を飲んでも状況が悪化するばかりで、先生の態度への不信感が募り、1月末には通院することをやめました。
それから3ヶ月が過ぎた現在も過眠と過食が続き、お昼頃に起きるのですが、その後も眠気が酷く、気がついたら午後3時~6時までまた眠ってしまうという状況が続いています。頑張って起きていようと思うのですが、眠気に勝てず、どうしても眠ってしまいます。生活習慣の乱れが原因だと思い、夜早めに(午後11時頃)眠っても状況は変わらず、逆に夜眠ろうとしてもなかなか眠れず、午前3時~5時頃になってようやく眠れるという日もあります。大学の春休みの課題等もあり、課題に手をつけたくても眠気に勝てず、期日ギリギリになってからようやく始めるという日が続き、とても辛いです。
今は大学は春休みですが、4月から授業が始まり、卒論の執筆や就活もあるので今の状況が続くのは非常にまずいと思っています。失声症も治っておらず、毎日声を出す練習はしているのですが、掠れた囁き声しか出せないので、会話が難しい状況です。
これは失声症以外に、何かほかの病気もあるのか、やはり以前の病院に通院し直し、レクサプロの服用を続けた方が良いのか、または他の精神科を受診すべきなのか、林先生のご意見を伺いたいです。よろしくお願いいたします。

 

林: まず、診断は心因性失声症(単に「失声」ということもあります。つまり「失声」と言えばそれは心因性を指しています)で間違いないでしょう。

X年9月、約1ヶ月間の教育実習中に突然声が出なくなり、

失声はストレスと密接に関係する症状です。この経過は、教育実習が質問者にとって強いストレスだったことを語っています。

精神科の先生には、原因は教育実習先の先生と人間的に合わず、実習中の緊張もあり睡眠時間2時間・食欲も無く食事はお昼に生徒と一緒に少量のご飯を食べるだけの生活が続き、過度なストレスがかかったことだろうと言われました。

その通りだと思います。

また、失声症は必ず治る病気ではあるが、明確な治療法というものは無く、治療に時間がかかるかもしれないということも説明されました。

その通りです。

先生に「薬物療法が効果的な場合もある」と説明を受け、

その通りで、そしてこの【3451】のケースでは、失声だけでなく他の症状を伴っていますので、薬物療法を併用することは適切と言えるでしょう。
しかしながら、

「過眠は薬の副作用のようなものだから仕方がない」と言われ、診察のときも「最近どう?」と聞かれ10分もかからず診察が終わり、レクサプロを処方されるだけということが続き、薬を飲んでも状況が悪化するばかりで、先生の態度への不信感が募り、1月末には通院することをやめました。

質問者の受けた治療は適切とは言えません。通院中断は理解できるところです。
けれども、

それから3ヶ月が過ぎた現在も過眠と過食が続き、

という現状では、やはり通院治療が必要と考えるべきです。

以前の病院に通院し直し、レクサプロの服用を続けた方が良いのか、または他の精神科を受診すべきなのか

治療としてレクサプロという選択が良いかどうかはわかりません。また、これまでの治療経過をみると、以前の病院の先生にまた通院しても改善はあまり期待できそうにありません。他の精神科の受診を検討していいと思います。

(2017.6.5.)

05. 6月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 病院を変えたい・変えるべきか, 精神科Q&A, 薬の副作用