【3432】Major Depressionは、うつ病ですか

Q: 一年に何度か先生のサイトを訪れてさせていただいています。 30代後半の女性です。アメリカに長い間住んでおり、もう日本語が上手に使えないことを先にお詫び申し上げます。
今回はアメリカで診断された病気または治し方が日本と同じであるのかどうかまたは林先生から見て正しかったのかどうかを知りたくメールいたしました。

診断名:major depression (うつ病ですか?)
薬:fluoxetine (日本語名わかりません。量はおぼえていません)を初期段階多めに出され、副作用がひどかったため少しずつ量を減らしていき、最終的にはcitalopram(日本語名わ
かりません)におちつきました。病名を診断されてから最初3週間は、週一回の通院を義務付けられました。

うつ病や精神病に理解を表さない家庭で育ったためと、まさか自分がそんなはずはないという思いで、医者の手助けが必要だと感じながらもなかなかその最初の一歩に踏み出すことができませんでしたが症状は以下になります。症状が始まったのはX年です。

趣味のピアノを引かなくなった
大好きだった水泳に行かなくなった
趣味の料理をしなくなった
仕事以外興味がなくなった
毎日とにかく眠りたかった
ふと気がつくとぼうっとしていて時間がたっていた
自分でいるのをやめたいと繰り返し思っていた
自分が消えてしまえばどんなにいいかと繰り返し考えていた
事故や病気で死ねればいいと繰り返し考えていた
車の助手席に乗るたび走行中ドアを開けて飛び出さなくては行けないと毎回思っていた。飛び出したかったが死ねなかったらお金がかかると思うとできなかった
5年間不眠症に悩まされ続けた(すぐ寝付くことができるが2時間程度で起きてしまう。起きたあと1,2時間何かしないと眠れず、眠りにつくとまた起きるの繰り返しで、行きつけの主治医から薬を出されており飲んだりのまなかったりを繰り返していた)
幼い息子二人にたいして無関心になってしまった(これに気づいたとき自分には助けが必要だと確信しました)
仕事以外の何事も考えたくなかった
パニック障害が起こるようになった
Anxiety attackが起こるようになった

最終的にはどうしても眠りつづけたく不眠症で出されていた薬を多量に服用し、病院で目を覚ましました。死にたいと思って飲んだのではなく起きたくないと思ってのんだのですがこれは自殺願望と同じですか?
病院で治療を受けたあと(胃を洗浄し、一日入院という香起きなかった)主治医ではなく精神科医の診断を受け上記の薬をいただきました。最初の3回の通院は精神科医、その後の1ヶ月に一度の通院は主治医、4ヶ月続けたあと、必要なとき通院に変わりました。

精神科医にはカウンセラーの元へ行くことを進められカウンセリングを始めました。

カウンセリングでは事の始まりは大好きだった祖父の死Disclosure(すみません日本語の表現分かりません)できていないことと、第一子を産んだとき軽いPPD(日本語分かりま
せん)のような症状(新乳児の子育てが何事もうまく行かず、自分はだめな母親だと思い余計に何も出来なくなってしまった。自分が乳児を触ると殺してしまうのではないかと思った。 だるくやる気もなく眠いのに眠れなかった。そのうち乳児に関心が持てなくなったなど2、3ヶ月ほど続いた)があったが治療をしなかったのが始まりだろうと言われました。最初の一ヶ月は自分のことを話すことができませんでした。話すのが嫌だったとか隠していたのではなく自分についてや自分の考えについて聞かれるとよく分からないとしか答えられないことが続きました。最終的には不満、愚痴を伝える会合のようになっていたような気がします。それでも医師に進められたとおり半年ほど休むことなく通いました。カウンセリングが役に立ったかどうかは全く判断できません。

薬も徐々に減らしていき今は全く薬を飲んでいません。不眠症も治りました。主治医も大丈夫だろうと言っています。薬はX+3年4月にやめました。薬をやめてからそろそろ2年になります。趣味も再開し、子供に対して無関心だった期間があったことが信じられないほどに回復いたしました。水泳や趣味も再開しました。

ただ、ここ数ヶ月、パニック障害やネガティブな思考が行ったり来たりするようになりました。
たまに消えてしまいたい、自分で無くなりたい、助手席から飛び降りたい、パニック障害などが起こりますが、前と比べると (前は毎日毎日繰り返しネガティブなことがあたまにあった) ごくたまにです。頻繁ではなくとも、また精神科医に相談したほうが良いのでしょうか? 普段このような思考はでてきません。後頭部から首にかけてのいち部を圧迫すると息がうまくできないように感じられパニック障害がおき、吐き気がする症状がたまに出ます。この症状は、主治医には、気にするな、触るなとだけいわれています。

あと、夫が覚えていることを多々思い出せません。病気、不眠症であった期間の記憶はかなりありません。病気の症状が出る遙か前のことでも思い出せないまたは覚えていないことがたくさんあります。具体的な例を出されても全くピンとこなく、夫がでっち上げているんではないかと疑いたくなるほどです。これは major dipressionのせいでしょうか?病気でなかった頃のこともあまりにもたくさんのことを覚えていないのはなぜでしょうか?大学で勉強したことや仕事で学んだこと、起こったことはきちんと覚えています。

アメリカではどうしても治療費が高くさっと行けるようなものではありません。主治医のほうが精神科医よりも行きやすく、今のところ精神科へは足を向けていません。

私の病気はうつ病だったのでしょうか?薬は日本語ではなんでしょう?同じ薬は日本でも処方可能ですか?医師によるとcitalopramは最近人気(主流?)があるということです。アメリカでは多くの人がdepressionで何らかの薬を飲んでいて、症状が軽くても薬をすぐもらえるのが現状です。私も本当は薬を飲んだりカウンセリングに通うほど大したことはなかったのではないでしょうか?
病院で目を覚ましてからの経緯は正しい経緯だったでしょうか?また、たくさんのことを思い出せないのはなぜでしょうか?また、ごくたまに出る症状は、薬を再開した方がいいほどのものでしょうか?

日本語がおかしかったら本当に申し訳ありません。日常で使うことが全くないのが10年以上続いているためこれが精一杯でした。最後まで読んでいただきありがとうございます。これからもたくさんの方々が林先生のサイトを訪れたことによって学んだり理解を得たり前進されたりすることを願っております。

 

林: あなたはうつ病だと思います。真のうつ病です。薬物療法が必要なうつ病です。現在、再発の兆しが見られています。薬を再開することをお勧めします。

診断名:major depression (うつ病ですか?)

Major depressionはアメリカ精神医学会が作成した診断基準であるDSM-5にある診断名で、うつ病もうつ病以外のものも含んでいます。Major depressionの公式の訳語は うつ病 (DSM-5)  です。括弧内の記載を含めたものが公式の訳語で、これは「DSM-5でいうところのうつ病」といった意味です。林の奥うつ病の聖杯もご参照ください。上に私が書いた 真のうつ病 という言葉の意味もそこに記してあります。

薬:fluoxetine (日本語名わかりません。量はおぼえていません)を初期段階多めに出され、副作用がひどかったため少しずつ量を減らしていき、最終的にはcitalopram(日本語名わかりません)におちつきました。

FluoxetineはProzac、citalopramはレクサプロです。Prozacは日本では正式には発売されていません。レクサプロは日本でも日常的に処方されている薬です。

症状は以下になります。

として書かれている内容は、真のうつ病によく一致するものです。典型的と言っていいでしょう。

死にたいと思って飲んだのではなく起きたくないと思ってのんだのですがこれは自殺願望と同じですか?

ほぼ同じです。

薬も徐々に減らしていき今は全く薬を飲んでいません。不眠症も治りました。主治医も大丈夫だろうと言っています。薬はX+3年4月にやめました。薬をやめてからそろそろ2年になります。趣味も再開し、子供に対して無関心だった期間があったことが信じられないほどに回復いたしました。水泳や趣味も再開しました。

うつ病が寛解状態になったと判断できます。
けれども

ただ、ここ数ヶ月、パニック障害やネガティブな思考が行ったり来たりするようになりました。
たまに消えてしまいたい、自分で無くなりたい、助手席から飛び降りたい、パニック障害などが起こりますが、前と比べると (前は毎日毎日繰り返しネガティブなことがあたまにあった) ごくたまにです。

再発の兆しです。真のうつ病の大きな特徴の一つは 周期性 です。すなわち、再発を繰り返すということです。

時間を遡って、

第一子を産んだとき軽いPPD(日本語分かりません)のような症状(新乳児の子育てが何事もうまく行かず、自分はだめな母親だと思い余計に何も出来なくなってしまった。自分が乳児を触ると殺してしまうのではないかと思った。 だるくやる気もなく眠いのに眠れなかった。そのうち乳児に関心が持てなくなったなど2、3ヶ月ほど続いた)があったが治療をしなかったのが始まりだろうと言われました。

PPDはPostpartum Depressionです。日本語では 産後うつ病 です。これは公式の病名ではないので厳密な基準はありませんが、「産後まもなく発症したうつ病」といった意味です。この【3432】のケースでは、このPPDがうつ病の第一回の病相であったと判断するのが妥当です。つまりX年に「症状が始まった」のは実は再発であり、それが寛解し、現在は3回目の病相が始まりかけているというのが、あなたのうつ病のこれまでの経過の要約ということになります。
話を現在に戻しますと、

普段このような思考はでてきません。後頭部から首にかけてのいち部を圧迫すると息がうまくできないように感じられパニック障害がおき、吐き気がする症状がたまに出ます。この症状は、主治医には、気にするな、触るなとだけいわれています。

その主治医の方針が正しいかどうかは難しいところです。今のあなたには明らかに再発の兆しが認められ、うつ病という病気が悪化したときの重篤さに照らせば(現にこのケースでは悪化時に自殺企図が見られています。このときは救命されましたが、次回に命が助かるという保証はありません)、薬を再開するのが正しいと考えられます。この主治医がうつ病の再発の兆しであると気づいていないのであればそもそもが誤診ですが、再発の兆しであると診断した上で、それでも何とか薬を再開しなくても収めることができると考えたのであれば、一概に誤った方針であるとは言えません。但し私ならこれは誤った方針であると判断します。このままでは危険だからです。

病院で目を覚ましてからの経緯は正しい経緯だったでしょうか?

これは残念ながら 経緯 という日本語を誤って使用されていると思います。そのため、何を質問されているのかわかりません。(次回は英語で質問していただいても構いません。あるいは、日本語に自信のない部分のみ英語を併記していただいても構いません)

たくさんのことを思い出せないのはなぜでしょうか?

これについてはよくわかりません。

ごくたまに出る症状は、薬を再開した方がいいほどのものでしょうか?

再開した方がいいと思います。その症状はうつ病再発の兆しだからです。つまり、症状が重い・軽いとは別の次元の判断です。

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A, 自殺 タグ: , |