【3373】ルールを質問するのはわがままですか
Q: 私は32歳女性です。
去年から今年にかけて、6回の入退院を繰り返しました。
診断名は反復性うつ病性障害とADHDで、ストラテラも処方されていました。
ADHDに関しては、私から強く主治医に知能検査を願い出たこともあり、結果、不注意さと短期記憶の苦手さ、耳からの情報の弱さ、動作性IQの低さなどから、正式に診断名をつけられました。
しかし、3ヶ月前に入院したときに、ストラテラについて話し合いをし、副用が強いことから、やめようとしたときに、「本当に発達障害なのだろうか?」と主治医に言われ、病室に帰ってから泣きました。
私は、幼い頃から、普通の人になろうと頑張って、無理が来てうつ病になったと思っています。でも、今の主治医は、幼いころの私の様子を母から聞いても、「にわかには信じがたい」といい、受け付けようとしませんでした。そこで、別の病院に移りたい。発達障害のわかる病院に移りたいと何度も訴えました。
その病院では、聴覚過敏の私に対し、「そのうち慣れるから。」「大丈夫、慣れるから。」とまったく取り合ってくれませんでした。
そのうち、急性期病棟にはいられなくなり、閉鎖病棟に移るときに、「ここよりは落ち着いてる患者さんも多いし、静かだから」と言われ、静かなんだな、と思い、移ってみると、デイルームの壁を挟んで隣りの部屋で、デイルームの音が聞こえるし、テレビが壁の反対側だったので、ずっとテレビの音が聞こえていました。
パニックを起こし、看護師さんにうったえましたが、なかなか改善されず、ひどいパニックを起こしてしまい、病棟移動した次の日に、保護室に連れていかれました。
私は、看護課長さんに、「ここ(保護室)でのルールは何ですか?」と聞いたのですが、「ここでは静かに過ごし、早く外に出るのがルールですよ。」と的外れなことを言われました。検温が終わったら、洗面をするとか、あとからルールを知りましたが、もっと早く教えて欲しかったです。一時間に一回見回りが来るというルールも知らなかったので、ずっと叫んだり、ドアをたたいたりしなければなりませんでした。
何も知らされないまま、何もルールが分からないまま、知らないところに閉じ込められた恐怖は今でも時々思い出し、泣きそうになります。
担当看護師さんがいい人で、「保護室に入ったら、一日一回診察しなきゃいけないから。法律で決まってるから、大丈夫だよ。」と言ってくれましたが、一週間、保護室に居て、診察は二回でした。
結局、母と主治医で話し合い、発達障害専門医にかかったほうがいいだろう。 という話になったと、あとから聞かされました。保護室を出た時も、部屋が空いていないという理由で、酷い独語や感情の波がある人の部屋に入れられ、どんどん、エネルギーが吸い取られていくように感じました。
ちなみに、前回の入院時に、その部屋だったのですが、二日でネを上げ、部屋を変えてもらった経緯もあるのですが、また同じ部屋に入れられました。
私は、何とか、看護師さんの力や、ケースワーカーさんの力を借りながら、退院することができたのですが、正直もう二度とこの病院には入院したくありません。
そこで質問なのですが、
・聴覚過敏でパニックを起こしたときに、配慮を求めるのはわがままでしょう
か?
・ルールを質問するのはわがままでしょうか?
発達障害専門医にかかっても、同じような繰り返しだと、とてもつらいです。長くなってしまいすみません。
林: おそらくあなたは発達障害(自閉スペクトラム症)であると思います。「おそらく・・・思います」というのは、メールからは確定できないという一般論を言っているのではなく、このメールは文章の論理が乱れていて事実関係に不明な点が多いことによります。しかしその文章の論理の乱れ自体が発達障害によるという解釈がおそらく正しいのだと思います。
ということで、あなたが発達障害であることを前提として回答します。
・聴覚過敏でパニックを起こしたときに、配慮を求めるのはわがままでしょう
か?
聴覚過敏は発達障害の症状で、したがって聴覚過敏でパニックを起こすのも発達障害の症状です。ですからわがままとは違います。
入院中に
その病院では、聴覚過敏の私に対し、「そのうち慣れるから。」「大丈夫、慣れるから。」とまったく取り合ってくれませんでした。
とのこと、その病院は発達障害の症状に全く理解がなかったと考えられます。
但し、ご質問の「聴覚過敏でパニックを起こしたときに、配慮を求めるのはわがままでしょう か? 」に戻りますと、端的な答は上記の通り「わがままではありません」ですが、現実問題としては、「どの程度の配慮を求めるか」にもよります。病気の症状について周囲が、特に医療機関であればなおさら、配慮するのは全く当然ですが、しかし無限の配慮は不可能であることも全く当然です。上記病院の対応はいかにも配慮に欠けると言えますが、たとえ理解がある所でも、無限の配慮を期待することは不合理です。
・ ルールを質問するのはわがままでしょうか?
わがままでありません。但しこのメールに書かれているルールについての出来事には、発達障害特有のコミュニケーションの障害が映し出されているように思います。つまり「ルール」という言葉で意味される内容・範囲についての食い違いです。このような問題はこの質問者の様々な対人関係場面に現れていると推定できます。
(先に私が「配慮」についてまわりくどい付記をしたのはそれを考慮してのことです)
発達障害専門医にかかっても、同じような繰り返しだと、とてもつらいです。
入院した病院でのあなたのつらい体験は、病院側が発達障害について理解が乏しかったことによる面が大きいと思われますので、発達障害専門の先生にかかれば「同じような繰り返し」ということはないでしょう。適切な対応・治療を受ければ、あなたのうつ病(それはうつ病というより発達障害による二次的な抑うつである可能性が非常に高いです)も改善に向かうことが期待できます。
(2017.2.5.)