【2986】統合失調症の誤診の可能性を主治医に言ってもいいのでしょうか

Q: 26歳、女性です。
思春期に統合失調症と診断され、現在は就寝前にクエチアピン75mgを服用しています。
最近、自分は統合失調症ではなく、なんらかの発達障害なのでは?と思い始めました。

そもそもの経緯は、中学生の時にパニック障害を発症したのが発端です。
パニック障害の治療の為、心療内科に通い始めました。

その後、失恋により、リストカットをしたり、大量服薬を3〜4回程しました。また、ある奇抜な歌手に熱中し影響を受け、その歌詞を真似した詩などをノートにたくさん書いたり、話す言葉の中にもその歌手の歌詞を引用していました。
死をテーマにした絵なども描いていました。
また、服装も奇抜になってゆき、ロリータファッションや所謂”原宿系”の、かなり個性的なチンドン屋のような服装をしていました。
母親との折り合いが悪く、事あるごとに反発していました。
幻聴や幻覚はありませんでしたが、人に嫌われているかもしれないと思う事はありました。
きっかけの失恋により、自己否定の気持ちが強く、いつも「死にたい」などと漏らしていました。周囲の気を引こうとしていたのは間違いありません。
また、中学生の頃からPMSの症状があり、生理前になるとイライラや絶望感、家族への八つ当たりがありました。
このような経緯からだと思うのですが、いつの間にか統合失調症という診断を受けました。
当時はその診断名を誇らしく思っていた記憶があります。
健康な人とは違うナイーブな自分という物に価値があるように感じていたからです。

パニック障害の症状はいつのまにか消失していました。
リストカットや大量服薬は数年間続いていましたが、やめたきっかけがあります。
高校に入学したら、私と同じようにいつも「死にたい」などと言ってリストカットや大量服薬する友人ができたのですが、彼女らと交流している内に、「こういうのダサいな」と思ったからです。
急に恥ずかしくなってパタリとやめました。

そこから徐々に精神の不安定さが落ち着き、高校卒業後はずっと正社員として働いています。

以上が私の統合失調症に関する経緯です。
そして、なぜ私が自身を発達障害と疑っているのかを説明します。

子供の頃は授業中に静かにできなかったり、お友達を理由もなく叩いてしまうような子供でした。
中学生の頃まで、授業に集中できなかったり無駄話がやめられませんでした。
それを悪いこととも思っていませんでした。酷い時には授業中におもちゃで遊んでいました。
ただし、テストの成績だけは学年でもトップの方でした。
忘れ物は多い方だったと思います。
友人にスカートめくりなどの幼稚な嫌がらせをしつこくしたり、友人が泣くまでしつこくからかったりしていました。
また、20歳をすぎる頃まで、空気が読めなかったり、人の気分を悪くするような事を悪気なく言ってしまっていたように思います。
初対面の人に「変な名前だね、本名なの?」と言ってしまうなどです。
かなり、たくさんの人を傷つけてきたと思います。
このような事が時々フラッシュバックして、「あああ」と声が出る程、後悔と罪悪感に苛まれます。
同級生には合わせる顔がありません。
学生の頃は、急に仲間外れにされたり、友人に避けられる事があったのですが、私が原因だったと、今でははっきり分かります。

また、発達障害の人は親も少し変わっている場合があると聞きましたが、うちの親は確かに少し変わっています。
父親も母親も友人がほぼゼロです。
父は稀に仕事以外で友人ができても、数か月後には必ず疎遠になってしまうようです。会社では社内の様々な部署を転々としているようです。
母親は専業主婦で、友人は完全にゼロ。かつてはパートをしていましたが、必ず短期間で「いじめられた」などと言って退職していました。
また、両親揃って、他人の容姿などを悪気なく指摘してしまうようなところがあります。
母親は町内の婦人会での割り勘の方法が気に入らないなどという些細な理由で、近所の方と縁を切ってしまうような所があります。
中学生の頃まで、父親には日常的に殴られていました。

かいつまんで大まかに説明したつもりなのですが、かなり長文になってしまい申し訳ありません。
私は本当に統合失調症だったのでしょうか。
自分では、思春期は境界性パーソナリティ障害で、根本は発達障害のような気がしています。

現在は、言ってはいけない事を判断したり、場の空気を読むことができていて、特に困っている症状はないのですが、(完璧な人間ではないですが…)
このままの診断名で一生を過ごす事に何か問題はあるでしょうか。
病名が病名だけに、結婚や出産は諦めています。

また、このような経緯を主治医に説明したら、統合失調症が悪化したと思われてしまうでしょうか。
ちなみに統合失調症の診断を下したのは、現在の主治医ではありません。

乱文で申し訳ありませんが、回答いただけますと、本当に助かります。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

林:

私は本当に統合失調症だったのでしょうか。

わかりません。

以上が私の統合失調症に関する経緯です。

この一文の前までに書かれている内容からは、統合失調症と診断する根拠は見えません。

このような経緯からだと思うのですが、いつの間にか統合失調症という診断を受けました。

このメールに書かれていない何らかの重要な症状があったと思われ、そうでなければ統合失調症という診断はつかないでしょう。本人が「いつの間にか統合失調症という診断を受けました」と思っていても、実際には統合失調症の明確な症状があったというのはよくあることです。但しこのケースがそれにあたるかどうかはわかりません。

そして、なぜ私が自身を発達障害と疑っているのかを説明します。

その説明内容は、確かに発達障害の特徴に一致していますが、これだけで発達障害と診断することはできません。発達障害の特徴を持っている、しかし実際には発達障害とはいえない人はたくさん存在するからです。

ちなみに統合失調症の診断を下したのは、現在の主治医ではありません。

ご自分の診断について、現在の主治医によくお聞きすることをお勧めします。

このような経緯を主治医に説明したら、統合失調症が悪化したと思われてしまうでしょうか。

このメールに書かれている内容から、統合失調症が悪化したと思われることはありません。
一般的には、「自分は統合失調症ではないと思う」「自分の統合失調症は、もう治った」「自分の統合失調症という診断は、誤診だ」というようなことを言うのは、大部分が統合失調症の悪化によるものですが、この【2986】のケースはそれにはあたらないと思います。

(2015.6.5.)

05. 6月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 精神科Q&A, 統合失調症