【2680】うつ状態の診断書を出してきた部下、なぜ彼女だけに配慮をしなければならないのか、とても腹立たしい

Q: 32歳の女性部下についてのご相談です。うつ状態の診断書が提出されましたが、擬態うつ病と人格障害を疑っております。メールではありますが、擬態うつ病にあてはまるかを教えて頂けませんでしょうか。
 
診断書にどれぐらいの期間で治るのかなど詳細情報がなかったため、人事が再提出するように要請しました。たまにしかいかないから無理、もし行くなら平日になるが勤務時間とみとめて欲しい。また診断の費用も会社で払うべきと主張した。
再提出された診断書には、「うつ状態。但し業務遂行に差しさわりはない。但し、過度な残業は避けるべし」と記載されていた。
業務内容ですが、残業は殆どなく定時に帰れます。また、仕事内容もそれ程高度なものではありません。但し、専門性が高い部署ですが、彼女のみその分野の未経験者ではあります。
部下になった当初から、情緒不安定なところがあり、きつく注意をすると泣き出す、同情を買うような言い訳をする点が度々見受けられました。都度なだめながら、時に励まし叱りながらと業務にあたらせてきました。
・今回、上司である私に内緒で他部署への異動願をだしたのですが、希望が通らず引き続き私の部署に留まる事になりました。彼女の希望異動先の同僚に、なぜ彼女を受け入れなかったかを尋ねると、部員が足りているという物理的な話以外に論理が破綻している、嘘をつくから不信感をもったとの事でした。(注)出来ない事はやりたくないと主張するものの彼女の職務経験にないことを出来るか、今までやった事があるかと尋ねると明らかに嘘とわかるのに、出来ると回答していたそうです。
・普段仕事はそれなりに熱心にこなすのですが、新たな課題や違う業務を与えると断る、文句をいう、恩着せがましい態度になります。注意をすると、泣き出す、口ごたえをする態度がみられます。
・私がつけた年度評価を不服としており、何度も評価をあげて欲しいとメールをしてきます。評価理由を何度も説明しても、自分の態度は悪くないと上司である私を責めるといったあんばいです。
 
林先生は、擬態うつ病と思われますか?また、人格障害の気質は感じられますか?
私もほとほとほと疲れており、なぜ彼女のみ常に配慮をしなくてはいけないのか腹立たしさを感じています。しかし何かあると権利を振りかざすためうかつな事は出来ません。
よろしくお願い申し上げます。

 
林: 擬態うつ病でしょう。

人格障害の気質は感じられますか?

「人格障害の気質」は微妙な言葉です。
多少の性格の偏りがある人は膨大に存在し、その中で特に偏りが大きいケースを人格障害(パーソナリティ障害)とするのが通常の考え方です。(そうではなく人格障害は病気であるとする考え方もあります)
すると、「人格障害の気質」は、とても多くの人に「感じられる」ということになります。したがって

人格障害の気質は感じられますか?

という質問には、厳密には意味がないということになります。

しかし診断名にかかわるそうした事情をとりあえず棚上げし、この32歳の女性に何かの診断名をつけるとすれば、最も考えられるのは質問者ご指摘の通り、人格障害(パーソナリティ障害)です。そしてその根底には非常に未熟な性格があるといえそうです。

私もほとほとほと疲れており、なぜ彼女のみ常に配慮をしなくてはいけないのか腹立たしさを感じています。しかし何かあると権利を振りかざすためうかつな事は出来ません。

職場のルールに従って、粛々と対応されることが最善でしょう。

(2014.5.5.)

05. 5月 2014 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 擬態うつ病, 精神科Q&A