【2725】日本の精神科医療は何とかなりませんか

Q: 私は20代男性です。イギリスなどでは心理療法と精神科医の薬物療法の両方による連係プレイの治療を積極的に行っております。 イギリスなどの認知行動療法などを深く勉強するとどうしても日本の精神医療は精神科医の自己満足による既得権益にみえ、心理療法を軽視しすぎているように思えます。精神科の利益を考えると、患者に長期に薬物を投与して長引かせたほうが利益が大きいように思えます。 確かに定型な大うつ病、中核的な統合失調症、双極性障害㈵型などには薬物療法が効果的にききます。 しかし、非定型精神薬が大流行して多剤投与などが問題となっております。海外で実績のあげているいい薬もなぜかなかなか認可が下りません。 林先生の擬態うつ病も結局はパーソナリティの問題による不適応の抑鬱状態だと思います。当然、典型的な抗うつ薬は効くはずもありません。 そもそも薬物療法で何でもできるのなら、人格を薬物で自由にコントロールできるのかといいたくなります。 その精神科医と薬品業界のエゴの結果、社会福祉費が長期的に見ると増大して国の財政を圧迫しているように思えます。 日本の精神科医はいったい何がしたいのでしょうか。医師免許を持つと自由に選べますが、楽だから精神科を選んだという医師もいます。そういう方々が集団でタッグを組んで健全な精神医療の発展を妨げているように思えます。しかも、治るはずの人的資源を無駄に症状を長引かせて、生産性を下げているように思えます。医師ってそんなに偉いのでしょうか。

 

林:
イギリスなどでは心理療法と精神科医の薬物療法の両方による連係プレイの治療を積極的に行っております。

外国の情報を引き合いにだし、自国の状態を嘆くのは、医療に限らずあらゆる分野について、傍観者がしばしば行うことですが、その大部分は浅薄な行為です。イギリスの医療の実態を、質問者はおそらくごく表面的にしかご存知ないのだと思います。一般の精神医療に関しては、イギリスよりは日本のほうが確実に優れているというのが事実です。

 イギリスなどの認知行動療法などを深く勉強するとどうしても日本の精神医療は精神科医の自己満足による既得権益にみえ、心理療法を軽視しすぎているように思えます。

質問者の浅薄な知識に基づく浅薄な見解です。「深く勉強すると」と書かれていますが、とても深く勉強したとは思えません。

精神科の利益を考えると、患者に長期に薬物を投与して長引かせたほうが利益が大きいように思えます。

この指摘内容そのものは正しいです。

確かに定型な大うつ病、中核的な統合失調症、双極性障害Ⅰ型などには薬物療法が効果的にききます。

その通りです。しかし、質問文全体からみておそらく質問者は、薬の効果についても実質的な知識は持っていないと思われます。

しかし、非定型精神薬が大流行して多剤投与などが問題となっております。

その通りです。しかし、どこにでも書いてある情報です。

海外で実績のあげているいい薬もなぜかなかなか認可が下りません。

その通りです。しかし、「なぜか」とありますが、その理由をお考えになったか、お調べになったことがあるのでしょうか。認可がおりないことには理由があります。それは、必ずしも悪いことばかりとは限りません。

 林先生の擬態うつ病も結局はパーソナリティの問題による不適応の抑鬱状態だと思います。

浅薄な見解です。擬態うつ病について、この【2725】の質問者は自分ではお読みにならず、イメージ等に基づきいい加減な意見を述べていることは明らかです。(擬態うつ病の中には「パーソナリティの問題による不適応の抑鬱状態」が含まれていることは事実です。しかしそれは擬態うつ病の中のある一群にすぎません)

そもそも薬物療法で何でもできるのなら、人格を薬物で自由にコントロールできるのかといいたくなります。

ここまでの文章との論理的なつながりがありません。
(それはそうと、「人格を薬物で自由にコントロールできるのか」というのは意味深長な指摘で、将来そういうことが可能になるかもしれません。そして、実は現在の精神科薬物療法がそれを行っていることとどこが違うのかという問いも発生し得るはずです)

 その精神科医と薬品業界のエゴの結果、社会福祉費が長期的に見ると増大して国の財政を圧迫しているように思えます。

これは一面の真理です。ただし単純に何が善で何が悪かを論ずることができない問題で、これは サイコバブル社会 で論じてあります。

日本の精神科医はいったい何がしたいのでしょうか。

ここまでの論述の帰結として、「日本の精神科医」とひとくくりにするのは非論理的です。

医師免許を持つと自由に選べますが、楽だから精神科を選んだという医師もいます。

そういう人もいます。

そういう方々が集団でタッグを組んで健全な精神医療の発展を妨げているように思えます。

質問者の勝手な見解です。しかし、一面の真理ではあるかもしれません。

しかも、治るはずの人的資源を無駄に症状を長引かせて、生産性を下げているように思えます。

これは日本語になっていません。

医師ってそんなに偉いのでしょうか。

この結びの文章は、他の部分との論理的つながりがありません。

 

総合的にみて、このメールは野次馬の放言レベルを超えるものではありません。

(2014.7.5)

05. 7月 2014 by Hayashi
カテゴリー: サイコバブル社会, 精神科Q&A