【2529】私のせいで娘は躁うつ病と誤診されたのでしょうか
Q: 18歳の双極性障害疑いの娘をもつ50代母親です。娘は4ヶ月ほど前から精神科に通院しています。私自身が娘の違和感に気づいたのは、高校入学のころでした。高校進学前の中学のころはほとんど不登校であり、中学二年生にいたっては一度も学校に行っていません。中学三年のころに私がそんな娘を見兼ねて、転校させなんとか転校先の学校では勉強をするようになり高校にも合格しました。そんなあまりアウトドアではない娘が、いきなり毎日のようにボランティアに通いはじめました。そして高校の学級委員になりました。最初のウチはとても嬉しい気持ちもありました。しかし毎日ボランティアに行っていて、さほど時間もないはずの娘が学年で成績が一位になり高校の教師に懇談会で褒められました。どうやら睡眠時間をさいて勉強に明け暮れていたようです。このころから私は少し心配になってしまいました。それで、ボランティアの活動について聞いてみると、表面的な活動については答えるのですが、ボランティアの核心についた答えを答えることができないのです。それから少したつと、娘は学校のクラスのみんながバカすぎて嫌になると言いだしました。娘は1人で家で勉強するほうが、要領の悪いクラスメイトに邪魔されないですむといいはじめ次第に学校を休みがちになりました。しかし活力があるのか、それまでまったくなかった異性交遊をしはじめました。高校入学から7ヶ月すると娘は働きながら勉強をする!通信高校にかわる!と言って、私や夫の反対にまったく耳をかさずに退学しました。退学してから言った通りに通信高校に入学しました。見た目はまったくの別人となりいわゆる今時のギャルという感じに変わり、交友関係もまったく変わりました。それでも私は思春期であり反抗期なんだとさほど気にせずにいました。もっぱら出かけてばかりの娘になりました。しかし通信高校にはちゃんと通っているようでアルバイトもしているようなのであまり口出ししませんでしたがアルバイトもあまり長くは続かず、辞めてはバイトの貯金がなくなるまで引きこもるか遊び、またすぐバイトを見つけたとおもうと猛烈に働きだすのです。最初の3回ほどはバイトをはじめては辞める繰り返しに口出ししませんでした。しかし4回目のバイトを見つけてきた時にお願いだから自分のペースをもって働いてほしいといってもききいれませんでした。そんな毎日のなかで娘が17歳のときにいわゆる性交渉で感染する病気になりました。正しい治療をすれば治るとのことでひとまず安心しましたが、娘が相手がわからないと言うのです。泣きながら、人数が多くて誰にうつされたのかわからないと言いました。すべて好きになったために異性と関係を持ったのかと聞くと、ハッキリ真顔でぜんぜん好きじゃない人だよと。どうしてそのような行動にでたのかもわからないそうです。病気以来、娘は少し落ちついたように思えました。その後、一定の彼氏もつくり、安定したかに思えたのです。しかし甘かったです。娘がその後、警察に自殺未遂をしていたと補導されました。場所は家から一時間半はかかる警察署でした。どうやってこの土地まで来たのか聞いても娘はわからないの一点張りでした。その後、彼氏とは別れたことを聞き、別れた原因はすべて娘にあるということはしりました。また治ったはずの病気も再発しました。なぜ女の子が自分の体を傷つけるのかと問いただしてもわからないの一点張りでした。その後娘は撮影モデルをいきなりはじめたりしました。それを18歳になりやめたかと思うとキャバクラで週5日ではたらきはじめました。ちゃんと通信高校は行っていたため、娘は実労は週6であり、休みの日でさえ付き合いだからとお客さんと食事にいったりしていました。少し休みをいれて体を休めてほしいと言っても聞きいれませんでした。そうしてキャバクラの仕事が7ヶ月続いたころ、接客中に咳がとまらなくなるといった症状があらわれました。お客さんから離れると咳は止まるそうです。お店の方もあまりにもひどくなりあきらかにおかしいから病院に行けと言われ病院に行っても病気がわからずに、仕事は休みをもらっているからと、娘はキャバクラで貯めたお金をすべて化粧品やちぐはぐな洋服に使いはたしそうしてお金がなくなると家にいるぶん私をまくしたてたり責めたりしました。娘の言い分はとても的をえています。そうして私を説教して殴ります。そうしたあと娘はいきなりうつ状態になり、ベットから起き上がることができなくなりました。通信高校にもとても通える状況でなく、もちろんキャバクラも完全に辞めました。
そんな時に私は精神科を受診させました。私は娘の躁うつ病を疑いました。ですのでいわゆる躁状態と思われる上に書いた娘の15歳からの行動をふくめ精神科の医師に相談しました。すると薬が処方され現在はいろいろ試した結果、リーマス200、ソラナックス2錠、漢方の組みあわせになり娘のうつ状態は収まり、暴力もなくなりました。昔はたしかにおかしかったと認めるようになりました。心理検査も受けやっと次の診察で本診をいいますと言われました。しかし先日私が仕事から帰ると部屋は真っ暗で娘がベットの上でうずくまっていました。あわてて電気をつけるとテーブルに包丁が並べてありました。娘は自傷癖もあるのですがまた自傷行為をしてしまったのかとびっくりして娘に問いただすと夕方頃にインターホンがなり、のぞいてみると誰もいなかったためとても恐ろしく感じ、包丁を並べたそうです。もし不審人物があらわれたら殺られるまえにやってやると思ったと言うのです。家のカーテンも不自然にあいており、問いただすと不審人物を見張るためにと言いました。
また、昔の知り合いの職場のブログに誹謗中傷を書いてしまったと言いました。とても反省し後悔していると言い、どうしてこんなことをしてしまったんだろうと娘はうずくまってうごきませんでした。いったいどうしてこのようになってしまったのか聞いてもわからないそうです。薬は処方されたとおりに飲んでいます。インターホンが鳴ったのは娘いわく妄想ではぜったいにないそうです。このようなことは始めてでした。しかし以前一度だけよく玄関から不審者がはいってくる悪夢を見るんだよね、それが妙にリアルで怖い。と、言っていたのを思い出しました。これはなにか関係あるのでしょうか?躁うつ病でそんな症状あるんでしょうか?今回のことはぜったいに医師には言わないでほしいといいます。娘いわく一度の行動で薬をかえられたり、増やされたりするのが嫌だそうです。そもそも薬を飲むこと自体が嫌だそうです。今娘はまったく正常でペットをかわいがったりしています。そもそも娘が躁うつ病なのか、私が素人のくせに躁状態とおもわれることを念をおすほどに言ってしまったために誤診されて娘はこんなことになったのではないか。
思いかえせば娘は頑張りすぎる性格でした。我慢づよいためにあまり問題を表にださない子で私自身とても娘に甘えていた部分がありました。家庭崩壊の危機はなんども彼女の我慢のおかげで丸く治まっていた部分も多々ありました。多感な娘が病んでしまった原因は病気ではなくて、心も金銭も安定しない家庭にすべての原因があり性格の問題なのではないかと思ってしまいます。だんだんどこから病気なのかわからなくなり、娘を無理に精神科に連れて行く自信がなくなってきてしまいました。
林:
私自身が娘の違和感に気づいたのは、高校入学のころでした。
このように、十代半ばころから変調が始まり、躁状態ともとれる奇妙な活動性の亢進や、反対にうつ状態、さらには躁ともうつともあてはまらない不適応な行動が見られるのは、躁うつ病の始まりのほかに、統合失調症の始まりも十分に考えられます。
夕方頃にインターホンがなり、のぞいてみると誰もいなかったためとても恐ろしく感じ、包丁を並べたそうです。もし不審人物があらわれたら殺られるまえにやってやると思ったと言うのです。家のカーテンも不自然にあいており、問いただすと不審人物を見張るためにと言いました。
これは、これだけで被害妄想ありと断ずるのは躊躇されますが、被害妄想の疑いがあることは確かで、すると統合失調症の可能性が高まりますが、躁うつ病でもあり得る症状です。
病気ではなくて、心も金銭も安定しない家庭にすべての原因があり性格の問題なのではないかと思ってしまいます。
もちろんその可能性も否定できません。しかし精神病(統合失調症または躁うつ病)の可能性のほうが高いでしょう。
そもそも娘が躁うつ病なのか、私が素人のくせに躁状態とおもわれることを念をおすほどに言ってしまったために誤診されて娘はこんなことになったのではないか。
躁うつ病の診断に傾けることにはなったかもしれませんが、この経過を見れば、精神科医であれば、統合失調症や性格傾向の範囲も考慮しつつ、診療を進めていくのが常です。母親である質問者のために誤診されたということはないでしょう。
だんだんどこから病気なのかわからなくなり、
病気かどうかわからないと感じるのは、このようなケースではご家族として健全な感覚です。その感覚は大切にすべきです。逆に「病気である」とか「病気ではない」と確信するのは、この時点では非常に危険です。
娘を無理に精神科に連れて行く自信がなくなってきてしまいました。
無理にかどうかはともかく、精神科での診療を続けることは今の娘さんのためには必須です。
(2014.2.5.)