【4778】周りの環境が整う中で少しだけ精神的に安定したと思います(【3482】のその後)

Q: 約6年前、【3482】アスペルガー症候群、解離性障害と診断されるまで にて掲載して頂いた女性です。当時は20代でしたが、今は30代になりまして、そして色々と変化がありましたのでご報告させて頂きます。

まず、4ヶ月ほど前に結婚致しまして、両親とは離れて生活しています。
虐待に関してですが、私の経験に関して両親が幾つか認めるような発言がありまして、まあ冗談だったから忘れてくれとは言われますが忘れられるはずもなく、それでも質問した当時は林先生のような第三者から、嘘なら嘘と言って貰えた方が楽だったんだろうなと思います。
今も、あれそんなことあったかなと忘れてしまったり、急にまた記憶が蘇るというかただただ湧いてくるような感覚で、なんで今まで忘れていたのか疑問に思ったりを繰り返しています。
苦痛を感じることやそれを表現することがそもそも得意ではないのですが、小学校にて教師主導で同級生達から閉じ込められたり、ある日教頭と担任が自宅に押し入って来て、車に捩じ込まれて学校まで無理やり連れて行かれた等の経験があるのですが、やはりそういうことがある中、両親もギャンブル依存症で衣食住の世話を放棄していた時期に、我慢して学校に行く選択をしなくて良かったと今では思います。そうしなければ解離や離人等がもっと悪くなっていた気がするからです。

現在は転居により主治医が変わることがあったものの、欠かさず定期的に通院しており、診断名は「自閉スペクトラム症」「解離性障害」は変わらず、新たに「脳波異常」が発見され、現在はバルプロ酸ナトリウム200mg朝1錠と就寝前2錠、ルネスタ錠就寝前2mg+1mg、ロラゼパム0.5mg不安時の頓服という処方になっております。
現在の主治医から口頭で「PTSDの症状がある」ということも聞きました。
「自閉スペクトラム症」という診断についてですが、私自身の拘りの強さ、協調性のなさ、WAIS4での群指数や下位検査の偏り(言語理解122、知覚推理99、ワーキングメモリ82、処理速度79。下位検査は類似16、行列推理15が特に高く、パズル6、算数6、記号探し7、符号6が特に低い)があるということがその理由のようです。
思い当たる節としましては、周りを見て周りのやっていることは分かるけれど模倣することがなかったり、自分まで参加を強制されることを嫌がったりしていたのはあります。未だに指示1つでもこと細かく具体的に説明して貰えないとどうしたら良いのか分かりかねることが多いです。
子供の頃から数の概念が分からず苦労して、漢字等の字を覚えたり本を読んだりすることが難しかったです。結局小中学校は殆ど不登校のまま終わったので定時制高校で勉強をやり直して、なんとか人と会話が出来るぐらいの知識はついたように思います。
今でも非常に疲れやすく記憶力や作業能力に劣るので一般的な就労が難しく、障害者年金2級を受給しています。最近はB型作業所に1年ほど通い転居により退所して、まもなく別の作業所に通う予定です。

そのような流れで両親とも適切な距離で穏やかな関係を保てている状態で、以前よりは精神的に安定していますが、「解離性障害」の部分は根強く症状が残り、慢性的な離人で身体の感覚が鈍く、現実の認知に支障があります。極度に悲観的な思考があったり、イレギュラーに弱く直ぐに絶望的な気持ちになってしまったり、未だ夕方から夜の間は過去の記憶が湧き上がり再現される感覚に苛まれて身動きが取れなくなったり、記憶が分断されたり、そういうことはまだまだあります。
これから私の苦しみは生涯癒えることがないかもしれません。しかし少しずつ周りの環境が整う中で少しだけ精神的に安定したと思います。実際、自殺未遂は一切しなくなりました。そして人にやって貰うことばかり考えるのではなく、自分自身が変わりたい、良くなりたいと思わなければ解決しないことも沢山あることも体感したような気がします。
生活習慣において、夜更かしせずに朝起きて規則正しい生活を心がけています。夜更かしすると精神状態が悪くなると気づいてからかなり気をつけるようになり、私の場合はそれが効いたような気がします。
そして作業所に通うことで社会での交流の場を持つことも常識的な感覚を取り戻す訓練と安定感の基礎になったと感じています。私は家で考え込み始めると不調をきたし始める傾向があるので、ある程度は表に出た方が良いなと思っています。
この数年での変化を林先生に宛てて送信した目的に、ご報告ということもありますが、もし他の発達障害の方や私と似た境遇の人がこれらの過程を読んだことにより、こんな人でも生きていけるんだから自分も大丈夫かもしれないと一瞬でも思ってくれたり、そうして人生を終わらせる選択から逃れることが出来たら、それが幸いで大変有難いことだなと思うところがあるのです。
ありがとうございました。

 

林: その後の経過をご報告いただきありがとうございました。このようなご経験やお思いを披露していただくことは、読者の方々にとって大変貴重であることは間違いありません。深く感謝いたします。また、今後も安定し前進を続けられることを願っています。

(2024.1.5.)

05. 1月 2024 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A