【4240】何か悪いことを考えている時、自分の体が触れているものにそれが記録として残るような気がする
Q: 私は20代の女性です。覚えている限りでは小学生のころから、何か悪いこと・自分にとって都合の悪いことを考えている時に自分が触れていたものにそれが記録として残るような気がしています。 例えばパソコンに向かって何か書類を作っている時に、頭の中にふと以前誰かが言っていた良くない(と私は思った)発言が浮かんだとします。そうするとその時触っていたキーにその記録が残るような気がして、一度すべてデリートして打ち直す。ということが度々あります。 歩いている時に浮かんだとしたら、道に記録が残るような気がして(戻れる状況であれば)一度戻って歩き直す。といった感じです。 記録が残ったからと言って何か問題があると考えているわけではないのですが、なんとなく嫌です。自分はそういう人間だという記録が残ってしまうことが嫌なんだと思います。 ただし小学生のころは、何か悪いことを考えた時に床、または地面を伝ってまわりの人にそれが伝わるようなイメージを持っており、浮かんでしまった時はそれを打ち消すために、考えてしまったことを心の中で強く否定せずにはいられない、といったことがよくありました。強く否定すれば今度はそれが床をつたって周りに広がるような気がしていたためです。今はそういうことはないのですが。 私も本気でものに記録が残ると思っている訳ではなく、むしろそんなことはありえないと思っています。ですが普段の生活の中で無意識に上記に挙げたような行動をとってしまいます。 それが生活の中で特にストレスになるといったことはないのですが、よくよく考えてみるとこのような行動をとることはおかしい気がしますし、もしこういったことを考えなくていいとしたらとても楽になれると思います。
長くなってしまいましたが、質問です。
(1) 私は何かの病気である可能性はありますでしょうか?
(2) 病院にかかった方がいいでしょうか?
読みづらい文章で申し訳ありません。お答え頂けたら幸いです。
林:
何か悪いこと・自分にとって都合の悪いことを考えている時に自分が触れていたものにそれが記録として残るような気がしています。
これは強迫性障害の症状として稀ならず見られるものです。
私も本気でものに記録が残ると思っている訳ではなく、むしろそんなことはありえないと思っています。ですが普段の生活の中で無意識に上記に挙げたような行動をとってしまいます。
このように、「ありえない」または「馬鹿げている」と自覚しているのに、それでもやめられないというのは強迫性障害として典型的です。
ではこの【4240】のケースが強迫性障害と診断できるかということになると、それは微妙です。
その理由は、
それが生活の中で特にストレスになるといったことはないのですが、よくよく考えてみるとこのような行動をとることはおかしい気がしますし、もしこういったことを考えなくていいとしたらとても楽になれると思います。
この記載が微妙だからです。「特にストレスになるといったことはない」とする一方で、「もしこういったことを考えなくていいとしたらとても楽になれると思います」というのは矛盾で、「もしこういったことを考えなくていいとしたらとても楽になれる」ということはすなわちそれがストレスになっているということにほかなりません。
すると、そのストレスが一定以上に強く、生活に支障が出ていれば強迫性障害と診断できるということになります。この診断手法は本来は矛盾していますが、【4237】の回答に記した通り、それが現状です。
(1) 私は何かの病気である可能性はありますでしょうか?
強迫性障害の可能性があります。しかし公式には強迫性障害とは診断できないでしょう。しかし脳内メカニズムという観点からは強迫性障害であると考えることもできます。
(2) 病院にかかった方がいいでしょうか?
それはこの症状に質問者自身がどれだけ苦しんでおられるかによります。病院にかかって治したいと考えるレベルの苦しさがあるのであれば、かかった方がいいでしょう。
(2021.2.5.)