【4144】弟が躁病、もしくは躁転ではないか
Q: 38歳弟のことで相談させていただきたく思います。
家族構成は両親(いずれも退職後で年金生活)と私(兄40歳)です。
1年前までトラックのルート配送の仕事を10年くらいしていましたが、交通事故を起こし仕事ができなくなったため、実家に戻ってきています。現在無職で、求職はしておりますが、いずれも短期間でやめてしまいます。
もともとは、不眠、抑鬱で数種類の内服薬を病院で投薬されていたようですが、それなりに落ち着いていました。
しかし、去年の冬頃から徐々に躁病の様な症状が出現してきました。
具体的には、常軌を逸脱した買い物(雑誌や清涼飲料水の大量購入)
本人が詳細を語らないので不明ですが、現金の複数の借り入れ。
自動車運転中に気づかれる注意散漫。
多弁ですが、思考内容が誇大(マンションを予約してある、高級車を押さえてあるなど)で、内容はまとまらずよく飛びます。
社会的逸脱行動(ストーカー行為、万引き、スピード違反、勝手に中古車を買ってくるなど)
あまり必要ない様々な病院に通院(内科系、整形外科系、歯科系)
などで、同居している高齢の両親が疲労して限界に近づいております。
私は、実家を離れて働いており、休日のみ年に1-2回程度しか実家に帰れず、あまりフォローができなかったので、状態を悪化させてしまったのかもしれません。
いずれにしても躁状態に対して、診断、治療が必要な状態になっていると思われます。
本人は躁状態ですので問題意識はなく、躁状態に対する治療を受け付けるかは不明です。
このような場合の、対処方法、症状が限界にきてしまったときに、入院治療等も必要となる可能性もあると思われますが、その可否はどのようなものでしょうか。
林:
躁病、もしくは躁転ではないか
というご質問ですが、その二つは同じです。双極性障害(躁うつ病)で、ある時点で躁病相(躁状態)になることを「躁転」と呼びます。また「躁病」という医学用語は正式には存在せず、「双極性障害(躁うつ病)の躁状態」が俗に「躁病」と呼ばれています。
対処方法、症状が限界にきてしまったときに、入院治療等も必要となる可能性もあると思われますが、
すでに限界にきているように見えます。通院・服薬治療を今されているか否かの記載がないので不明ですが、治療されていれば改善に向かうことは期待できますが、そうだとしてもこの状態のままで治療を続けることはご本人・ご家族にとって好ましくありませんので入院が適切ですし、もし治療を受けていないのであれば、なおさら入院以外に方法はないと言えます。現在の躁状態そのものも問題ですが、躁状態のときに多くの逸脱行動をしてしまうと、後にうつ状態になったときにそれらの逸脱行動についての自責感が耐え難い強さになったり、また社会的にもそれらの逸脱行動の結果への対処に苦悩されることになりがちです。
(2020.10.5.)