【4838】診断書目的で精神科にかかった事を後悔しています
Q: 30代女性です。
8年ほど前、激務かつ結果を厳しく求められる職場に転職しました。
そこで2ヶ月ほど働いた時点で「明日が来るのが怖くて寝られない」「急に涙が出る」という症状が起きました。
これは危ないなと思い退職を願い出ましたが「辞めたいなら診断書でも持ってこい」と言われ、怒鳴られもしたので怖くて強く退職したいと言えませんでした。
そこで、精神科にかかったのですが、なんとか診断書を出してほしい一心で睡眠時間を実際より少なめに申告したり涙が出る頻度を多く申告したりしてしまいました。
また、自殺したくなることもあると嘘をついてしまいました。
結果「適応障害」で診断書を頂け、なんとか退職できストレスから解放された事で体調は元に戻りました。
でも、今でもお医者さんに嘘をついてしまったことを心苦しく恥ずかしく思っています。私のしたことは詐病ですよね?
お医者さんにとっては患者に嘘をつかれることはよくある事なのでしょうか?
何の質問かまとまりませんが「よくあることだから、そのお医者さんも気にしてませんよ」と言われて楽になりたいだけなのかもしれません。もしくは叱って頂きたいのかもしれません。何らかのコメントを頂ければありがたいです。
林:
私のしたことは詐病ですよね?
詐病には3種類あります。
(1) 完全な詐病。つまり、全く症状がないのに、症状があると言う。
(2) 誇張。症状は確かにあるが、実際よりも大袈裟に言う。この【4838】のケースはこれにあたります。
(3) 原因の転嫁。症状は確かにあり、その原因もわかっているが、別のことが原因であると主張する。
これらのうち、(1)は通常許されることではありません。(3)は訴訟の時などに比較的よくみられるもので、たとえば交通事故の加害者に賠償を求めるとき、事故とは関係のない症状を、事故が原因であると主張するような場合です。これも通常許されることではありませんが、無意識的になされることがあり、その場合は非難すべき言動と言えるかは難しいところです。
(2)は程度によります。多少の誇張は多くの人がするものです。この【4838】のケースの程度の誇張は許容範囲だと思います。また、誇張についても無意識的になされることがあり、するとそもそもが主観的なものである症状について、どこまでが事実でどこからが虚偽かという線引きはかなり難しいものですから、その峻別は厳密には不可能と言っていいでしょう。
(2024.6.5.)