【4839】ある日カラスが話しかけてきました
Q: 私は20代の男です。
先日私の身に降りかかった異変が何だったのか、ヒントを頂ければと思ってメールをしています。
2週間ほど前のことです。
その日もいつものようにヘッドホンで趣味である音楽を聴いていると、突然おかしな感覚が襲ってきました。
好きなはずの曲の聴こえ方がいつもと違い、瞬時にとてつもない恐怖感が襲ってきたのです。
訳が分からずパニック状態になり、何分くらい経ったのかも分からなかったのですが、コンビニでアルコールを買って飲めば落ち着くかもしれないという考えになりました。
ただ、外に出るのも怖いし、そういう行動に移すのにはまだ早いんじゃないか、もうちょっと待てば正常な状態に戻るんじゃないかというふたつの思考が繰り返されました。
意を決して外に出ようと立ち上がったのですが、こんな状態で外出するのはまだ早いんじゃないかと思いながら玄関を開けると、電線に止まっていたカラスが「早えーよ」と鳴いたのです。
ただ、そのときの感覚としてはカラスの鳴き声が偶然そう聴こえただけなのは分かったのですが、このタイミングでそのような鳴き声が聴こえたことがなにか恐ろしかったです。
そうして近所のコンビニに向かうと、そのときは上着にサイズにゆとりのあるパーカーを着ていたのですが、ダブっとしていた脇の隙間部分になにか猫のような小動物が入ってる感覚がして、何度も手で触って確認していました。
そしていつものコンビニに向かう道かまるで迷宮かのように感じられました。いくら歩いても目的地につかない感覚だったのですが、それと同時に道はいつもより狭い感じがしていました。なんだかミニチュアのの世界を歩いているような感覚でした。
そしてコンビニについてアルコールを3本ほどカゴに入れて会計をしていると、今度は金銭感覚がおかしくなったのです。
一ヶ月分の生活費ほどの金額を使っているんじゃないかという気がして何度も意識を集中させて確認しました。
自宅に戻ってアルコールを一気に飲みほして布団に横になっていると、焦りのようなパニック感はなくなったのですが、今度は頭の中に妄想が広がりました。
自分が裸になって外に出て歩いてるんじゃないかという妄想です。そしてそれが妄想なのか現実なのか分からなくなってきて、裸で外を歩いていることに焦りを感じていました。
最終的には裸で外を歩いていたとしても死ぬわけではないしもう諦めようという考えに至ったのと同時に、脳みその疲れが限度に達した感じで気絶していました。そして翌日の朝に目が覚めたときは奇妙な感覚は消えていました。
ただ、その日から、仕事中や外出しているときは大丈夫なのですが、自宅にひとりでいるとまたあの感覚が襲ってくるのではないかという恐怖感に包まれ、今度はその恐怖感自体があの感覚を呼んでしまうのではないかという、軽いパニック状態が
続いています。
先生にお訊ねしたいのは
1.この体験が何かの精神疾患であったのか
ということと、
2.体験した以下のそれぞれの現象になにか名称はつけられるのか
・カラスの鳴き声
・服の中にいた小動物
・いつもの道の迷宮化
・金銭感覚の喪失
・妄想と現実(裸で外出していたのではないかという妄想)
ということです。
これは例えばとある体験に「世界没落体験」や「皮膚寄生虫妄想」などの名称が付
けられていることを知り、私の体験も類型的なものなのかを知られればある程度落
ち着けるのではないかという考えからです。
お忙しいとは思いますが、できればお答えを頂ければ助かる気持ちです。
林: 質問者は何か重要なことを伏せてメールを書いておられるのではないでしょうか。たとえばドラッグの使用などです。
というのは、一つ一つの体験はかなり異常性が高く精神病的なのに対し、それぞれが一過性で、それぞれのエピソードの間の期間はかなりきれいに症状が消えている、あるいは、消えていないまでも洞察が生まれているという点は、統合失調症などの精神病圏の病気としてはかなり非定型的だからです。「一過性に異常を繰り返す」というだけであればてんかん性の精神病も考えられますが、その場合は、同じような症状を繰り返すのが普通で、この【4839】のケースのようにその度にかなり多彩な症状が出るというのは考えにくいです。
このメールには何かかなり重要な情報が伏せられている可能性が高いと思います。
(2024.6.5.)