【4134】読書の時の音声と統合失調症

Q: 17歳の女です。私は幼い頃から、読書をする時、頭の中で文章を音声化してきました。(女の子が主人公の物語では女の子の声に吹き替え、新聞を読む時にはお堅いおじさんの声に吹き替えてといったように様々な人の声に置換して)
今までこの事を当たり前のことと思ってきました。友人にこの話に共感してもらった事もあります。
また、速読のメソッドの本などを読んでも、音声化せず、そのまま文字を情報として受け取れと書いていることはあるので、音声化しない人はむしろ特殊なのだと思っていました。
しかし、【4043】【4044】とを読むと、統合失調症の疑いがあると書かれており、確信がもてなくなりました。
現在、私は普通に生活しており、読書スピードも結構早い方で、国語の勉強も好きです。私の音声化する習慣は統合失調症の症状でしょうか。もし、そうでないとしたら、読書の時の音声と統合失調症の関係はどのように定義づけられるのでしょうか。

 

林: あなたには統合失調症の疑いはありません。
あなたがいつも行っている、読書する時の頭の中での文章の音声化と、【4043】本の内容を先読みする男の声【4044】読んだ文章が頭の中で声になって響くの根本的な違いは、「自分が行っているという意識」の有無です。この認識が失われるのが統合失調症の最大の特徴で、【4043】と【4044】にはそれが認められますが(これを自我障害といいます)、あなたにはそれは認められません。「読書内容の頭の中での音声化」という点だけをみれば、【4043】、【4044】に共通していますが、この【4134】ではその音声化は自分の意思で自分が行っているという明確な意識がありますから、統合失調症の症状とは全く違います。

(2020.10.5.)

05. 10月 2020 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |