【4044】読んだ文章などが頭のなかで声になって響く

Q: 20代男性です。自分の考えたこと或いは文章を読んだ際に、その考えや文章が頭のなかで声となって響くという症状に悩んでいます。黙読した時に自分の声が聞こえるというものとは違い、自分の声(自分の声ではありますがなぜか子供のような声)と機械音が合わさったような声で、テープを早送りしたように早く聞こえます。新聞記事程度の長さの文章であっても読むのにかなり苦労し、長文は読めません。小説の場合だと、長いということもありますが、登場人物の声がすべて自分の声と機械音が混ざったような声で聞こえ、そのスピードが早いため全く頭に入ってきません。また、自分の意志とは関係なく考えることがやめられず、それが頭のなかで声となって響くため、うるさくてなかなか入眠できず困っています。

 

林: これは考想化声と呼ばれる現象で、統合失調症に特徴的な症状です。考想化声は、声が聞こえているという体験ですから幻聴の一種ですが、声の内容が自分発であるという自覚がある点が、多くの幻聴とは異なっています。他人の声であるとして体験される幻聴も、実際にはもともとは本人から発したものが外界からの声として感じられるようになったものですので、考想化声はその前段階に位置づけることができます。また、この【4044】には

自分の意志とは関係なく考えることがやめられず、

という体験もあり、これは自生思考と呼ばれる症状です。
さらにその思考が

それが頭のなかで声となって響く

というように考想化声になっています。
このように、考想化声は、自生思考と幻聴(他人の声)を結ぶ症状であるということができます。

この【4044】は治療を受けているか否かについての記載がなく不明ですが、治療を受けていないのであれば精神科を受診し治療を始めてください。治療を受けているのであれば、この症状を主治医の先生に伝えてください。適切な治療を受けることで、今の悩みは解消に向かうことが期待できます。

(2020.5.5.)

05. 5月 2020 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症