【4405】統合失調症の回復期についてもっと知りたい
Q: 50代女性です。先生の著書『統合失調症という事実』読みました。納得できることも多くて、娘が幻聴、妄想の急性期を過ぎ、今回復期にむかっているところなので、きもがすわり、家族としてささえになれるようにしたいとそんな気持になりました。ありがとうございました。何もしらないままだと高EEになるところでした。このサイトのその病気についての部分も納得できるものでした。しかし、この精神科Q&Aコーナーでは回復期にある人の相談回答が少ないような気がします。急性期が過ぎてからが勝負だと思いますので、今後そうした質問もとりあげてほしいです。答えにくい質問だからとりあげていないのか、質問数が少ないのか、どちらでしょうか? ちゃんと回復する病気だと希望をもった後、相談コーナーを見て、ちょっとショックでした。
林: お嬢様の統合失調症が回復に向かいつつあるとのこと、何よりと思います。回復期はあせりは禁物ですので、先を急がず治療を続けてください。
この精神科Q&Aコーナーでは回復期にある人の相談回答が少ないような気がします。
確かにその通りですが、それは質問そのものが急性期や未治療のケースに比べて少ないためです。少ない理由はおそらく、そもそもネットに質問されるのは困っているからこそであって、すると急性期や未治療の時期の質問が多くなるのが自然です。同じ理由で、回復期にあっても、精神科Q&Aにあがってくるのは思うように回復しない場合であって(たとえば【4103】今の調子で社会復帰できるのでしょうか)、順調な経過の場合は主治医を信頼して治療を続けるのが最適ですからネットなどに質問する必要が発生しないと考えられます。
答えにくい質問だからとりあげていないのか、質問数が少ないのか、どちらでしょうか?
質問数が少ないからです。
「答えにくい」ということはありません。ただし、順調な経過の場合は、実質的な答える内容があまりないことは確かです。仮にあったとしても(または、私からみて「ある」と思えたとしても)、メールから判断できることには相当な限界がありますから、順調に経過しているケースに対して限られた情報をもとにアドバイスをするのは余計なお世話となる可能性が相当に高いです。その一方で、順調なケースの掲載が少ないと、この【4405】の質問者のように、
ちゃんと回復する病気だと希望をもった後、相談コーナーを見て、ちょっとショックでした。
という誤解を発生させるおそれがありますので、そうしたことすべてを勘案して、順調な回復のご報告をいただいた場合には、【2334】、【2357】、【3371】のように短く、しかし極力掲載するようにしてきています。
急性期が過ぎてからが勝負だと思いますので、今後そうした質問もとりあげてほしいです。
精神科Q&Aにおける、統合失調症の回復期のQ&Aをめぐる事情は上記の通りです。ただしそうは言っても、急性期後については、「急性期を過ぎたが思うように回復しない」からこそ質問される方が多くのなるのは当然で、実際には「急性期を過ぎ、順調に回復している」というケースの方が多いというのが事実です。
(2021.11.5.)