【4008】 ADHD の生きづらさが改善されました (【2909】のその後)
Q: 【2909】初診でADHDと診断され、すぐ薬を出されたのですが、飲む必要があるのでしょうかで回答いただいた質問者40代女性です。その節はご丁寧なコメントを頂きありがとうございました。関連する林の奥 の ADHDの薬、それは治療か商売か も拝読しました。
【2909】はもう何年も前の事なので正確には覚えていませんが、初診から数ヶ月で、自己判断で通院をやめました。コンサータも、後半は何日かに一度服用する程度でしたので、服薬期間(残薬がなくなるまで)は半年ほどだったと思います。
上司が、マルチタスクはなるべく避けるようにとか、業務が重なった場合は優先順位も含めて指示するなどの対処をしてくださったおかげで、職場での働きづらさが劇的に改善されたので、服薬の必要性を感じなくなったからです。
その後セカンドオピニオンを考え、他院でWAIS-Ⅲ検査を受けました。
結果は、言語性IQ127、動作性IQ125、全検査128、言語理解114、知覚統合116、注意記憶140、処理速度113でした。
先生からは、高いものと低いものの差が大きいので、自分ではできるつもりなのにできない事がありそれにしんどさを感じるのでしょう、ADHDの傾向があるとは言えるが服薬するほどではない、という話をされたように記憶しています。
(ただし、その時点ではすでに私自身があまり仕事での支障を感じなくなっていたため、問診への回答も最初のクリニックの時とは深刻さが違っていたと思います)
それまでは自分に苦手な事がある自覚があまりなかったので、その結果を受け、今まで以上に(仕事だけではなく日常生活上も)きちんとメモに残すとか、期限が先の事もなるべくすぐに済ませるなど気をつけるようにしたおかげで、以前ほどの生きづらさは感じなくなりました。
後出しになりますが、幼少期からよく母に「アルツハイマーじゃないか」と冗談半分に言われるほど、些細な物忘れが多くありました。
(アルツハイマーという言葉をここで使用するのは適切ではないと思いますが、医療的知識がない母がそう感じていたという意味だとご理解ください)
椅子に座っていられないような多動はありませんでしたが、通知簿には良く落ち着きがないとは書かれていました。
なおこのエピソードは後から思い出したので、最初のクリニックでは話していません。(母の同席もありません)
両方のクリニックからの診断を受け、自分的には「ADHDかどうかはさておき、傾向はあるのだから何事にも充分に気をつけて二重三重にチェックする、しかし生活に支障がない時は治療の必要はない」と思う事にしています。
上司からの特別の配慮もたしか数ヶ月だけで、現在では他のスタッフと同様に働いています。
なお、「安易に」服薬して良いものかというのは、私自身の判断についてのことでした。
当時、飲むか飲まないかは自己調節でと言われていたので、少しでも不安なら飲んで良いのか、なるべくなら飲まない方が良いのか、そういう意味で私が「安易に」飲んで大丈夫かという事が聞きたかったのだと思います。
リタリンの乱用問題も聞いたことがあったので、実は私がADHDではない場合でも服用して問題ないのか、という意味です。
しかしもちろん、すぐにコンサータが処方された事で、主治医へは少し不信感があったので、文章にもその気持ちがにじみ出ていたかもしれません。
問題が改善された事を伝えた時に、薬はもう要らないですねと、自己判断ではない医師の判断が欲しかったです。
しかし、診察や検査を受け、一度はADHDと診断されたのも踏まえて、自分自身で心理社会的治療のような対策ができるようになったのは本当に良かったと思っています。人生が変わったと言っても過言ではありません。
林先生のコメントがなければセカンドオピニオンを考える事もなかったと思うので、本当に感謝しています。ありがとうございました。
林:
初診から数ヶ月で、自己判断で通院をやめました。コンサータも、後半は何日かに一度服用する程度でしたので、服薬期間(残薬がなくなるまで)は半年ほどだったと思います。
通院も服薬もやめたことは適切だったと思います。また、やめた理由としての、
上司が、マルチタスクはなるべく避けるようにとか、業務が重なった場合は優先順位も含めて指示するなどの対処をしてくださったおかげで、職場での働きづらさが劇的に改善されたので、服薬の必要性を感じなくなった
このような理由でやめたということも適切だったと思います。 (但しそれはどんな病気でも同じというわけではありません。この【2909】【4008】のケースのようなADHDでは適切だったという意味です。病気によっては、自覚的に改善していても、さらには、自覚的には完治していても、通院も服薬も必要な場合が多々あります)
両方のクリニックからの診断を受け、自分的には「ADHDかどうかはさておき、傾向はあるのだから何事にも充分に気をつけて二重三重にチェックする、しかし生活に支障がない時は治療の必要はない」と思う事にしています。
それもこのケースでは100%適切です。
診察や検査を受け、一度はADHDと診断されたのも踏まえて、自分自身で心理社会的治療のような対策ができるようになったのは本当に良かったと思っています。
まさにその通りです。この【4008】は、ADHDの傾向のある人、または、軽度のADHDの人にとっての最も適切な自己対処法の実例と言ってよいと思います。経過のご報告をいただいたことに深く感謝いたしますとともに、これからも適切な自己対処を続け、幸福な人生を歩まれることを願っています。
(2020.3.5.)