【3961】統合失調症と診断された娘が断薬して元気になりました
Q: 17歳の娘のことで相談があります。私は40代の母親です。娘は14歳の時に部活の顧問に激怒された事がキッカケになり1か月に5日くらいずつ学校を休むようになり、リストカット、首吊りなどをするように。高校進学を機に様子が変になり、みんなが私を馬鹿だと言っている、電車でブスと言われるなどと言い入学半年で不登校になりました。周りの視が気になっていたようです。夏休みに近所のメンタルクリニックで診察してもらい、 頭の中で声が聞こえると話した為、統合失調症と診断され、エビリファイ1ミリからスタート。3週間後くらいから手が震える、動悸がすると話すと増薬され、半年後、インヴェガ12ミリ、エビリファイ6ミリ、エビリファイ水薬などCP換算1200ミリ服用。副作用で目が虚ろ、呂律は回らない、アカシジア、不安感、焦り、動悸、口からヨダレが垂れ全く違う人物になっていました。変薬希望をしましたが叶わず、薬が効かない、辛いと大量服薬をしてしまいました。それでも増薬する主治医です。その後初めて服薬してから9カ月目に自分から断薬しました。酷かった症状が少しずつ無くなって今は断薬してから8ヶ月が経ちます。読めなかった本も読めるようになり、通信制の高校に通っています。イライラする日もありますが回復を感じます。主治医は一過性だったと言ってますが、娘は統合失調症だったのでしょうか? 幻聴らしきものは小さい頃からたまにあったようです。離人感もあります。かなり控え目ではありますが負けず嫌いな頭の良い娘です。
林: このままですと娘さんは再発する可能性が非常に高いと思います。
主治医は一過性だったと言ってますが、娘は統合失調症だったのでしょうか?
「一過性だった」という説明の真意と根拠が不明です。統合失調症の可能性が最も高いです。継続的な薬物療法が必要です。
但し、これまでの薬物療法が適切だったかどうかは別の話です。
呂律は回らない、アカシジア、不安感、焦り、動悸、口からヨダレが垂れ全く違う人物になっていました。
これは抗精神病薬の副作用であったことはほぼ確実です。
すると、
それでも増薬する主治医です。
増薬は不適切と考えるのが普通です。但し、薬の量は症状と副作用のバランスによって決めるものですから、「副作用が強い」というだけでは減薬の理由にはなりません。「副作用によるマイナスの方が、薬の効果というプラスよりも大きい」という判断があって初めて、減薬することが適切であると言えることになります。また、「それでも増薬する主治医です」という表現からは、質問者が主治医に強い不信感を持っていることが読み取れますので、メールに書かれている内容が、たとえ事実だとしても、細かい事情やニュアンスは事実からは外れている可能性があり、するとなおさらこのときに減薬すべきであったかどうかはわかりません。副作用があっても逆に増薬することが適切な場合というのは当然にあり得ます。
その後初めて服薬してから9カ月目に自分から断薬しました。酷かった症状が少しずつ無くなって今は断薬してから8ヶ月が経ちます。読めなかった本も読めるようになり、通信制の高校に通っています。イライラする日もありますが回復を感じます。
統合失調症で一定以上の薬を飲んでいるとき、その薬をやめればよくなったように見えるのはごく普通のことです。それからまもなく悪化するのが最も一般的なパターンです。【2444】私は自然治癒力で統合失調症を治しましたなどをご参照ください。
離人感もあります。
「離人感」と表現される症状は、多種多様なものが含まれていますので、これだけでは何とも言えませんが、この【3961】のケースでは、他の症状と経過からみて、統合失調症の症状とみるのが妥当です。
かなり控え目ではありますが負けず嫌いな頭の良い娘です。
この一文からは、質問者が、娘さんを統合失調症でないと考えている、あるいは、そう考えたがっていることが読み取れます。しかし「かなり控え目」「負けず嫌い」「頭の良い」、それらはいずれも統合失調症の診断を否定する根拠にはなりません。
この回答の冒頭に記したとおり、このままでは再発する可能性が非常に高いです。1日も早く治療を再開することをお勧めします。
(2020.1.5.)