【4085】私は統合失調症なのか、医療職を続けるのはあきらめるべきか
Q: 20代女性です。
私は統合失調症なのか、私自身が医療職として仕事を続けてもいいのか、ご意見を頂きたくメールさせていただきました。
経過を下記に書いていきます。
結婚を機に転居、転職しました。その後仕事を指導してもらえないのに色々仕事を任されてしまい強いストレスを感じるようになりました。通勤中に動悸がするようになり、頭痛、不眠の症状も出始めました。またこのころから同僚からの視線が怖くなり職場にいること自体も辛くなりトイレにこもる時もありました。このままだとおかしくなってしまうと思い、精神科を受診しました。診断名は適応障害で、受診後はサインバルタ10mg、レンドルミン0.25mgをもらい服薬し始めました。受診した時点で休職を勧められていましたが、なんとか誤魔化して1ヶ月続けていました。
その後、休日はご飯も食べれず1日中ずっと寝て過ごすようになり、また思考の緩慢さも出てきて会議で発言を求められても全く喋れなくなる、書類業務が何もできなくなる状態になりました。体重は10kg痩せたんじゃないかなぁと思います。
無理をしてでも仕事を続けたいと主治医に伝えましたが、主治医からかなり説得されて休職に至りました。その後休職しても自分を責め続けてしまい食欲不振、過眠、思考緩慢に加えて希死念慮が出てきて、自殺未遂に至りそうだったので任意入院することにしました。入院の診断名は適応障害と抑うつ状態でした。
入院治療中はサインバルタはやめ、リフレックスなどの抗うつ薬を試して効果がなく、リーマス、デパケンを試してみて結果的にリーマスだけに落ち着きました。一時突発的な死にたい気持ちや暴れたいような衝動的な気持ちにかられる事があったり、音に敏感になって人の声や聞いていた音楽の音、外の車の音、考え事が自分の声になってずっと頭の中で回るようになり、その発作が毎日10分ぐらい続くときもあり、リスペリドンやエビリファイを追加で服用していた時もありましたが、アカシジアがでたり思考抑制が強くなりすぎて何にもできなくなってしまったので服薬中断となりました。何がきっかけかわかりませんが、自然と症状は落ち着いていきました。
その後退院し、そのタイミングで主治医も退職されてしまったので転院しました。
退院時の診断名は双極性障害2型だったと思います。
退院後、半年くらいは落ち着いて過ごせていたと思います。しかし主治医変更後、新しい主治医に双極性じゃないと思う、リーマスは意味がないんじゃないかと言われてしまいました。意味がないなら服薬したくないと強く思い自己断薬してしまいました。
自己断薬してしまったこと、服薬したくないことを主治医に伝え、その後は不眠時や不安時の頓服のみの処方されていました。
しかしその後、希死念慮が再び現れ、本気で死んでやろうと思いいろんな眠剤30錠とお酒を同時に服用してしまいました。その後せん妄状態で暴れていたようですが、家族は入院させたくなかったみたいで家で様子を見てくれていました。その後の受診時に入院を勧められましたが部屋が空いてなくてすぐには入れれない状況だったので入院はせずに自宅療養をしていました。
その後も大量服薬を繰り返してしまったり、なんとなく焦りが強くなり勝手に復職先を決めてしまったりとかなり不安定な感じで過ごしていました。
社会復帰は表面的にはなんとかこなせていましたが、対人恐怖が強く、悪口を言われている感じは続き、我慢できなくなると大量服薬をしてしまう行動パターンを繰り返していました。そのうち主治医から頓服薬も処方してもらえなくなり、薬物治療はしてもらえなくなりました。その頃の診断名は気分変調症で、症状はうまくまとめられませんが、希死念慮、いきなり気分が落ち込んで何に対して不安なのかわからないけど恐怖心でいっぱいになる。人と話すのが怖い、人に悪口を言われているんじゃないかと不安になる。人の視線が気になるといったものでした。辛いけどどうすることもできなくて、苦しい状況が3・4ヶ月続きました。その後主治医が退職したため、再び転院しました。
主治医が変わって、診断名は双極性障害、神経症となり薬物療法は再開されました。
初めは血中濃度をみながらデパケンを服薬し、希死念慮や対人恐怖、不安症状は改善しました。大量服薬したい気持ちも消失しました。症状が軽快したため薬物治療を終了し、その後症状安定していたため通院も終了となりました。
通院終了後、2ヶ月ぐらいは体調崩さずに過ごせていましたが、急に対人恐怖、倦怠感が強くなり、仕事にも支障がで始めたので再び通院し始めました。診察では主治医から、症状が軽快したんじゃなくて軽躁状態だったのではないかと言われました。
また離人感も出現して来たため、主治医からはストレスから避けるようにすること、休めるなら仕事を休むように伝えられました。
現在はラミクタール25mg×1tを2日に1回、クエチアピン錠25mg×1tを服薬し、症状は落ち着いています。
この間受診した際に、電子カルテが軽く見えてしまい、診断名が双極性障害、神経症、統合失調症となっていることに気がつきました。症状再燃の際に統合失調症の診断名が付け加えられたみたいです。
しかし自分は統合失調症なのか?と疑問に思ってしまいます。
人の視線が気になる
人に悪口を言われているような気がする
ことはありますが、幻覚・幻聴は見られていないような気はします。
自分の考え事が自分の声で思い浮かんでくることもありますが、ただ考え事をしているのか幻聴なのか、自分の中では区別がつきません。人の視線が気になる、悪口を言われている気がするような症状が強い時に自分の中の声もうるさくて休めないような気もします。
私の診断名は双極性障害、神経症、統合失調症であっているのでしょうか。
また、私自身医療職として病院に勤めています。精神疾患を抱えたまま、現場で働き続けても良いのでしょうか。先日は離人感が強く、患者さんの身体介助をしている際にこのままだと事故を起こしてしまいそうな気がして早退し自宅で休んでいました。まだ何も起こしてはいませんが、病気が悪化して何が事故につながってしまう前に退職した方が良いのでしょうか。
林: 診断はおそらく双極性障害の可能性が高いと思います。
私の診断名は双極性障害、神経症、統合失調症であっているのでしょうか。
そういう診断名は通常はありえません。つまり、これらが並存するというのは、診断の定義上はないということです。
カルテのどの部分にどのように記されていたかが不明ですが、この【4085】のケースで統合失調症と記載されていたのはおそらくいわゆる「保険病名」でしょう。すなわち、処方されているセロクエルは、保険上は統合失調症にしか処方できませんので、形式上は統合失調症とする必要があるということです。(海外ではセロクエルが双極性障害に正式に適応となっている国もあります)
まだ何も起こしてはいませんが、病気が悪化して何が事故につながってしまう前に退職した方が良いのでしょうか。
そこまでの必要はありませんが、不調のときに休むなどの対応をすることは必要です。職場の信頼できる方に、継続的・客観的に状態を確認していただけるような形にすることが望ましいです。今回、質問者は、ご自分で不調と判断し早退されたとのことですが、精神疾患では、自分では不調とは感じられなくても、客観的には明らかに不調ということがままあるからです。
(2020.7.5.)