【2476】解離性障害の治療を受けていますが、統合失調症ではないかという不安がぬぐえません(【2442】のその後)

Q:
【2407】中学生の統合失調症の治療について
【2442】解離性障害、統合失調症の両方を念頭においた治療が始まりました
【2461】解離性障害と確定診断されました
ではお世話になりました。その後の報告をいたします。自己満足ですが、少しでも何か読み取れるものがあったらと思い書いていきます。
【2442】で「強い自責」「絶望感」「希死念慮」「現実感喪失」「幻聴」「誰かに見られている感じ」の具体的な記載がなければ単なる文字の羅列に過ぎず、ここから読み取ることは不可能だと、林先生からご指摘いただきましたが、全くその通りだと私も強く思いました。 私本人に起きたことではないためわからないことが多く、その時の主治医や本人が小出しにしたことを、時系列に考慮せず並べた感じです。本当にわからないことだらけなのですが、もう一度、冷静に振り返って書いていきたいと思います。  7ヶ月前に本人が訴えるまで、私も私の周囲も娘の辛さに全く気付かずにいました。本当に何も変わらず、いつも通りにしか見えていませんでした。後でわかったことですが、この数ヶ月前には、まわりに合わせすぎて自分というものがわからなくなった、自分は中身がない、人の気持ちがわからない、これからも人の言動にビクビクしながら生きていかねばならないのだろうか?人の中で生きていく自信がない、自分だけみんなと違う、生きているのがしんどい、将来が不安、現実に対する絶望、孤独を感じるという内容のものを書いています。 そして7ヶ月前に学校で「まわりの人たちへの対応の不安や怖さ」「教室がテレビの画面のように見える」「自分がそこにいる感じがしない」こと、その後まもなく病院で「自分はダメな人間だ」「生きている価値がない」「あまり眠れない」という内容を訴え、その一週間後には、主に学校で起こる「自分が自分でない感じ」「人が怖い」「人の視線が気になる」「家でも見られている気がする」「まわりの評価が気になって仕方ない」「人の中で生きていく自信がない」「ヒマだと不安になる」「不安で落ち着かない」「あまり眠れない」などの症状を訴え、休む目的で一週間入院しました。私はその時は、勉強や部活、生徒会活動など、真面目に取り組んでいたのと完璧主義なところ(こうであらねばならない、という思い込みが強い)があるので、ちょっと頑張り過ぎたね、疲れちゃったね、という見方でした。 入院した当初一週間くらいは本人自身も「私は普通かも。自分は仮病なんじゃないだろうか?」と言ったりしているぐらい、娘に会った誰に聞いても普通だね、という答えでした。その一週間後、幻聴が聞こえ始めたようです(リスペリドンの服薬が先か幻聴が先かわかりません。そして幻聴やその他の訴えた具体的な内容もわかりません。その後、自生思考があるようなことを、その時の主治医から言われましたが、詳しい説明はありませんでした。また、思考障害や妄想があるとは一切聞いたことがありません)。  その後の2ヶ月間は、病院にいたり学校に行ったりを繰り返し、病院にいると落ち着く、学校へ行くと落ち込む状態を繰り返していました(それでも学校に行きたいとは言い続けていましたし、その間に修学旅行も参加しています)。家の外では態度も言動もとにかく普通の状態に見えましたが、家では「生きていることが辛い」「やる気が出ない」という鬱のような態度を出していたような気がします。またその間に離人症状も頻繁に出始め「自分の目がテレビの画面で、その奥から見ている感じ」「お母さんが知らない人に見える」「自分の体から自分が抜けて30分後に戻ってくる感じ」、また「お母さんがいなくなったらどうしよう」「自分は将来騙されるのではないか」「火事になったらどうしよう」「何か間違いを犯すのではないか」「試験はどうなるのだろう」「将来はどうなるのだろう」など、私の前でも言葉で出し始めたり(2週間くらいで収束)、夜になると「私とずっと一緒にいてね、お母さん、お母さん」と、おずおずとしがみついて泣いたり(1週間くらいで収束)、昔の嫌な記憶が頭に甦ると言って頭を押さえたり(3分くらい、1週間くらいで収束)、テレビで怖い画面を見ると、それが頭から離れなくなって怖がったり(もともと怖がりでこの傾向はずっとある)する症状が表れ、その都度抱きしめたり、大丈夫だよと声をかけたり、手をつないで寝たりしてきました。  時には薬の影響か、ぼんやりした表情でいたり、眠る時間が以前と比べて長かったりしましたが(最高服薬量でリスペリドン2.5mg、セロクエル110mg)、これらの期間も、テレビを見て笑ったり、漫画や本を読んだり(時には雑念が浮かんで集中できないこともあったようです)、自分で物語を書いたり、音楽を聞いたり、病院にいても午後はほとんど私と車でドライブすることが多く、町中へ行っては大きな本屋や図書館でブラブラしたり、食事をしたりしていました。それなりに行動を共にしていましたが、ぼんやりする以外は、私にはこれと言って行動にも言動にも異常さを感じませんでした。それでもやはり人混みが苦手なことがわかったり、生きている意味を深く考えては落ち込む様子が見られたりし、決してはっきりとは言いませんでしたが、寝る前に私の手を握りながら涙をこぼすので、私から聞いてはうなずくという感じで「生きているのが辛い」「不安で苦しい」「死んでしまいたい」という思いを言葉なく聞きました。 4ヶ月前には、自分から完全に退院すると言い出したので、逆に驚いて聞くと(私は統合失調症と言われていました)「病院にいると孤独で寂しい」「自由が制限されている」(しょっちゅう運動したい、楽器を演奏したいと言っていました)とのこと。その2週間後、学校へ行き始めました。また、この頃に「自分の考えが外に伝わってると感じる?」と私が質問したところ、「全くない。むしろ全然伝わってないと思う」と答えています。 そして3ヵ月前に「自分の中に何人かいる」ことを初めて聞き、その他は【2442】で書いた通りの症状を聞き、経過も書いた通りです。 悪夢については、テレビでニュースやドラマで怖い場面を見ると、その記憶が不気味なイメージとなって夢に出てくる、だから眠るのが怖くなると言っていました。また、翌日に行う行動を前日の夢の中でそっくりやっていたり、実際は寝ているのに、完全に起きているイメージで夢の中で行動するなど、夢か現実かわからなくなることがあると言ってました。

この1ヶ月間の娘の様子は、夏休み中は朝寝坊やダラダラすることが多く、その生活態度は決して褒められるものではありませんでした。幾度かその生活態度に対して、親の私にとっては普通に口出ししたつもりでも、時には思いがけない以上に傷ついた様子を見せ(涙ぐむ、落ち込んだ様子でじっとしている。しかし30分後には鼻歌を歌っていたりする)たため、今は私が焦ってはダメだ、本人の意思にまかせようと自分に言い聞かせて接してきました。現在でも言えることですが、些細なことを言われるだけで全人格を否定されたような受け取り方をしがちです。しかしその後、徐々に自分で行動を始め、ほぼ毎日、授業のない日でも自主的に塾に行って勉強したり、部活に行ったりして過ごすようになりました。その後、学校も始まり、現時点まで毎日休まずに通っています。私に対しては反抗期のような態度が徐々に目立ってきましたが、過度の同調性が強すぎる性格はわかっているので、少しでも感情を出してくれることが、私にとってはとても嬉しいことだと受け止めています。
1ヶ月前に新しい主治医の3回目の診察を終えました。娘約45分、私10分の診察時間でした。  主治医にもこの1ヶ月の報告として、目立った体調変化は見られないこと。ただし、立ちくらみ、のどの異物感、体が石のように重い、動悸が激しくなることがしばしばあるなどの身体症状を報告し、また私が新たに知ったこととして、視界が全体にぼやけて見えていること(風景がそのままの色で全体にぼやけて見えるそうです。この表現では近眼との違いが私にはわからなかったのですが、本人は近眼とは違う見え方と言っていました)、体が自分のものでない感じがすることがあるが、じっとしていれば治ること、自分は偽物という感覚があること、夢の中で意識は自分だけど別の人間になっていること(時には外人だそうです)が多々あること、テレビのニュースやドラマの嫌な部分を見たことがきっかけで、小学校の時の記憶が甦って怖がることなどを報告しました。  娘の診察後、主治医からは「良い方向に向かっている」「非常に解離的」なこと(ただし、具体的にどういいのか?具体的に解離的とは?ということに対しては、今は健忘はないよという以外の話はなし。もちろん娘が何を話したのかもわかりません)、「薬を減らしてもいい」ことを言われました。 薬が減ることは大変嬉しいことなのですが、前の主治医にずっと「薬をやめたら再発するよ」と言われ続けた言葉がぬぐいきれず、どうしても恐怖心がわき起こる私は「統合失調症の可能性はないのですか?」「解離性障害でも突然、幻聴が聞こえ始めることはあるのですか?」と聞いてしまい、先生からは「まあ、その兆候はないね」「ケースバイケースだよ」と、「そんなに心配するほどじゃないよ」との答えをいただきました。そして大事なのは「距離感」と「見守ること」と言われました。(この「距離感」と「見守ること」が具体的にわからず、難しいのですが・・・) 虐待はない(と思いたい)ので、小学校時代のショックな出来事(友人の裏切りといじめ)に加え、原因のひとつに私からの抑圧や、愛情不足(両親共働きで、娘は一人っ子)もあると考えているので、その距離感をうまく取りたいのですが、なかなかわからず試行錯誤しています。 私から何かを聞き出すことは今は全くしていませんが、ちょっと前まで娘自身のことで何かを聞くと、答えたくないからか「ふーん、そうなの?」「じゃあ、そうなんじゃない」「そうなんだー」みたいな他人ごとのような答えが多く、考えてみればどう表現すればいいのかわからないのですが、全体に常にどこか他人ごとのような話し方が多い気がして仕方ないです。  現在、薬はリスペリドン1mg、セロクエル25mg(前は40mg)になりました。(元々の薬の処方は以前の主治医の先生です。今の主治医と相談して薬の量を決めていただきました。) 以前に、リスペリドンを1.5mgから1mgに減らした時、10日後ぐらいに鬱的な症状(やる気が出ない、死にたい気持ちが出る)が出てきて数日続いたことがあります。原因が減薬したためか、もともとの症状が何かをきっかけに悪化したのか、その見極めを尋ねたのですがそれは難しいようで、丁寧に見ているしかないと言われました。 現在の娘の様子は、私に対しては相変わらず反抗期が続いている感じで、数日ぐらいの周期で調子が良かったり悪かったりの波を繰り返しているように見えます。その波の振幅幅がだんだん小さくなっている気もします。また、小さい頃の思い出話をしたその晩、4歳の時に一回あっただけの夜尿がありました。薬を処方していただいている先生に連絡すると「退行」かなと。退行か眠りが深かったのか、薬の副作用なのか、今はわからない状況です。
大変長くなりました。私はわからないという不安に支配されています。ずっと統合失調症の疑いを言われ続けたので、なかなかそこから抜け出せません。今の主治医の先生と短い時間でもお話を伺うと、その時は一息つくのですが、また不安の渦に巻き込まれています。なぜ、こんなにも統合失調症の初期と解離性障害が似ているのか。何をもって解離性障害なのか?統合失調症なのか?確固たる何かが欲しくてたまりません。私が病気ですね。 病名が問題でないと頭ではわかっています。わからないながら娘を見守っていく気持ちを強く持って毎日、できるかぎり自然に明るくやっているつもりですが、一人になると不安の渦の中にいます。本当に自己満足でこの文章を書いています(私のリハビリのようですね)。まだまだこれからも報告したいと思っています。末永くよろしくお願いいたします。

 
林: 経過を詳細にご報告いただきありがとうございました。私からの回答は【2461】と全く同じで、娘さんは良い方向に歩き始めていると思います。
一方で、母親である質問者の不安もよく理解できるところです。その不安は母親として娘を思うお気持ちから来ていることは明らかであり、そのお気持ち自体は娘さんのためになることは疑いありませんが、それが過度の不安という形に変わると、逆にマイナスになることもしばしばあります。現在の信頼できる主治医の先生のお話の通り、

「距離感」と「見守ること」

が今は最も重要でしょう。
そう言われてもご家族としては

この「距離感」と「見守ること」が具体的にわからず、難しいのですが・・・

と言われるのももっともですが、具体的にわかる必要はなく、「距離感」と「見守ること」という言葉を忘れないだけで十分だと思います。
また経過をお知らせいただければ嬉しく思います。

(2013.11.5.)

その後の経過 (2015.2.10.)

05. 11月 2013 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 解離性障害