【3753】うつ病の薬を飲むのをやめると動悸が激しい

Q: 20代男、公務員です。主に事務の仕事をしています。
1年前にうつ病と診断され、継続的に薬を服用しています。

簡単に経過を書きます。
・職員へ話しかけることが精神的に難しくなり、仕事が行き詰まる。
・1年前に自殺未遂、それを機に精神科へ行きうつ病の診断を受ける。
・自覚症状
・動悸
・吐き気
・めまい
・不安感
・過眠?、朝起きられない
・処方薬
・イフェクサー37.5mg 一日1錠
・エチゾラム0.5mg 一日2錠
・半年前に朝起きられないことを伝えたところレクサプロ10mgからイフェクサーに変更された

動悸や吐き気などは子供のころから(覚えている限り中学生頃から)宿題や人への連絡などの期限が近づくと起こり、それらが初めて薬を飲んだ時に(仕事が残っているのに関わらず)霧散し驚いたことを覚えています。
それ以来薬を服用しているのですが、薬を飲むのを忘れると薬を飲む前の比にならないと感じるほどの動悸、不安感、吐き気、さらには徹夜をした後のような、風邪を引いたのに無理やり歩いているときのような、体がぶるっと震える倦怠感のようなものに襲われます。

この倦怠感についてお聞きしたいことがあります。

薬を服用することを忘れるとこの症状に襲われるのですが、

(1) これは副作用のようなものなのか
(2) これは元の症状が戻っているだけなのか
(3) これは薬の血中濃度が変わることで起きることなのか

お聞きしたいと思います。

 

林: ご質問の(1)(2)(3)は、残念ながら問いの立て方自体が不適切で、回答は困難です。
つまり、(1)の「のようなもの」とは、どのような意味で言っておられるか不明です。(3)の「薬の血中濃度が変わること」というのは、あたりまえのことを言っているだけで意味がありません。(薬をのみ忘れれば薬の血中濃度が変わるのはあたりまえですから、薬を飲み忘れた結果起こることはいかなることも「薬の血中濃度が変わることで起きる」と言えます)
したがいましてご質問の(1)(2)(3)にはとらわれずにお答えしたいと思います。

質問者が薬を飲み忘れたときに体験されている症状、すなわち、

薬を飲むのを忘れると薬を飲む前の比にならないと感じるほどの動悸、不安感、吐き気、さらには徹夜をした後のような、風邪を引いたのに無理やり歩いているときのような、体がぶるっと震える倦怠感のようなものに襲われます。

ここに記されているのは、いずれも自律神経系の症状です。
そして、この【3753】の質問者の元の症状とかなり共通していますが、「薬を飲む前の比にならないと感じるほど」というのが事実だとすれば、単なる再発や再燃とは言えず、また、一回飲み忘れただけで再発や再燃が起こるというのは考えにくいことです。
そうしますと、これは薬の離脱症状であるとみるのが最も妥当でしょう。離脱症状は、それまで維持された薬の血中濃度が急激に下がるときに起こる心身の反応ですので、ご質問の三つの中では(3)が最も的を射ていると言えます。

なお、メールには「薬を飲むのを忘れると」という記載しかなく、それはイフェクサーなのか、エチゾラムなのか、その両方なのかが不明ですが、この【3753】のような離脱症状は、どちらの薬を急に中止した場合も考えられます。ですがどちらかというとイフェクサーの中止のほうが原因だと思います。抗うつ薬は一般的には離脱症状は起こりにくい薬なのですが、イフェクサーは比較的起こりやすい抗うつ薬です。それは、半減期が短いという性質(血中濃度が下がりやすいという性質)によるもので、パキシルなども同様の性質を持っています。一方、エチゾラムは依存性が強く離脱症状も起こりやすいとされており、それ自体は事実ですが、1ミリグラムを中断しただけでこの【3753】のような強い離脱症状が起こることはどちらかというと考えにくいです。

(2018.11.5.)

05. 11月 2018 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A, 薬の副作用