【3691】パニック障害の治療として、抗うつ薬でなく抗不安薬を希望
Q: 40代女性です。半年前にパニック障害と診断されましたが、服薬することに抵抗があると医師に話したところコンスタン0.4を頓服として処方されました。この半年コンスタン0.4を頓服として外出時や不安感が強いときに1錠飲んでいましたが頓服として飲んでいたため思わぬ時に強い恐怖感や不安感が襲ってきてあわててその場で服薬しなんとかしのいだりすることもありました。そして最近SSRIを併用してみたのですが副作用(動悸と息苦しさ)があってSSRIは飲みたくなかったので漢方外来へ行ってみました。漢方の先生は頓服ではなくコンスタン0.4を一日一錠と漢方の併用を処方して下さったので現在それを飲んでいます。説明が長くなってしまいましたが、SSRIなどの抗うつ薬を飲まないとパニック障害の治療には時間がかかってしまうのでしょうか。漢方に即効性はないということはわかっていますが、できれば抗うつ薬は飲まずに治療したいと思います。また抗不安薬を頓服ではなくある程度長期間常用することはどうなのでしょうか。今は予期不安や広場恐怖もあるのでコンスタンはかかせません。
林:
SSRIなどの抗うつ薬を飲まないとパニック障害の治療には時間がかかってしまうのでしょうか。
そうとは限りません。
しかし、
できれば抗うつ薬は飲まずに治療したいと思います。
その理由が不明です。というより、全く不合理な希望だと思います。何か特別な理由があれば別ですが、標準的に認められている治療を拒否するというのは、治りたいという気持ちが弱いと判断されても仕方ないでしょう。(ある1種類の抗うつ薬を飲んで副作用が出たからといって、すべての抗うつ薬を嫌うのは不合理です)
また抗不安薬を頓服ではなくある程度長期間常用することはどうなのでしょうか。
それは悪いとは限りませんが、一般論から言えば、抗うつ薬を飲むよりも、抗不安薬を長期飲み続けるほうがよくないこととされています。依存性の問題が無視できないからです。でかすら、「抗うつ薬は飲みたくないが、抗不安薬なら飲みたい」というのは、むしろ有害な可能性が高い治療法を希望しているとみることができ、現代では不合理な希望ということになります。但しそれも一般論ですので、必ずしも抗不安薬を飲み続けることが悪いとは限りません。
いずれにせよ、パニック障害の治療は、抗うつ薬、抗不安薬、薬以外、などいくつもの選択肢があります。どれが適切かは症状や経過によって決まることであって、合理的な根拠なくどれかの治療を拒否したり、どれかの治療を望むのは不適切なことです。
(2018.6.5.)