【3487】大暴れして入院を繰り返している18歳の娘

Q: 私は50代の母親、娘は18歳、中学で養護学校に転校し高校3年です。週に2日位、2~3時間、私の送迎で登校しています。実母である私と6歳のときに再婚した夫の3人暮らしです。普段は夫とは仲がいいですが調子を崩すと私をとった敵になります。同じ町に別れた実の父親が住んでいます。
13歳のときに学校でのいじめがきっかけで2学期から不登校・ひきこもり・昼夜逆転・私に強い不信感で反抗などがあり、精神科のクリニックに通院を2回し、特に診断はつかないが抗うつ薬が処方され娘は「ふらふらする」と言い喜んで飲んでいました。私はどうしていいかわからず黙ってみていました。それから2ヶ月後くらいで、ためていた耳鼻科の薬を50錠くらい飲み公立の精神科に入院。すぐに統合失調症の診断でした。
5年の間に2週間~1か月、10数回の入院をしましたが、理由は思い通りにならないことがあると「叫ぶ・壁をたたく・ける・死ぬと言って手首を切ったり線路にいくといなくなって警察に私が通報」など私が抱えきれなくなることが直接のきっかけになりました。幻聴・幻覚・妄想・信号が送られてくるなどの本によく出てくるわかりやすい症状は娘はないといいます。融通がきかない・両価性・退行・先のことを細かく考えすぎる などが主治医から聞く病状です。最初の主治医はヒルナミン・リスパダール中心の処方で2人目からの(今は3人目)主治医はデパケンR主体の処方です。詳しくはわかりませんがかなり多い服薬量だと思います。手帳は1級です。
最初のころはあまりああしろ、こうしろと言うと負担がかかるのではないかと思い、極力やさしく接して来たのですが、周りの人を自分の都合のいいように動かそうとする言動があまりに目に余ってきたため、制限をかけることも必要と思い、できないことはできない、自分でできることは自分でするように、など少しきつく接するようにすると、それが気に入らないと椅子を床にたたきつけて壊したり壁をけって穴をあけたり叫び続けたりを繰り返すようになりました。1日のうちで気分が大波のようにめまぐるしく変わり、けらけら笑っていたかと思うと急に怒り出して手がつけられなくなります。
今も入院中で、病院では比較的順調に過ごしますが、退院して通学したりと現実と向き合うととたんに調子を崩し、ずっと同じことの繰り返しです。高校を卒業したら進学するとか東京で就職するとか、非現実的な希望を話し賛成が得られないとまた暴れます。病院のスタッフは病棟内での娘しか知りませんので、家庭生活へのアドバイスはなかなか的を得た物にはならないと感じます。
私とぶつかると実の父親のところに行くから親権を放棄しろと娘はいいますが、親権で別れた夫と調停した結果娘はこちらにきました。成人するまでは私と一緒にいてほしいと思っています。 薬でできることはきっと限界があるのだろうと思いますが、このような困った娘の症状を和らげるにはどうしたらいいのでしょうか。一時期はパーソナリティ障害ではないかと主治医に聞いたことがありますが「それはないでしょう」とのことでした。服薬のほかにできることはないものでしょうか。

 

林: 質問者が一時感じておられたように、どちらかというとパーソナリティ障害のように見えます。統合失調症であるという診断根拠をよく主治医からお聞きになったほうがいいでしょう。

1日のうちで気分が大波のようにめまぐるしく変わり、けらけら笑っていたかと思うと急に怒り出して手がつけられなくなります。

これは統合失調症だとすれば治療がかなり不十分な時期の症状ですし、パーソナリティ障害には、異様過ぎてあてはまらない症状です。しかし「けらけら笑っていた」「急に怒り出し」の具体的状態によっては、パーソナリティ障害だとしても矛盾はありません。

病院のスタッフは病棟内での娘しか知りませんので、家庭生活へのアドバイスはなかなか的を得た物にはならないと感じます。 

医療の立場からすると、それでは治療になっていないと言わざるを得ません。家庭での状況について、ご家族から十分にお伝えすることが、今後の適切な対応への第一歩だと思います。

(2017.8.5.)

05. 8月 2017 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A, 統合失調症