【3590】多趣味・凝り性は病気のせいでしょうか

Q: いつもサイトを拝見しております。
私は30代後半の双極性障害2型と診断されている女性です。
医師に少し自閉傾向もあるようだと言われております。

今回ご相談したいのは、私の多趣味・凝り性な性質についてです。

子どもの頃から集中力が強いと言われていましたが、大人になった今では何かに夢中になると、食事を忘れ(気付くと低血糖になります)、寝るのも惜しくて、そのことばかり考えるようになります。夢中になる対象は手芸、映画、有名人、動植物、何かの収集…など様々で、大体2、3ヶ月は続きます。その間、関連書籍を買いあさったり、ネットショップやオークションでもよく買い物をします。 そして急に他のものに興味が移ります。

過去にそうして好きで始めたことを今仕事にしていますが、体調の不安もあり、また独学なこともあり、今のままでは中途半端なのでは悩んでいます。趣味にしても夢中になるわりにここ数年は特に忘れっぽく、覚えたことが身になっていません。
私の趣味の徹底ぶりや作ったものなどは他人には褒めてもらうのですが、自信が持てません。
仕事を失うことも恐れていて、お金を使うことに罪悪感を感じたりもします。

双極性障害の診断を受けてから色々病気について調べると、どうも同じように熱し易く冷め易い感じの人が多くいるようだと感じるのですが、これは病気の影響があるのでしょうか?
最近では、新しいことに興味を持つと「どうせまた冷めるんじゃないか」と虚しくなったり、もしかしてこれは現実逃避かある種の依存なのではと思ったりもします。
気持ちよく趣味に没頭できなくなった自分がいるのです。

 

林:
多趣味・凝り性は病気のせいでしょうか。

わかりません。理由は次の通りです。

1. 質問者がなぜ双極2型障害と診断されているかがわかりません。この診断が下されるためには、うつ病相と軽い躁病相があることが必要条件ですが、質問者におけるそれらの病相は具体的にどのようなものであったか、また、そもそもそれらの病相が本当にあったのかどうかが不明です。したがって質問者の診断名が不明ですので、「多趣味・凝り性は病気のせいでしょうか。」という質問に答えるための基礎となる「病気」が何であるかが不明です。これが最大の問題です。

2. このメールに具体的に記されている、「熱しやすく冷めやすい。しかもその程度がかなり顕著。そして忘れっぽい」は、自閉スペクトラム症でも双極性障害でも、さらには特に病気でなくてもあり得ることです。躁病相(または軽躁病相)のみにこの傾向が現れるのであれば、双極性障害の診断に傾きます。しかし、たとえそのような場合でも、双極性障害のご本人はそれをはっきり自覚していない(「それ」とは、ある時期のみにそのようなことが現れることです)ことも多いので、本人申告だけからの判断は困難です。

また、この【3590】に見られる「熱しやすく冷めやすい」傾向はかなり顕著ですので、もしある時期のみにこの傾向が見られるのでなければ、自閉スペクトラム症の診断に傾くでしょう。それによって本人も周囲も特に困っているのではなければ、「自閉スペクトラム症の傾向あり」にとどまり、診断がつくには至らないことになりますが、

何かに夢中になると、食事を忘れ(気付くと低血糖になります)

これは危険なレベルですので、

子どもの頃から集中力が強いと言われていましたが、

このことと合わせると、自閉スペクトラム症と診断できる可能性は高いと言えるでしょう。
(するとなおさら、双極2型障害の診断根拠が気になることになります)

なお

双極性障害の診断を受けてから色々病気について調べると、どうも同じように熱し易く冷め易い感じの人が多くいるようだと感じるのですが、

これは上記の通り、「しかし、たとえそのような場合でも、双極性障害のご本人はそれをはっきり自覚していない(「それ」とは、ある時期のみにそのようなことが現れることです)ことも多い」に起因するのかもしれません。(質問者がお調べになった内容が、患者本人申告の情報だったとすれば ですが)

(2017.12.5.)

05. 12月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 精神科Q&A, 躁うつ病