【3196】双極性障害 I 型と診断されましたが納得できません (【2983】のその後)
Q: 【2983】薬を処方されましたが飲んでいません。だって神様が飲まなくていいと言ってますし、私が精神病のわけがないからです。のメッセージを送った20代女性です。
林先生,あの時はキツい事を言って申し訳ありませんでした。
メッセージを送った頃,私は薬を飲んでいなかったのですが,悪魔から襲われる声がますます激しくなって動けなくなり,薬を飲み始めると躁が治まり今は穏やかに過ごしています。主治医から「あとギリギリのところであなたを入院させようと考えてました」と双極性障害I型の診断が出ました。林先生も入院を考えたほうがいいとおっしゃってましたね。そんなに私はひどい状態だったのでしょうか。躁状態の頃,私は普通に仕事に行けましたし(「仕事は休みなさい」と主治医から止められていましたが)衝動買いもせず,買い物額はいつも通りでした。誰にも暴言を吐いたり暴力も振るってなかったです。でも,主治医は「あなたの躁は人に危害を加える可能性があります」と言われ,皆私の事を「躁状態だね」と言っていました。あまり自覚はないのですが,確かに躁状態の症状だろうなと思う事もあります。
(躁状態の症状と思われるエピソード)
・普段は無口なのに多弁になる。
・「薬を飲まなくて良い」と神様からのお告げや悪魔から襲われる声が聞こえる。
・場所問わず歌う。(市バスや喫茶店の中などの静かにしないといけない所で歌う)
・知らない人に向かって英語で喋りまくる。
・世界中の人からモテていると妄想が出て,ナンパをする。
・お酒を飲んでODするという自傷計画を考える。
私が躁状態になった原因はストラテラによる躁転だろうと主治医から言われました。以前にもお伝えした通り,私はアスペルガーと診断されていて,それが原因で不注意が多く,ストラテラとパキシルCRとルーランを処方されてました。
(アスペルガーの症状)
・WAIS-Ⅲの結果,言語性118・動作性78と大きな差がある。
・会話中,相手の話をすぐに忘れてしまったり,イメージができない為に相手の話が理解できずに指示通りに行動できない事がある。
・腹が立った時,感情的になり思った事を正直に言う。
・話がずれていてかみあっていないと主治医から言われる。
・不注意があり,仕事中他の指示が入ると元の作業を忘れる。
・気になった事があれば,場の空気を読まずに質問しまくる。
ストラテラを飲み始めると,集中力が高まって仕事中のミスが減り,とても嬉しかったのですが,一ヵ月後急に精神的に不安定になり,変な考え(精神科に入院することは素晴らしいという考えです)が出てきて,日に日にその考えが激しくなり仕事が手につかなくなるくらいひどくなりました。しかし,ある日突然身体全体がエネルギーに満たされた感覚になり,ハイテンションになって「幸せだから,私はODしてもっと幸せになります。」と大声で意味不明な事を主治医に言いました。その頃に躁状態と診断され,治療を行ってました。残念ながら,ストラテラとパキシルCRは躁が出る可能性があると処方されなくなり,今はデパケンRとルーラン(ジプレキサは体重が増えたので中断してもらいました)を処方されているのですが,薬を飲みたくないのと元気に過ごせているので再び飲んでいません。私は薬を飲まなくても元気に過ごせる時期もあるので,元気な時は精神科に行かなかったり薬を飲まなかったりする事があるのですが,突然調子が悪くなる時が多々あります。でも,双極性障害I型と診断されたので,飲まないと躁が再発するのかなと思ったりします。
林: その通りです。あなたは双極性障害I型です。そして精神病症状を伴っています。薬を飲まなければまた確実に再発するでしょう。
そんなに私はひどい状態だったのでしょうか。
ひどい状態でした。
躁状態の頃,私は普通に仕事に行けましたし(「仕事は休みなさい」と主治医から止められていましたが)衝動買いもせず,買い物額はいつも通りでした。誰にも暴言を吐いたり暴力も振るってなかったです。
躁状態の自覚がなかったのだと思います。客観的にはひどい躁状態でも、本人は一向にその自覚がないことはしばしばあります。それは病気の重さを反映していると言えます。
でも,主治医は「あなたの躁は人に危害を加える可能性があります」と言われ,皆私の事を「躁状態だね」と言っていました。あまり自覚はないのですが,確かに躁状態の症状だろうなと思う事もあります。
主治医の先生の説明が正しいと思います。あなたにもある程度回復した時点で病識(病気であるという自覚)が出て来たのだと思います。しかし薬を飲まなければまた悪化して病識はなくなるでしょう。
私は薬を飲まなくても元気に過ごせる時期もあるので,元気な時は精神科に行かなかったり薬を飲まなかったりする事があるのですが,
必ず薬を飲んでください。「薬を飲まなくても元気に過ごせる時期もある」のは、双極性障害ではごく普通のことです。そしてそれは、本当に健康に過ごせている場合もあれば、実際は病的な躁状態なのに、本人だけが元気だと思っているだけの場合もあります。
(2016.4.5.)