【3129】人の話を聞けない・何でも簡単に信じてしまう・異様な緊張・顔が覚えられない・・など

Q: 私は現在29歳の男性で以前甲状腺亢進症と社交不安障害と診断されております。
昔から組織に馴染む事がとにかく苦手で仕事を転々としてまいりました。
そして現在の仕事をはじめて2ヶ月、自分のあまりのふがいなさに病気と何かしらの障害を疑うようになりました
そこで自覚している症状、悩みを羅列致しますので思い当たる病気等がありましたらお答えいただけると幸いです。

・人の話をきけない
日常会話でも理解できない部分が多く、わからない事だらけ。質問してしまうと話が進まないので理解できないまま話を進めてしまう。また、聞いていたはずなのに頭に入らず、すっぽり記憶から抜け落ちてしまう。(通院時の医者に対してもそう)

・会話ができない
相手の求めている返事がわからず、頭がパニック状態になる。
言葉そのままに受け取ってストレートに返答する事しかできない。
また、聞かれた事しか話せない。(自覚症状中学生頃から)

・物事を何でも簡単に信じてしまう
たとえ相手が変なことを言っているとしても疑問がもてない。

・まわりの人間に対して異様に緊張する。
現在では家族にさえ完全には心を許せない。一歩ひいた付き合い方になってしまう。

・ある程度心を許せる人間がいないと体と頭がこわばり、何もできなくなる
例えばタメ口で話せるような間柄の人間がいないとまともにしゃべれず、外を歩く時も辛い。また、そういった相手とさえどういった会話をしていいのかわからない時があり、軽いパニック状態に度々陥る。(小学校高学年頃から自覚)

・視線が怖い
人に見られるのが、得に知人から見られる事がとにかく怖い。また、こちらから見る事もできない。

・人の顔が覚えられない
自分の家族ですら普段と違う格好をしていれば同じ人物と認識できない。

・一つの事しかできない
なんらかの作業に集中しているとまわりの声が聞こえない。この状態を改善しようとまわりに気をまわしていると考えが鈍り、作業も話を聞く事もどちらも疎かになる。

・理由もなく気分の浮き沈みが激しい
一日のうちに得に理由もなくある程度しっかりと頭の働くすっきりとした時間、頭にもやがかかったようになり、とにかくネガティブになる時間がある。

・体調面
動悸は早くて当たり前。常時下痢気味。一日の仕事が終わるとくたくた。人一倍寝ないと疲れが取れない。一人のときでもリラックスできている状態がない。

・順序だてて話すことができない
現在書いている内容の様に思いついた事しか話せない。話そう話そうと思っている内容があっても記憶に残らない。また、相手に伝わるように組み立てることができない。

現在思いつく悩みはこのようなものになります。私は病気なのでしょうか。

 

林: あなたは発達障害だと思います。おそらく間違いないでしょう。
精神科Q&Aの発達障害の他のケースをご参照ください。あなたと同様の経験をされている方々がたくさんいらっしゃることがおわかりになると思います。
また、この【3129】のケースは相貌失認も合併しているようです。発達障害に相貌失認が合併するのは珍しいことではありません。【1509】アスペルガーと診断されていますが、人の顔が覚えられません などをご参照ください。
なお、現代の日本では(世界でもそうですが)、発達障害をめぐる診断名は混乱しています。この【3129】でいう発達障害は広汎性発達障害を指しています。アスペルガー障害という診断名も同様のケースに対して用いられます。(厳密にはアスペルガー障害と広汎性発達性障害はイコールではありませんが、事実上は同じように用いられています)
おそらく今後は自閉スペクトラム症というのが、最もよく用いられる診断名になると思います。
これら(発達障害、広汎性発達障害、アスペルガー障害、自閉スペクトラム症)は、厳密には同じではありませんが、実際の用いられ方としては同じと考えていただいて差し支えありません。

(2016.1.5.)

05. 1月 2016 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 相貌失認, 精神科Q&A