【2925】落ち込みがひどいのは躁うつ病の再発でしょうか
Q: 37歳、男です。現在は無職です。
28歳の頃、仕事中に舌がピリピリし始め、おかしいな?と思いながら、一年間通勤していました。
一年後、舌のピリピリ感に加えて、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、眠れない、食欲もない、めまいという状態になりました。
結果、車のハンドルを持つことができず、その日から、通勤できなくなりました。
これはおかしいと感じ、内科に受診することにしました。結果は、うつ病と診断されました。
当時の私は、精神科や心療内科という科が存在することを知らなかったので内科で通院していました。その内科の医師は、精神科のある病院の内科医をしていたそうです。
その内科で、週一回のペースで二年程通院していました。
医師は、一生懸命様々な薬を処方しておられました。
しかし、状態は治癒することなく、希死念慮、日内変動、過食、不眠、電車、車に乗ることができない。乗車すると、パニックになり、嘔吐を繰り返していました。
そのような日々が続き、衝動的にとうとう首つり自殺をはかりました。ひもの結びが、緩かったのか、目が覚めると、病院のベッドの上でした。
入院はせず、その日は自宅に帰りました。
そのことを、両親とともに、通っていた主治医に相談しに行きました。主治医は、そこまで(自殺未遂)なってしまったなら、私の手には負えないと言われました。 そして、大学病院を紹介していただきました。そこで、はじめて精神科、心療内科という科を認知しました。
しかし、病院に行くまでが、大変でした。電車で約1時間ぐらいでしたが、私の場合パニックになる、嘔吐するなどで、電車はあきらめ、車で通院しましたが、動悸、嘔吐で病院につくまで、地獄でした。三か月ぐらい通院したと思います。
あまりにも辛いので、地元の精神科で診療させてもらえませんか?と問うたところ、では、そうしてくださいということで、現在の精神科の診療所にお世話になっています。
診療所の診断は、うつ病でした。
投薬で、どんどん回復していきました。(つもりでした)
しかし、3年ぐらい前、主治医から「リフレッシュのつもりで入院してきなさい」と言われ、正直戸惑いました。「なぜ?回復してきたのに…」
主治医の仰るとおり、二か月入院しました。何の問題もなく退院したつもりでした。もう完治したと堂々と、地元の主治医のもとを訪れました。
しかし、主治医の言葉に耳を疑いました。
「○○さん、あなた躁うつ病になって退院していますよ」と言われました。
「躁うつ病?なぜ?」というのが私の印象でした。
入院前から、うつ病とは何か?どうしたら回復するのか?を知りたくて、読書しました。
「うつ病の相談室」「サイコバブル社会」「擬態うつ病」「もううつにはなりたくない」「うつ病は治る」「うつ病〜患者・家族を支えた実例集」「軽症うつ病」「心の悩みの精神医学」「うつ病と神経症」etcです。
そんな中、躁うつ病という新しいキーワードが出てきました。自分では、うつ病と認識していましたので、書物の中に躁うつ病が出ていましたが、読み流す程度でした。
今現在考えると、躁うつ病なんだなと思うことが、度々考えさせられます。
自分が一番偉い・ケンカっぱやい・髪の毛を金髪にする・尋常でないテンション・うつとの差がひどい・とにかくよくしゃべる・健常者では、絶対しない行動をとる・とにかく誰かと話したくて、夜中でも電話をかけるなど、枚挙にいとまがありません。
しかし、当時の私は、善悪の判断がついていなく、本当に申し訳なく思っています。
それから、躁うつ病と戦いが始まりました。うつの時は、人生のどん底に落ちたかのような状態で、死ぬことばかり考えていました。
そこから、だんだんと気分が上がっていき、躁になると何でもできるぞ!私は、無敵だ!と上記のような行動をとっていました。
しかし、現在ではそのような迷惑行動を、客観視できるようになりました。そして、主治医の見解から、生活介護事業に通所することになりました。一年半ぐらい通所し、次のステップの就労移行支援事業に通所しています。
しかし、二か月前くらいから、体調がおかしくなってきたような気がします。
うつの再発か?と感じる程、落ち込みがひどく希死念慮、漠然とした不安で、恐怖を感じる、食欲がない、常にレム睡眠で何度も目が覚める、疲れがとれない。
主治医に上記の状態を伝えました。私は、せめて睡眠だけでもしっかりとれるようにしてほしいと伝えたのですが、
「今の処方が限界です。、就労移行支援事業に通所できてるんでしょ?ならそれでいい。睡眠にこだわってはいけない。」との事でした。
現在も、体調が不安定で、就労移行支援事業所を休んでしまいます。
躁の方は、今のところなりをひそめています。
私は、少し躁うつ病が、ぶり返してしまったのでしょうか?
それが一番怖いです。
処方されている薬は、しっかり飲んでいます。通院は、二週間に一度です。
現在の処方です。
コロネル錠5002錠
リーマス2002錠
ラミクタール錠252錠
マグミット錠3301錠
アーテン錠21錠
ピーゼットシー糖衣錠21錠
タスモリン錠1昼・夕 1錠
レキソタン錠51錠
トラベルミン配合錠 夕 1錠
エビリファイ錠 就寝前 2錠
ゾピクロン錠101錠
コントミン糖衣錠251錠
頓服 ロラゼパム錠1
林: 躁うつ病の再発でしょう。今は躁うつ病のうつ病相になりつつ時期なのだと思います。
現在の処方は、明らかに種類が多すぎると感じられるものですが、難治性で何年も薬物療法を続けてきた場合には、やむを得ずこのような処方になってしまうこともありますので、種類の多さだけから適切とか不適切と判断することはできません。
この【2925】のケースが躁うつ病である以上、この処方の中ではリーマスとラミクタールが主要な薬と解釈できます。これらの薬が必要十分かどうかが、種類の多さ・少なさよりも治療上は重要です。リーマスに関しては、服用している量ではなく、血中濃度に基づいて量が適切かどうかを判断すべきものですので、血中濃度の記載がないこの【2925】において、リーマスの量が適切かどうかは判断不可能です。
また、躁うつ病と確定診断された場合には抗うつ薬は処方しないというのが現代では主流になりつつある考え方ですが、それが必ずしも正しいとは言えず、この【2925】の現在の状態のようにうつ病相になりつつある場合には、抗うつ薬の処方も考えられるところです。その意味で、
今の処方が限界です。
という主治医の先生の説明は今ひとつ納得し難いところですが、このメールに書かれていない何らかの重要な所見に基づき、抗うつ薬は処方しない・これ以上の処方変更はしないなどの方針が立てられているのかもしれません。たとえば、これまで【2925】のケースでは抗うつ薬を服用すると手のつけられない躁状態になるのが常であったような場合です。
以前の入院のときはそのような状態で、しかも病識が全く失われていたのかもしれません。そう推定する根拠は、
3年ぐらい前、主治医から「リフレッシュのつもりで入院してきなさい」と言われ、正直戸惑いました。「なぜ?回復してきたのに…」
この記載から、当時は精神科に入院することが必要な状態で、かつ、ご本人にはその認識が全くなかったことが読み取れるからです。単にリフレッシュのために精神科に入院するなどということがあるはずがありません。相当重症な状態だったに違いありません。
したがって、この【2925】の現在の状態については、「躁うつ病の再発で、うつ病相になりつつある」とまでしか言えません。治療が適切か不適切かは判断できません。
(2015.3.5.)