【2892】盗癖・虚言ありと見ていた父の死後も、母は被害妄想的なことを言っている(【2826】のその後)
Q: 【2826】脳腫瘍の父の盗癖と虚言でご回答いただいた50代女性です。どうもありがとうございました。何が真実かは永遠にわからない、ということがわかりました。スッキリはしませんが、何か遠いところがボンヤリ見えたような気がします。
父の死の直後は、母もかなり参っている様子でした。しかし、徐々に家にいるばかりでは良くないという周りのアドバイスもあって、もともと父よりは社交的な母は、馴染みのカラオケスナックなどに出かけるようになったみたいです。
父の死後2カ月ほど経って、母から電話がありました。「最近また不思議なことが起きるの。カラオケに行くと、化粧品の位置が変わっている。薬も、包装が破れてることがある。
いつもキチンと並べてるのに。XX(私の弟の名前)がやってるんじゃないか」と言われました。頭を殴られたような衝撃でした。言葉が出ませんでした。涙が噴き出しました。
おかしいのは母の方だったのか….と、呆然とする頭で、すぐ実家の地元の「保健福祉センター」に電話して尋ねてみました。「高齢になると、記憶違いというのはよくあります。物をXXに盗られる、とおっしゃる方には、すぐに否定しないで『おかしいねぇ、XXはやってないと思うけど、一緒に探してみようか』というふうに、いっしょに探してみてあげてください」「防犯カメラとか設置するのはどうなんでしょうか」と尋ねたら「次には『防犯カメラが壊れてる』とか『誰かが画像をいじってる』とか言うようになるので、設置しないほうがいいです」と忠告されました。
そのセンターでも「お父さんが盗っていたかもしれないし、そうじゃないかもしれない、それはわからない」と言われました。そうだろうと私も思います。けれど、母の言ってることも正しかったわけじゃなかったのです。
私は父に「お父さんが盗ったんでしょ」と一度も言ったことはありません。でも、これまでの彼ら夫婦のありようを見ていて、やはり母の言うことの方を父の言うことより信用していたと思います。
母のその発言の後、私自身も混乱して、自分が絶対正しいと信じ自分の見たいようにしかものごとを見ない母が、もともととても苦手だったこともあり、今後どういう心持ちで母に接していけばいいのか、そもそも母と接することが今後できるのだろうか、という思いで悶々と過ごしました。けれど、意を決して電話したら「少しくらい位置が変わっていても、あんまり気にしないでやろうと思って。夜はまだ寂しいけど、カラオケで友達もできて、楽しいのよ」と言われ、拍子抜けしました。弟に対してはそういう風に思えるのに、父に対しては頑なに「嘘つき」呼ばわりし、自分の言い分を絶対に譲らなかった母。長年の恨みは心から決して消えないのだな….と思いました。
父はろくでなしでしたが、ろくでなしにはろくでなしの苦しみがあったと思います。誰もそれをわかってあげることができませんでした。でも、父が亡くなったとき「申し訳ないけど、半分はホッとした」と言っていた母が、今少しでも楽しいと思える生活をしているのなら、それを良しと思うしかないです。
けれど、私は夫と、あのような夫婦には絶対になりたくない。酷いこともされたし、悪いところのある相手の中にも、良いところだってあるはずで、父も定年まで教師として勤め上げたフットワークの軽い人でした。お互いの良いところを引き出せる関係でなければ一緒にいる意味はないと思います。「自分にだって悪いところがある」と思うことからしか良い関係は築けないのではないでしょうか。「自分が正しい」と思うことは百害あって一利なしのように最近思います。これが、私の父母から、私が学んだことです。余談でした、申し訳ありません。
お忙しい中、ご回答本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。
父の死後2カ月ほど経って、母から電話がありました。「最近また不思議なことが起きるの。カラオケに行くと、化粧品の位置が変わっている。薬も、包装が破れてることがある。
いつもキチンと並べてるのに。XX(私の弟の名前)がやってるんじゃないか」と言われました。頭を殴られたような衝撃でした。言葉が出ませんでした。涙が噴き出しました。
とのこと、【2826】の回答で指摘した三つの可能性、すなわち、
・お父様がお母様の物を盗んだ
・他の誰かがお母様の物を盗んだ
・そもそも誰もお母様の物を盗んでいない (お母様の虚言または妄想)
のうちの第三、「お母様の虚言または妄想」であることがわかったということになりますが、他の記述をあわせると、「虚言または妄想」のうちの「妄想」という結論になるでしょう。
私は父に「お父さんが盗ったんでしょ」と一度も言ったことはありません。
とのことですが、【2826】の次の記載、
「とりあえず、一回でいいから、お母さんにこれまでのことを謝ってよ、でないと状況は変わらないよ、甘ったれたこと言わないでよ」と、私もイラッとして電話で叱咤してしまい、その1週間後に父は自殺しました。
からは、たとえ「お父さんが盗ったんでしょ」と直接は言っていないにせよ、無実なのに盗人よばわりされているお父様に対する適切な接し方であったとは言えないでしょう。その背景には、お父様が盗った可能性が高いという質問者の推定(根拠の乏しい推定)があります。
「寝る時に目を閉じるのが怖い」「俺はどうしたらいいんだろう」「死にたい」などの言葉が頻発していたようなので、鬱病か何かしらの精神疾患レベルだったことは間違いないと思うのですが、
お父様がこのような状態に陥った理由の一つが、お母様から繰り返し盗人よばわりされていたことだとしても、上のような叱咤ができたでしょうか。
「自分が正しい」と思うことは百害あって一利なしのように最近思います。これが、私の父母から、私が学んだことです。
この一文、お母様の妄想を信じ込んでいたご自身にもあてはめておられるのでしょうか。
(「信じ込んでいたわけではない」「自分が正しいと思っていたわけではない」のは理解できますが、お父様にとっては、質問者がお母様の妄想を信じ込んでいたのとほぼ同じだったと思われます)
父が亡くなったとき「申し訳ないけど、半分はホッとした」と言っていた母が、今少しでも楽しいと思える生活をしているのなら、それを良しと思うしかないです。
これについてはコメントはありません。
最後にあらためて、このご報告をいただいたことに深く感謝申し上げます。ご自分の判断が誤っていたことをこうしてご報告されることには、かなりの抵抗があったと拝察しております。にもかかわらず、こうして事実をご報告いただいたことで、妄想や虚言の実際と、それによる周囲の方々の混乱を、多くの方々に知っていただくことができたと思います。ありがとうございました。
(2015.1.5.)