【2625】スピリチュアルカウンセリングに傾倒した同僚

Q: 私は30代女性です。スピリチュアルカウンセリングに傾倒している同僚(私と同年代)が、精神を病み始めているのではないかと心配しています。 彼女はもともと占いが好きで、パワーストーンのブレスレットなどを好んで身に着けていましたが、スピリチュアルカウンセリングに通い始めたのは1年半ほど前です。大変裕福なご家庭の一人娘で、御両親との関係も良く、仕事でも大きな悩みはなかったと思います。 彼女は機嫌が悪いと、すぐに顔や態度に出してしまうところがあったのですが、ある女性ヒーラーのセッション(カウンセリング?)を受け始めてから、そういったことが少なくなって人当たりが良くなりました。そのため、初めは、オーラだの守護霊だのという話は信じられなくても、スピリチュアルカウンセリングは悪いものではないなと思っていました。 ところが、半年ほど前、彼女が怪我(足の疲労骨折)で休職した頃から、様子がおかしくなりました。 お見舞いに行くと、玄関から部屋の中まで、たくさんのキャンドルが火のついた状態で床に置かれていました。花を生けた花瓶も、キャンドルほど多くはないのですが、床に並べられていました。壁際にずらっと並んでいるので、異様な感じがしました。 「毎日、悪夢を見る。誰かがそばにいないと眠れない。夜は一人でいたくない」と彼女が言い出したので、その日は泊まっていきました。真夜中に彼女の悲鳴で目を覚ますと、彼女はホラー映画のような夢を見たと泣きじゃくりました。 しばらくは職場外の友人を呼んだりして一緒に過ごしていたようですが、いつの間にかヒーラーの家に泊まるようになっていました。 「医者は軽傷と言うけど、全然痛みが取れない」と、彼女が怪我のことをセッションで相談したら、「名医がいる」とヒーラーにイギリスでの治療を勧められたそうです。(ヒーラーは「自分の手法はイギリスでは医療保険で認められている」などといい、何かとイギリスの話をするそうです)彼女は言葉の面で渡航を悩んでいましたが、ヒーラーに説得され、ヒーラーを連れて、イギリスに「XXX」(検索すると、胡散臭い話ばかり出てきます)の医師と理学療法士の治療に出かけて行きました。治療は効果があったようで、「XXX」の医師に暖かい国での転地療養を勧められ、南欧を経由して帰国した頃には、痛みはなくなっていたそうです。 しかし、帰国後も「誰かがそばにいないと眠れないという状態は変わらない」と言い、相変わらずヒーラーの家に泊まり込んでセッションを受けていますが、ヒーラーに相談しないと物事を決められなくなってきました。 そして、目つきが変です。心ここにあらずというような、ぼーっとした目つきや、逆に睨み付けるような鋭い目つきをしたりすることが多くなりました。以前の彼女には、コンタクトレンズをはめていても、遠くをみるときは右目だけを細めて見る癖があったのですが、なぜか最近はなくなりました。 また、イギリスへ治療に行くことを決めた頃から、彼女の文章はやたら読点が多くなりました。周囲に病んでるのではないか?と心配された後に来たメールがこれです。「みんなが、心配、してくれるのは、嬉しいけど、ちょっと、重い。私は、大丈夫。ちゃんと、前を、向いて、進んでる。みんなも、もっと、 前向きに、考えようよ。私は、こんなこと、言う、○○ちゃん(私の名前)たち、の方が、病んでる、って、心配だよ。」(「○○ちゃん(私の名前)」以外 は原文のままです) こんなメールの一方、「年末まで無事に生きていたい」と、死を意識したお年寄りのようなことを言ったりもしますが、支離滅裂というほどのことはありません。 彼女はヒーラーに洗脳されているだけで、病気ではないという人もいますが、そうなのでしょうか? なんとなくうつ病のような感じもするのですが。そして、これから私たちはどうすればよいでしょうか?ご教示ください。

 
林: このような怪しげなものに傾倒する場合、ただの軽薄な人、または知能の低い人ということも考えられますが、統合失調症の発症ということも考慮しなければなりません。 【0938】心霊スポットに行ってから言動が変になったのような例もあります。また、統合失調症の人は霊など神秘的なものとの親和性が高いことがあります。 【0281】霊能力者と分裂病の違いは?【0365】精神分裂病と宗教【0913】霊視をしてもらい先祖供養をしてほしいと言う娘 などをご参照ください。

なお、

なんとなくうつ病のような感じもするのですが。

その「感じもする」には根拠がありません。

(2014.4.5.)

05. 4月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症