【5017】引きこもりから脱し、大学卒業と就職も決まりました(【4378】のその後)
Q: 林先生、大変ご無沙汰しております。2021年9月の 【4378】性的虐待を原因とする引きこもりを脱したい の20代男性です。ご回答いただきありがとうございました。
中々お礼を申し上げることができず申し訳ありません。
今日は経過報告のためにご連絡させていただきました。
先生の回答を読んで、自分の様々な誤解を解くことから始めました。その結果、先生が仰る通り、性的虐待のトラウマに対しては投薬だけでなく多様なアプローチがあることを知りました。特にEMDR治療に興味を持ち、近所の精神科クリニックに一人で初めて行きました。
そこで先生のアドバイス通り、精神科Q&Aに送った文章をそのまま印刷して医者に見せた上でEMDRを受けたいと伝えることができたのです。すぐに総合病院への紹介状を書いてもらいましたが、総合病院でもEMDR治療の実践者がいなかったため大学病院に転院になりました。
大学病院でさまざまな検査を受けた結果、アスペルガー障害とPTSDの併発と診断されました。そして精神科医の定期的な診察と投薬と共に、臨床心理士によるEMDR治療を受けることになりました。
EMDRを受け始めて、被害の詳細を言葉で語る機会が生まれ、そのことが私を変えていきました。私は治療を受け始めてすぐに、被害のことを初めて母親に伝えることができました。
ただ母親は「カウンセリングが上手くいくように祈ってる」と言うだけです。
そのことに激しく失望し、私は母親をひどく罵るようになりました。私と母親が口論になっているのをみた叔父が仲裁に入り、その流れで自分は叔父に「こんなことになったのはあなたのせいだ」と初めて言うことができたのです。長年本当に溜まっていた恨みつらみを全て勢いのままにぶちまけて怒鳴りました。叔父はひたすら「傷つけてすまなかった、そんなつもりじゃなかった」と謝罪しました。
しかしそんなことで気は収まらず、それから自分の心は常に100%怒りに支配されて、ほとんど毎日のように叔父や母親を罵って生きていたような気がします。
母親の作る料理を食べるのをやめて自炊するようになり、洗濯も自分でするようになりました。
そうやって大学を休みながら、マグマのような怒りと共にEMDRを一年受けて、とりあえず急性の自殺の恐れはなくなり、自傷行為も減ったので治療は一度終了になりました。その後、地元のクリニックに転院となり、投薬とカウンセリングを受け続けました。
それから復学し、時間はかかりましたが今年ついに卒論を提出して大学を卒業します。アスペルガーと診断されて障害者手帳を取得していたため、大企業の障害者枠で就職先もすんなり決まりました。
現在、未だに叔父や母親と同居しているために、激しい怒りを制御するのに苦心しています。怒りをコントロールするためにDBTという治療方法があることを知り、半年ほど前から別のカウンセリングルームでDBT治療も受けています。
強い希死念慮が出たときはリスパダールを飲むことで耐えています。
現在も変わらず後遺症で苦しんでいて先が見えない状態です。
それでも林先生に
①これまでの経緯を医師に話すことは治療のために行うのであって、過去の叔父様の行為を非難しさらには訴えるためではない
②受診することは薬で治療することであるという前提が大きな誤りです。
③精神科を受診し、このメールに書かれた内容をすべて医師に伝えてください。
という具体的な指摘とアドバイスをいただけたおかげで、事態が大きく動いたことは事実です。そのことについて本当に感謝しています。
正直、自分がトラウマから脱して穏やかな日々を手に入れたら林先生に報告のお便りを送ろうと思っていました。しかしそれより先ず、先生のアドバイスのお陰で事態が動いたことと、何よりまだ自分が生きていることを先生にお伝えしたいと思い、今回数年ぶりに報告させていただきました。今まだ命が繋がっているのは間違いなく先生のおかげです。
当時相談に乗っていただきありがとうございました。
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。大学ご卒業ならびにご就職おめでとうございます。今後、ご病状がさらに改善・安定し、幸福な生活を送られることを願っています。また何年後かに、「トラウマから脱して穏やかな日々」、あるいはそこに接近しつつある日々のご報告をいただければ嬉しく思います。
(2026.2.5.)



