【5018】病名は本人に正しく知らされなければいけないのではないでしょうか(【5009】のその後)
Q: 【5009】紹介状開封のデメリットについて をお送りした20代女性です。ご回答ありがとうございました。
一点、紹介状に書かれていた病名と聞いていた病名が違ったのが気に掛かります。林先生の元にもよくそのような相談が来ていますよね。
癌の告知と同じく、全ての病気は本人に正しく知らされなければいけないと考えていたのですが、違うのでしょうか?
今回の件に関していえば
・おそらくどちらの病名でもさほど大きな違いはない
・薬の内容も変わらない
ため伝えなくても良いと判断されたのかと思いますが、これは正当ですか?
林:
癌の告知と同じく、全ての病気は本人に正しく知らされなければいけないと考えていたのですが
原則はその通りです。
しかし医療の目的は治療であって、事実を伝えることではありません。
精神科の臨床では、病名を伝えることによって治療に支障をきたしたり、治療そのものが不可能になる場合があります。精神科では病名を伝えること自体がすでに治療の始まりであるとも言えます。
たとえそのような事情があっても「病名は本人に正しく知らされなければいけない」という考え方ももちろん成立しますが、精神科の病気の現実に目を向ければ(そのごく一部は精神科Q&Aの実例から知ることができると思います)、例外が多々あることに多くの方は納得されると思います。たとえば【5016】のSさんに、統合失調症という病名を伝えれば、治療関係は成り立たなくなることは明らかでしょう。【5009】の回答の
精神科Q&A とは異なり、医療は患者本人のために行うものですから、診療では事実を本人に伏せることは少なからずあります。それを本人が知ってしまうことは、治療そのものの崩壊につながる可能性があります。
という記述の通りです。
なお、【5009】で告知病名と紹介状の病名が異なっていたことについては、そのような事情とは異なり、おそらくは質問者が推測されているように
・おそらくどちらの病名でもさほど大きな違いはない
・薬の内容も変わらない
ため伝えなくても良いと判断された
という理由だと思いますが、【5009】のケースの実際の病状や紹介状の内容についての具体的な情報がありませんので、わかりません。
(2026.2.5.)



