【4984】精神疾患と発話の明瞭さについて
Q: 私は30代の女性です。行政機関で働いており、業務の中で、精神疾患をお持ちの方と電話でお話しする機会があります。お相手は在宅で暮らしている方もいれば、入院中の方もいらっしゃいます。
疑問に思っているのは、精神科に入院されている方の中で、発音が不明瞭で聞き取りにくい方が少なくないことです(在宅で生活されている方ははっきりとお話される方が多いと感じています)。
会話の内容に関しては、まとまりがなかったり、妄想的なエピソードや現実的に難しいことを真剣に語られるなど、精神疾患の症状として理解できる部分もあります。
ただ、内容とは別に「発音そのものが不明瞭になる」という点については、精神疾患が関係しているのでしょうか。発音が不明瞭な方からの電話を受けると半分以上聴き取れないこともあります。
また、精神科病院に言語聴覚士が勤務されていることがあると思いますが、精神疾患の方の構音機能の向上を目的としたリハビリを行うことはありますか?
知的障害のある方の中に発話が得意でない方がいらっしゃることと関連があるのかどうかも気になっています。
恐らく、発音が不明瞭で聞き取りにくいのは、統合失調症の方が多いように思います(統合失調症や知的障害でもすらすらと非常にはっきりとお話される方も多いのは知っています)。症状として構音機能の障害が出るということはありますか?
言語の理解力・思考力低下に引っ張られる形で構音機能にも影響が出るということなんでしょうか。
林: 主として統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬の多くには構音障害(こうおんしょうがい)=呂律がまわりにくくなるという副作用があります。
発音が不明瞭で聞き取りにくいのは、統合失調症の方が多いように思います(統合失調症や知的障害でもすらすらと非常にはっきりとお話される方も多いのは知っています)。症状として構音機能の障害が出るということはありますか?
それは症状ではなく副作用でしょう。
(2025.9.5.)