【4944】病状が大きく改善しました(【3672】〜【4213】のその後)

Q:【4213】不安を訴えると薬の量が増えるのが怖いです。控えめに伝えた方がいいでしょうか の40代女性です。
最後の質問から4年経ちました。数ヶ月しか経っていないような感覚であっという間に時間が過ぎました。この間ほとんどこちらを訪れることはなく、質問したことを忘れていたくらいです。

読み返してみると、今とは全く違う状況で驚いています。通院の継続と適切な薬物療法で現在は症状がほぼなくなりました。主治医の先生にどんな風に伝えて今の薬になったのかあまり覚えていませんが、メインの薬はロナセンで1日12mgを使っています。伝えたことで覚えているのは額に第三の目があってそこから何かが入ってきて眠らせてくれない、という内容です。第三の目は今もありますが、睡眠は薬で何とか取れているし、何かが入ってくるという感覚もなくなりました。額が少し気になる感じです。
他の症状は消えました。薬はしっかりのんでいます。薬をやめたいと思うこともありますが、わたしにとっては必要なものなのかなと納得まではできませんが、仕方ないなという感じです。

林先生がお答え下さった通り通院を続け、言葉が出ないながらも何とか筆談などで症状を伝えて生活に支障がない程度になりました。日数や時間は減りましたが、パートの仕事もできています。もっとしっかり働きたい気持ちはありますが、休養を取りながらでないと続かず、この先もこのままなのかなと思っています。何故か分かりませんが、毎日仕事をしたり長時間職場にいることがむつかしいです。日数を増やすと朝動けなくなったり、時間が長くなると早退が増えたりします。これは症状なのでしょうか。疲れやすくなった気がします。

薬が必要と考えるのは、20歳頃に初めて精神科にかかってから今までの治療を振り返ると、抗精神病薬を使っていない時期は生活が成り立たなくなったからです。ひきこもったり、人が怖くなったり、見られている感覚があったりで、病気に振り回されていました。入院も何度もしましたが、クエチアピン200mgを処方されて初めてしっかり抗精神病薬を使ってから入院していません。何年前かは忘れてしまいました。その時から今までの間にも危機的な状況がありましたが、やはり抗精神病薬を使っていない時期です。わたしが症状を伝えきれていなかったせいだとは思いますが、不安障害と診断され抗うつ薬で治療していました。1年くらいひきこもるなど症状は悪くなる一方でした。その時の医師にわたしが話をしないので精神的な評価ができない、こちらのクリニックでの診察はむつかしい、他に行って下さいと言われ大きな総合病院に行きましたが、そこではほとんど治療されず今のクリニックに通院し始めたという経緯があります。

4年前やそれ以前の状況から考えて、今ではやはりわたしは統合失調症なのだろうと思うようになりました。現在の主治医の先生からは診断は聞いていませんが、経過からみてそれ以外ないだろうと思います。

通院はめんどうですが、続けるしかないと思っています。危機的状況に陥るのも、入院するのも嫌なので仕方なしです。今の薬は一生のまなければならない訳ではないから安心してと主治医の先生に言われましたが、薬なしではまた生活が成り立たなくなるのでは、と自分では思います。

今後どういう経過をたどるのか分かりません。また悪くなる時期があるのか、このまま安定して生活できるのか、はたまたより改善してもっと働けるようになるのか等、不安に思っています。

お読み頂きありがとうございました。

 

林: その後の経過をご報告いただきありがとうございました。質問者がお書きになっている通り、これまでの経過を振り返ってみると、
抗精神病薬を飲んでいれば症状は安定(または、症状はほとんど消失)
抗精神病薬を飲んでいなければ悪化
とまとめることができます。これは統合失調症の方の経過として最も典型的なものです。
ということは、抗精神病薬を飲んでさえいれば、安定が続くということです。実際、そのようにして健康な人と全く同様の生活を送っておられる統合失調症の方はたくさんいらっしゃいます。ところがこの【4944】のケースのように、「抗精神病薬を飲んでいれば症状は安定(または、症状はほとんど消失)」ということを理解してしっかりと薬を飲み続けることができるようになるまでには、再発を繰り返す方が多いのが実情です。【4944】の質問者のご経験をこのように多くの人に知っていただくことで、一人でも多くの統合失調症の方が抗精神病薬の必要性を理解されることを願っています。

(2025.4.5.)

05. 4月 2025 by Hayashi
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