【4937】発達障害かもしれない仕事ができない社員に困窮しきっています
Q: 私は34歳の女性で中間管理職をしております。
私の職場の58歳の社員の件で質問です。
彼女は、やる気がない訳ではないことは伝わるのですが(自分に何かさせて欲しいと懇願してきます) どれほど丁寧に仕事を説明しても、全うすることができません。
教わったときにとったメモやマニュアルを読みながら業務を遂行することもできません。
メモは走り書きをし、丁寧にノートに清書までしておりますが、それで満足してしまっているのかと思います。
常に注意力が散漫で、本人からメモを見ながら順番に仕事をしてる様子を隣でチェックしてほしいと要請され、見ていても、メモに書いてない行動をしたりします。
普段人に迷惑をかけたり、時間をとらせている自覚はあるようなのですが、気に食わないことがひとつでもあると、上司の私や、周りで働いてる社員に大きな声で怒鳴ってきたりするときもあります。
彼女は、以前別の部署で働いていた際、仕事ができないと判断され、仕事を回してもらえず、いないように扱われていた時期があったようです。
しかし、その部署の管理者が代わり、その状態を改善しようと彼女にも仕事をさせたところ、案の定ミスが連発し、周りのスタッフが尻拭いに追われる日々で疲弊していき、ある社員のご家族から、彼女を辞めさすよう申し出があり、異動を余儀なくされたとの事。
その後も異動を繰り返し、こちらに来ました。
発達障害の一種ではないかと思っていますが、毎回周りの社員が疲弊していくのが分かります。
私も、ストレスがない訳ではありません。
私は去年妊娠したのですが、流産しました。
もちろん彼女のせいではないですし、彼女は流産したことさえ知りませんが、私は毎日ストレスを感じており無理していたのではないかと自分を責めました。
日本の会社では、基本的に辞めさせることができないのは把握していますし、彼女は発達障害の自覚もなく、自主退職もないと思いますので、どこかの部署が引き受けないといけません。
このご時世、発達障害なのでは？診断を受けてみたら？とも言えず、 また、もしも発達障害と分かっても、障害者雇用となるのであれば給与も下がるでしょうし、浪費家な彼女は認めないと思います。
私の部下がストレスフリーに働くには、どうすれば良いのか頭を抱えています。
何か共存できるやり方はないのでしょうか。
林:
私の部下がストレスフリーに働くには、どうすれば良いのか
その方法はないと思います。まずこのことから目をそむけずに認識することが必要です。
「ストレスフリー」ではなく、「ストレスを軽減」であれば方法はあるでしょう。しかし、この方の状態からみて、周囲の方々にとって容認可能なレベルまでストレスを軽減させることはおそらく不可能でしょう。仮にそれができたとしても、その分のストレスをどなたたが引き受けることになり、それを引き受けるのは中間管理職にある質問者になる公算が高いでしょう。その結果は質問者がどこかの時点で耐えきれなくなって倒れ、結果的に職場が崩壊ないしは機能不全に陥るでしょう。
それでも最後までこの方との職場での共存を目指すのか。それをお考えになったうえで、管理職者としての行動をお決めください。
もしも発達障害と分かっても、障害者雇用となるのであれば給与も下がるでしょうし、浪費家な彼女は認めないと思います。
それを理由に、周囲の方々に多大な負荷をかけることを容認することが、管理職者として適切かどうか。それもよくお考えください。(暗に「それは適切でない」と言っているのではありません。それを考えることなしに容認し続けることが適切かどうかを考える必要があるということです)
発達障害であれ、他のいかなる障害であれ、障害を持った方との共存を目指すのは当然です。しかし職場というものは労働に対する対価を雇用者が支払うことで成立しているのであって、それは労働者が障害者であっても健常者であっても同じです。対価に見合う労働を提供できなければそれは契約違反です。
ここに「合理的配慮」という重要な概念があります。障害に対して、合理的な範囲で配慮をしなければならない。それは法律にも定められていますし、仮に法律に定められてなくてもその配慮は必要です。但しそれは合理的な範囲の配慮ということです。
繰り返します。職場の方々がこの方とともに働くことは相当に困難で、このままでは破綻が来ることは明白です。それでも最後までこの方との職場での共存を目指すのか。それをお考えになったうえで、管理職としての行動をお決めください。
(2025.3.5.)
