【4853】時折悪口を言われている気がするのですが、統合失調症でしょうか。病院を受診すべきでしょうか
Q: 30代女性です。初めてメールさせて頂きます。
統合失調の外来に受診しようか悩んでいます。
私の兄弟は現在発達障害で病院に通院しています。
個人的には子供のころからそうではないかと疑っていましたが、20代になってようやく病院に足がむいて医師から診断を受けました。
というのも実は兄弟よりも私自身がそうではないかと10代のころから考えていて、20代の初めに病院を受診しました。子供の時からうまく他人となじめず、いじめとまではいかないですがすれ違いざまに悪口を言われていたこともあり、なんとなく自分は他人と違うんだろうなぁと思っていました。しかし診断ではあくまで発達傾向があるに留まっていました。
30代になっても学校のときと変わらず、会社にも馴染めず仕事もうまくこなせないことから周りから信用を失い、こそこそ嫌みや悪口を言われるの繰り返しで何度も転職を繰り返すことになりました。
ただあるとき病院のHPをみていたとき、統合失調には幻聴などの症状があると書かれた内容を見てはっとしことがありました。高校生のときクラスメイトに悪口を言われると友人に相談したとき、そんなことはないのではと言われたことがあって、あんなにはっきり言われたのに聞こえないことなんてあるんだと驚いた記憶があったのです。
その一件もあって、愚痴を言っても余り聞いてもらえないんだと思うようになり、他人に悪く言われても余り話さなくなったのですが、もしかしてこれも症状のひとつだったのではと疑うようになりました。
10代と今では環境なども異なりますが、今も時折悪口を言われている気がしてたびたび会社を退職しようかと思い悩むことがあります。
ただ色々な方の情報や体験談を見聞きすると、仮に当てはまる部分があったとしても、発達障害を疑ったときのように、あくまで傾向にあるで終わってしまのではないかとも考えてしまいます。
ただこの症状を放置して、取り返しのつかないことになるのも恐ろしいのです。
このような中途半端な状況でも受診しても大丈夫でしょうか。
林:
30代になっても学校のときと変わらず、会社にも馴染めず仕事もうまくこなせないことから周りから信用を失い、こそこそ嫌みや悪口を言われるの繰り返しで何度も転職を繰り返すことになりました。
統合失調症の方が、このような経緯で転職を繰り返すというのはよくあるパターンです。このような場合、嫌味や悪口というのは、職場では現実にもありうることですので、そう感じるのが統合失調症の症状であることはなかなか気づかれにくく、病状が悪化してから振り返ってみて、症状だったとわかることも少なくありません。
高校生のときクラスメイトに悪口を言われると友人に相談したとき、そんなことはないのではと言われたことがあって、あんなにはっきり言われたのに聞こえないことなんてあるんだと驚いた記憶があったのです。
これも「振り返ってみて」わかる場合のひとつのパターンです。
そして、
その一件もあって、愚痴を言っても余り聞いてもらえないんだと思うようになり、他人に悪く言われても余り話さなくなったのですが、もしかしてこれも症状のひとつだったのではと疑うようになりました。
このようにして孤立していき、悩みが深まっていく、それも統合失調症の一つの典型的な経過です。
けれども、
ただ色々な方の情報や体験談を見聞きすると、仮に当てはまる部分があったとしても、発達障害を疑ったときのように、あくまで傾向にあるで終わってしまのではないかとも考えてしまいます。
「傾向」という言葉の適否は別として、ポイントとしてはおっしゃる通りで、「仮に当てはまる部分があったとしても」(【4853】の質問者の場合は「仮に」ではなく、確かにあてはまる部分がありますが)、それだけで統合失調症であるとか病気であるなどとは言えません。一過性に統合失調症とよく似た症状が出る場合や、他の病気や発達障害に伴って統合失調症とよく似た症状が出る場合もあります。
とは言え、
ただこの症状を放置して、取り返しのつかないことになるのも恐ろしいのです。
その通りで、【4853】のケースは、統合失調症である可能性もあるし、統合失調症でない可能性もあります。「どちらの可能性もある」というのはつまり何も言っていないのと同じようですが、ここでの意味はそうではなく、「統合失調症かもしれないので慎重に判断する必要がある」という意味です。
このような中途半端な状況でも受診しても大丈夫でしょうか。
受診してください。【4853】の状況は決して「中途半端な状況」ではありません。たとえていえば、身体の健康診断で、何か所見があり、その所見だけでは病気と診断することはできないものの、精密検査を要する、それに近い状況だと言えます。
また、仮に統合失調症という診断に至らなかったとしても、これまで続いていた「こそこそ嫌味や悪口を言われるという体験」は、精神科での治療によって改善することが期待できますので、その意味でも受診することをお勧めします。
(2024.7.5.)