【4795】私は本当に双極性障害なのですか?双極性障害たるものがないと思うのです

Q: 24歳女性です。
私は双極性障害だと医師に言われましたが、本当にそうなのか私には懐疑的なのです。

ただ、生きにくいと感じる部分もあり、どうか林先生の見解をお聞かせ頂きたいと思いメール致しました。双極性障害だろうとそうでなかろうと私の生きにくさに変わりは無いのですが、それでも真実が知りたく教えて頂けたらと思います。

私は幼少期より養父からの虐待を受けており、母も知的障害があったことから自己肯定感などそういう類の感情が圧倒的に低く、自分の記憶する限りでは小学4年時点で自殺願望があり、リストカットや縄で軽く首を吊るなどの自殺未遂をしていました(勇気が出なく、やり切れませんでしたが)。小学5~6年生では、あまり覚えていませんがクラスで調子に乗った発言や周りから注目されるためにあえて声を大きくしたり人と違う行動をしていることが多かったと思います(当時は中二病と思っていましたが、今思えば躁状態ではと思っています)。一方で、虐待を受けたあとなどは時計を見ながら「あと何秒数えればもう殴られない」「天国のお姉ちゃんが守ってくれる」(私に姉はいません)などの感情が出てきたり幽体離脱のような形で自分を遠くから見ている解離のような、現実逃避のような鬱状態がありました。(これは鬱というより虐待による解離かと思いますが)

明確に躁状態、鬱状態ではと感じるエピソードが出てきたのは中学頃だと思います。高校に入ってしばらくしてもそうでしたが、空気が読めず自分がクラスの中心でいたくて声を大きくしてみんなからの注目を浴びたいということであったり、調子に乗る(あとから後悔するようなこと)を頭に浮かんだことをすぐにしていました。高校に入って、この件でいじめのようなものにあったのと周りの友人にも沢山注意を受けて少しずつ周りをみたり空気を読もうとし始めたのが高校2年です。

そこからなんとなく改善はしていった(友人談)ものの、大学卒業までアルバイト先や部活など自分の好きな場所だと調子に乗る→あとから反省して落ち込む ということを繰り返していました。中学2年あたりからこの大学卒業までの時期、落ち込んでいる時期を「病み期」として呼んでいて、中学の頃の友人達からも私は感情の波が激しい、気分にムラがあるということは言われていてこの時の私の意識としては病み期と普通(普通と思っている時期に調子に乗った行動をするので躁状態なのかもしれません)の状態を行き来していたかと思います。この時のサイクルなどは覚えていません。思春期もあり、外的要因が大きかったかと思いますが特に何も無く気分が落ちることもあったと記憶しています。

話が前後しますが、高校3年の大学受験にあたって、中学2年時より在園していた児童養護施設との進学に対する考えのズレや現実的な金銭面の部分での不安から不眠や過呼吸、突然泣き出すなどの症状が出たためここで初めて精神科に受診します。当時は受験という大きな課題があったため適応障害だと言われていました。実際、受験が終わればそのような症状は改善されました。

大学4年時、就活終了後に当時の恋愛関係もあってか(自分でも理由は定かでは無いです)似たような状態になったため、家の近くの精神科に転院しました。そこでは適応障害ではなくうつ病もしくはうつ状態との診断を受けました。個人的に高校時代に通っていた精神科よりもこの大学4年時に受診した病院の医師との相性がよく、改善傾向にあったため現在もこちらの病院に通院しています。

その医師から現在、双極性障害と診断を得たのですが理由として以下の通りです。
①金遣いが荒い(少なくとも中学あたりから元々金遣いは荒かったため、病気のせいというよりは元々性格だと考えております)

②元気と自分が感じている時、睡眠時間が2時間などでも活動している。また、時間を有限に使いたいという気持ちが強く、無駄にしたくないので睡眠を取らないことがある(これは一時的な話で今はあまりありません)

③元気と感じている時、性的関係に奔放になり不特定多数の男性と関係を持ったり、風俗業に従事したりなどがある(服薬治療によりこれは改善されました)

④外的要因なしに気分の波がある

私が懐疑的な点として、双極性障害のサイクルに自分はあてはまっていないと感じるのです。

まだしっかり記録を取れていないのでなんとも言えませんが、外的要因に左右されない「病み期」と躁状態(服薬治療してから実感できるようになり、ソワソワが止まらず人に話しかけたくなる衝動でいっぱいになります)が1ヶ月起きに来て、躁状態はもっても3~4日、鬱状態は1~2週間続きます。

自分が少なくとも躁状態、鬱状態と使い分けていたり病識もなんとなくはあることからきっと林先生に双極性障害だとはっきり言ってもらいたいだけな気もしてきますが、このサイクルや期間の部分がネックなのです。

もしかしたら、私の甘えや気分なだけで双極性障害という病気ぶってるのでは?と感じてしまいます。

かかりつけにこれを話したところ、「少なくとも、甘えかも?と思っている時点で病気です」と言われましたが信じきれないのです。

また、話がややこしくなり恐縮ですが私は高機能自閉症の境界線ではと感じています(社会診断は予定していますがまだ受けられていません)

その理由として、
①人との会話の終わり方、終わり時が分からない
②世間話で何を話していいか分からない
③数字へのこだわりが人並み以上
④数字の瞬間記憶力が人並み以上
⑤特定の服、音楽などにこだわりが強い
主に、①や②の対人面での課題を強く感じていますが、私の生きにくさというのはこの高機能自閉症(まだ仮定ですが)に付随するもので双極性障害ではないのではないかとも感じています。

話が長文になってしまい、乱文もあるかと思いますがどうしても林先生の見解をお聞きしたく、自分の思いや考えを書かせて頂きました。

お忙しいとは存じますが、どうかお答えいただけますと幸いです。

 

林:
まだしっかり記録を取れていないのでなんとも言えませんが、外的要因に左右されない「病み期」と躁状態(服薬治療してから実感できるようになり、ソワソワが止まらず人に話しかけたくなる衝動でいっぱいになります)が1ヶ月起きに来て、躁状態はもっても3~4日、鬱状態は1~2週間続きます。

双極性障害と診断するための必要条件としては、それだけでほぼ十分であると言えます。少なくとも、最も考えられる診断名は双極性障害であると言えます。

私が懐疑的な点として、双極性障害のサイクルに自分はあてはまっていないと感じるのです。

確かに典型的なサイクルとは期間が一致しませんが、サイクルが典型的でないことだけをもって双極性障害を否定することはできません。どんな病気でも典型的でない経過をとるケースは膨大に存在します。

①金遣いが荒い(少なくとも中学あたりから元々金遣いは荒かったため、病気のせいというよりは元々性格だと考えております)

双極性障害の方の多くは、躁病相のときの状態について、元々の性格であると自認するものです。

②元気と自分が感じている時、睡眠時間が2時間などでも活動している。また、時間を有限に使いたいという気持ちが強く、無駄にしたくないので睡眠を取らないことがある(これは一時的な話で今はあまりありません)

双極性障害の症状にはフェーズがある、つまりどの症状も一時的なものですから、一時的であったことをもって双極性障害を否定することはできません。

③元気と感じている時、性的関係に奔放になり不特定多数の男性と関係を持ったり、風俗業に従事したりなどがある(服薬治療によりこれは改善されました)

それはまさに躁病相が薬で改善したということで、双極性障害の診断を支持する事実です。

④外的要因なしに気分の波がある

それはまさに双極性障害です。

高機能自閉症かどうか、また、虐待の影響がどうか という点については回答困難です。自閉症については、よほど診断が明らかなケースを別にすれば、メールの情報からいえるのは「その傾向がある」までで、それ以上の判断はほとんど不可能です。

(2024.2.5.)

05. 2月 2024 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 躁うつ病 タグ: |