【4726】「うつ病は甘えではない」とは言いますが、「甘えた考えを持つ人間はうつ病になり易い」といった事もないのでしょうか?
Q: 30代男性です。
20代の頃にうつ病を患い、1年半ほど休職をした経験があります。
現在は寛解をし、通院もしていません。
そこで、なぜ自分がうつ病になったのか、これを考えたときに、「甘えた考え」を持っていた事もその要因の一つではないのか?と、感じています。
ここでの私の言う「甘えた考え」とは、自他境界の曖昧さ、責任や期待、批判を受けることへの耐性のなさ、自身の思い通りに物事が進まないと気が済まないという性格などです。
私にはその様な性向、特に、受動攻撃を用いて他者を動かす、自身の非による批判を受けても自己正当化で受け流そうとする、そういった行動が同世代の他者と比較してもやや多く、そう感じた次第です。
実際に、その様な事はないのでしょうか?
林: うつ病は甘えではありませんし、甘えた考えを持つ人間がうつ病になりやすいということもありません。
但し、甘えた考えを持つ人間が、自分の考えは甘えではなく、自分はうつ病であると信じやすいということはあります。擬態うつ病の一部はそうした人たちです。
また逆に、うつ病の人は、自分は病気ではなく、自分の考えは甘えであると考えやすいということもあります。
ここまではほぼ確実に言えますが、この【4276】の質問は、その先に踏み込んだものであると解釈できます。つまり、質問者は、
私の言う「甘えた考え」とは、自他境界の曖昧さ、責任や期待、批判を受けることへの耐性のなさ、自身の思い通りに物事が進まないと気が済まないという性格などです。
と言っておられます。
すなわち質問者は「甘えた考え」を「自他境界の曖昧さ、責任や期待、批判を受けることへの耐性のなさ、自身の思い通りに物事が進まないと気が済まないという性格など」と定義しておられます。
おそらくこの定義に賛同する方もいらっしゃれば、それは甘えた考えとは言わない、と反対する方もいらっしゃると思います。
また、この定義は複数の特徴が列記されたものであり、さらに最後に「など」がついていますから、列記されたこれらのすべてを指すのか、一部を指すのか、「など」に何を含めるのか、によっても賛同するかしないかは変わってくると思われますので、すると質問者の「甘えた考え」の定義は、曖昧で、正しいとも正しくないとも誰にも言えないということになります。
結局のところ質問者は、ご自分の認識しているところのご自分の性格(など)を「甘えた考え」と定義し、ご自分のうつ病をその性格(など)と結びつけ、それを一般化して「甘えた考えを持つ人間はうつ病になりやすいのではないか」と言っておられるにすぎません。
したがって、ある意味この質問には意味がありませんが、質問者のこのような考え方は、まさにこの回答の冒頭に記した
うつ病の人は、自分は病気ではなく、自分の考えは甘えであると考えやすい
にあたる と言うことができます。
(2023.9.5.)