【4651】私の躁うつ病(双極性障害)は治ったのではないでしょうか
Q: 25歳女性です。
私はX年(当時23歳)の夏に2型の躁うつ病であるとの診断を受け、現在まで治療を続けておりますが、躁うつ病は治ったのではないかと疑問に思ったので、質問させていただきます。
経過としては、
X-3年初夏:当時通っていたA大学にて精神医学の初歩的な内容の授業を受け持っていた大学教員に、中学時代から抜毛症に悩まされて困っていること、人間関係に悩み小中高と同級生からのいじめに遭ったことなど思い出せる限りの生育歴を伝えたところ、発達障害の可能性があるとのことで精神科の受診を勧められました。
同年夏:A大学病院精神科初診
WAIS、P-Fスタディ、AQなんとかという自閉スペクトラム症の検査、CAARSを受けた結果、自閉スペクトラム症の診断を受けました。また、ごくごく簡単な教育実習など些細なことすら不安に思えて涙が止まらなくなってしまうことを主治医に伝えたところ、全般性不安障害であるとの診断も受け、抗不安薬のメイラックスとワイパックスを服用し始めました。
数ヶ月後…メイラックスが抗うつ薬のレクサプロに変更になりました。以後、量は変動しながらもレクサプロの服用はX年夏まで続きます。
X-2年夏:ストラテラ服用開始
診断書に適応障害、自閉スペクトラム症、ADHDとの記載あり
X-1年春:X-3年11月より参加していた発達障害の自助グループの参加者から性的暴力の被害に遭い、PTSDを発症し、四物湯と桂枝加芍薬湯を服用開始しました。これは飲んだり飲まなかったりを繰り返すうちにフラッシュバックをしなくなっていったので早いうちに服薬中止しました。
X年春:とある男性と1週間だけ交際した時期だったのですが、思えばこの時から躁(軽躁?)が始まっていたのではないかと思います。この男性とは交際した1週間の間、毎晩性行為を行っていました。(性的暴力被害のトラウマが強くあったにもかかわらず)また、毎日多幸感に包まれている一方でこの男性の一挙手一投足に常にイライラしていました。
また、上記の性的暴力被害について警察に通報し、刑事訴訟を起こしました。これについては、度々嫌な記憶を蘇らせなければならない辛さはありながらも、一つ一つ着実に事が進んでいったことで達成感のようなものも感じていた時期がありました。
さらに、就職活動が上手くいかないことから、訓練からやり直そうと思い、就労移行支援という障害者の職業訓練を受けることにしました。これについては、毎日通うのが楽しくて仕方がありませんでした。
加えて、週に1回B病院のデイケアを利用していました。内容は発達障害者の自己理解のためのプログラムでした。
そして、大学卒業を控えて卒業論文の執筆に取りかかった時期でもありました。
X年夏:訓練自体は楽しいのにその終わりに訳もなく泣いてしまうことが増えました。また、躁うつ病との診断を受け、レクサプロは中止し、ラミクタールの服用を開始しました。
X年秋:就労移行支援、デイケアを利用中止し、卒業研究に専念することにしました。しかし、精神的な負荷は軽くなったにもかかわらず、毎日のように訳もなく泣いて、体がだるくて重くて動けず、果ては何があっても(性暴力の被害に遭ったときさえも)思わなかった、死にたいという思いを抱くことも増えていました。
X年12月 A大学病院に入院
病棟内のイベントで司会を任されて張り切ってテンションが上がりすぎたせいで、その後風邪も相まって1週間寝込んでしまったのが入院している間の印象的な出来事です。
X+1年3月 退院
同年9月 大学卒業と同時に実家に戻り、現在に至る
退院してからは本当に何事もなく、時に退屈なほど穏やかな毎日を過ごしています。
1年も退屈なほどの穏やかさの中で暮らしていると、もう躁うつ病なんて治ってしまったのではないか、薬なんて飲まなくてもよくなったのではないか、などと思うことが多くなりました。
長くなってしまいましたが、質問としては、
・躁うつ病はたった1回の躁とうつとの交代のみで落ち着くことがあるものでしょうか
・私の躁うつ病は治ったのでしょうか、それともまだ再発の可能性は高いでしょうか
・服薬は続けていったほうが良いでしょうか
なお、現在の服薬内容は以下の通りです。
(いずれも夕食後)
ラミクタール200mg
エビリファイ12mg
ストラテラ40mg
どうぞ、ご回答のほど、よろしくお願いいたします。
林:
躁うつ病は治ったのではないかと疑問に思った
躁うつ病(双極性障害)は、「躁状態」と「うつ状態」と「どちらでもない状態」を繰り返す病気ですから、「どちらでもない状態」があるのは当然です。質問者はその「どちらでもない状態」を「治った」と解釈しておられるようですが、それは「治った」わけではありません。
・私の躁うつ病は治ったのでしょうか、それともまだ再発の可能性は高いでしょうか
上の通りですから、「治った」わけではありません。再発の可能性は十分にあります。
・躁うつ病はたった1回の躁とうつとの交代のみで落ち着くことがあるものでしょうか
あります。というより、上記の通り、「躁状態」と「うつ状態」と「どちらでもない状態」を繰り返す病気ですから、質問者の今の状態は、一回目の「躁状態」と一回目の「うつ状態」の後に「どちらでもない状態」が来ている状態であって、双極性障害としてごく一般的な経過中であるということにすぎません。
・服薬は続けていったほうが良いでしょうか
もちろんです。
(2023.4.5.)