【4460】自分が絶対に正しいと思い込む母について

Q: 私は20代後半の独身女性で、同居する母は60代後半です。

私が高校生の頃から母の性格がきついなあと感じるようになりました。それまでは私自身も子どもだったため叱られることも多く、きつい言動も「しかたないよな」と思えたので、その性格が際立って表出して見えなかったのかもしれません。
ところが高校入学あたりから普段の生活で叱られることがなくなり、成績なども悪くなかったので母から何かについて咎められるきっかけがほぼ消失しました。すると同時に母の言動が異常に見えるようになりました。

一番気になるのは自分の意見を絶対に曲げない点です。会話の中で古かったり明らかに間違った知識を信じこんで話し、こちらがそれを指摘しても聞く耳を持ちません。自分が正しく、間違ってるのはこちらだと言わんばかりに顔を真っ赤にしてわめきます。
他には記憶がおかしくなっているのでは?と思うことがあります。たとえば母のネット通販の支払いを代わりにコンビニですませてくる約束をしたとき、いざ代金を要求すると「とっくの昔に渡した」とくり返し、結局こちらが負担するはめになるということがありました。顔を赤くして興奮したあと、こちらが折れると勝ち誇ったように去っていきました。
父に対しても主に生まれ育ちのマウントをとりたがり、父自身や父側の親戚を見下す態度が基本です。父は診断こそされていませんがおそらく識字障害があり、自分の名前を書くのがやっとです。会話も成人にしては表現力がかなり低いというのもあって、母に攻撃なことを言われると単純な言葉でしか言い返せず、言いくるめられてしまうので相当ストレスがたまっているのではないかと心配しています。確かに娘の私から見ても父の生活能力の低さは気になるので怒られるのもしかたないなという場面も多いのですが、最近は暴言を言われている間じっと耐えるしかないというような諦めを感じます。
そして最近母が携帯をスマホに変えてYouTubeを見るようになってから、芸能ゴシップ系の話題をよく話すようになりました。よくある文字だけがずらずらと流れるような動画を見始めた様子です。あまりにもひどいときはそれは違うと指摘することもありますが、当然反論ししまいには世間知らず扱いです。今はまだ芸能関連の話題なのでいいのですが、陰謀論や似非科学系の動画を見てしまい影響されてしまうのが心配です。

質問したいのは、これらの言動はいわゆる「きつい性格」で片づけられる範疇なのでしょうか? 何らかの人格障害だったり、年齢的にも認知症を疑ったりするべきなのでしょうか?

 

林:
これらの言動はいわゆる「きつい性格」で片づけられる範疇なのでしょうか?

その範疇に入るかどうかはともかく(「性格」で「片づけられる」かどうかは、価値観によりますので、私が判定することはできません)、性格の延長として捉えられると思います。性格の延長が度を超えたとき、それは人格障害(パーソナリティ障害)と呼ばれることになります。
(「度を超えた」かどうかの判断にも価値観の混入は避けられません。ただし「片づけられる」かどうかの判断に比べれば、価値観の占める比率は小さいと言えます)

年齢的にも認知症を疑ったりするべきなのでしょうか?

そうすべきです。認知症になると、元々の性格が強調されることがあります。それが目立つのは特に認知症の初期で、認知症が進行すると他の認知機能障害(たとえば記憶障害など)の方が目立ってくることになります。

(2022.2.5.)

05. 2月 2022 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 精神科Q&A, 認知症