【4523】私も兄のように統合失調症になるのではないか
Q: 私は20代の男性でして、30代の兄が一人おります。 兄は統合失調症で、諸事情からただ今司法の手に掛かっています。もっと早く兄を医療に繋げられたら、と思わなくもないものの、以前の家庭内の状況に比べれば、だいぶマシになってきたと思います。兄に対する思いは、憎しみと殺意、やりきれなさが混じった複雑なものですが、自分と兄の関係性のことですし、本題から逸れるので今回は省かせていただきます。
今回ご相談にうかがったのは、自分自身のことになります。端的に言うと、兄が統合失調症ということから、「自分も兄のようになってしまうのではないか」という漠然とした不安がつきまとうのです。 自分自身、精神保健福祉を専攻しているということもあり、統合失調症の情報は集めています。遺伝要因と環境要因の相互作用が発症に関与しているらしい(遺伝要因だけではない)ということは理解しているのですが、貴サイトなどを拝見していると、どうしても上述の不安が強まります。 私自身、統合失調症まではいかないと思うのですが、人付き合いがそれ程得意ではなく、人とのコミュニケーション上において、奇異な部分(挙動不審、など)があるとよく言われます。また、中学時に通学中の電車の中に限って、「周囲から見られている」と感じて汗が流れ、また動悸が激しくなり、気分が悪くなることがありました(ニキビを気にした頃と同時期ですので、醜形恐怖なのかもしれませんが分かりません)。 また、死に別れた父が躁うつ病だったらしいことや、母が捨て子で、元々の家庭がアルコール依存でボロボロだった、という話を母から聞いたりしており、母は母で他にも話したがらない事情があるようで、これは遺伝的な負因がありそうだなぁ・・・、というような思いを抱くことがあります。 発症まではいかないとしても、自分にも兄と同じような脆弱性があるんじゃないか、と感じるのです。また、ゲイなため、社会的に受けるストレスも今後高まるだろうという予測もまた不安要素の一つです。改めて書き出してみると、何だか混沌とした経緯なのですが・・・。 今回質問させていただきたいことですが、具体的には、
1)「自分も統合失調症になってしまうんじゃないか」という不安をどう扱えば良いのか。
2)自分にも兄と同じような弱い部分があるとして、その弱い部分をどう扱えば良いのか。
の、2点になります。 1)、2)について、自分としては、
A 統合失調症を発症するかどうかは分からない
B 兄が発症したとしても、自分が発症するとは限らない
C 遺伝的な負因もあるとは限らないし、発症に繋がるとも限らない
D 仮に発症したとしても、社会的なサービスを使って生きていけば良い
E 大切なのは、自分の体調不良のサインを見極めておき、ストレスを溜めないこと
ということを考えるようにしています。 このメール自体も、自分の不安を見つめ直し、扱っていきたいという気持ちで書きました。お忙しい中、大変お手数をお掛けいたしますが、同じような不安を抱える方も少なくないと思います。お答えをいただけると、大変ありがたく思います。
林: 質問者がすでに知識として持っておられる通り、統合失調症には遺伝の要素が一部あります。お兄様が統合失調症であること、そしてここに書かれている質問者自身の体験をあわせると、
自分にも兄と同じような脆弱性があるんじゃないか、と感じる
その脆弱性は確かにあるでしょう。
したがって 1)2)の不安と疑問をお持ちになるのは自然です。
それに対する質問者のAからEは、どれも適切な考え方です。もう一つだけ挙げるとしたら、Eへの追加として、不調を実感したら早めに精神科を受診するということでしょう。
(2022.7.5.)