【4417】解離症状があるようなのですがそれでも統合失調症ですか(【4292】のその後)
Q: 20代後半女性です。 【4292】統合失調症でないなら私は何なのか でご回答くださりありがとうございました。
大事なのは診断ではないのですね。診断にこだわってしまった経緯としては、10年通っていた病院ではカウンセラーからは「解離性障害のような症状が多い」と解離性障害の本を貸して頂いたのですが、休職の診断書を書いてもらう際に医師の方からは「統合失調症として治療を行っていた」と言われ、それまで勝手ながら自分が解離性障害だと信じていたのでショックから大量服薬をしてしまった経緯があったためです。
ちなみに大量服薬をした際にリエゾン介入してくれた今の主治医は、解離性障害と診断をしてくれています。その主治医の勧めで障害年金の申請などをする際に、これまで転院した3つの病院の医師から「統合失調症」と診断されていたことを知り、「でも転院2軒目の医師は統合失調症らしくないと言っていたし、看護師の母からも「統合失調症とは思えない」と言われた。自分は一体何なんだろう」と悩み、林先生に相談させて頂いた次第です。
これまでの経緯の伝え方がめちゃくちゃになり、後出しのような情報をお伝えして申し訳ありません。
私自身が一番苦しくて困った症状をピックアップしてお伝えしていましたが、私には解離症状があるようで知らない間に人格交代をしているようです。ただ、これまで困り感がなく、症状としてカウントしてきませんでした。中には、同棲相手に包丁を向けて脅すような人格もいたそうですが、私には分かりません。困り感があったとすれば、気づいた時には知らない場所に立っていて、家までの帰路に困ったくらいです。
私は解離性障害の本を借りた際に、「加齢と共に症状が落ち着いていくケースが多い」と書いてあって、そこに希望を見出していました。だから症状に困り感はなくても解離性障害だと信じていた面がありましたが、統合失調症なら薬を一生飲み続けれなければいけないし、それならその病気と生きていくしかないと腹を括りたいのです。だから、どっちなんだという憤りにも似た思いが出てきてしまいました。
ちなみに統合失調症と診断された医師に、「なぜ解離性障害ではないのか?解離性障害にも幻聴はある」と伝えたところ、「幻聴の出現が長期で尚且つ、持続的だったため、解離性障害の幻聴とは異なると判断した」と返答をいただきました。私は「今も聞こえてる?」と尋ねられて「聞こえてる」と答えただけで、勝手に持続的だと判断されたように感じます。
今の主治医は解離性障害と診断してくれていますが、精神科救急で別の病院にかかる恐れがあった際に紹介状を書いてくれたことがあります。その中身を私は見てしまったのですが「被暗示性が高い」と記載されていました。これは暗示にかかりやすいということですか?中高生の頃の私は自分のことも含めて気になる年頃だったため、よく精神病理について調べたり、患者さんの手記なるブログを見たりしていたので、それを被暗示性の高い私が閲覧することで症状形成をしてしまった、ということでしょうか?
実は私の症状は思い込みによるもので、主治医には詐病なのだと考えられているのでしょうか?もし、そうなのであればビプレッソ徐放剤の効果を感じたのもいわゆるプラシーボ効果によるものだったのでしょうか?ただの思い込みで薬を飲まなくても良いなら、ぜひそうしたいです。
林先生のご意見を賜りたいです。よろしくお願い致します。
林: 追加の情報をいただきありがとうございました。
私には解離症状があるようで知らない間に人格交代をしているようです。ただ、これまで困り感がなく、症状としてカウントしてきませんでした。中には、同棲相手に包丁を向けて脅すような人格もいたそうですが、私には分かりません。困り感があったとすれば、気づいた時には知らない場所に立っていて、家までの帰路に困ったくらいです。
確かにこれらは解離症状と言っていいでしょう。
他方で【4292】で回答した通り、【4292】に書かれている内容(今回のメールから、それらが質問者にとって「一番苦しくて困った症状」であるとわかります)は統合失調症として矛盾はありません。
したがって、質問者の症状については、「解離症状を伴う統合失調症」としか言えません。そのような統合失調症は決して多いものではありませんので、このように記すことには違和感がありますが、【4292】【4417】の記載内容をあわせると、そのようにしか言えないということです。
質問者がご自分が統合失調症ではなく解離性障害であると信じたい気持ち、それと関連して薬を飲みたくないという気持ちがあることがメール記載から明らかですので、書かれている情報にかなりの偏りがあることも当然に推測でき、すると記載からは偏った全体像しか浮かび上がらないということになります。「解離症状を伴う統合失調症」という描写はそれに起因するのかもしれませんが、いずれにせよ、そのようにしか言うことはできません。
【4292】の回答に記した通り、診断名にこだわりすぎず、治療を続けることが第一です。
(2021.11.5.)