【4324】 微熱の原因は抗うつ薬でした
Q: 40代女性です。
うつ病で長らく(この辺りはあまり必要がないので詳しく書きませんが)アモキサンを中心に治療を続けてまいりました。
おととし1年間ほど、平熱が1度以上高くなる原因不明の微熱が続きました。高くなると38度は超えるので、仕事もつらい状況でした。その直前に職場が変わったので、心因性発熱を疑い、病院にも訴えたのですが、ストレスによる発熱ではないようだと判断され、ほかに病気があるかもしれないと、高いお金をかけて全身を調査いたしました。他に乳がんの既往症もあり、高脂血症などでも病院にかかっており、これらのどれかの薬で微熱が発生しているのではないかとの総合内科での判断がありました。
精神科のほうでは、何となくやる気が出ない日が続いていたので、イフェクサー70mgという薬を出してもらっていました。それは3年ほど前からです。ですが、微熱の始まる3か月ほど前から、イフェクサーを増量しました。140mg処方されていました。精神科で処方されている薬で微熱はないだろうと思っていたのですが、事情があり病院を乳腺外科と高脂血症を見てもらっているのと同じ総合病院の精神科に変わったとき、まだ30代くらいの若い先生が、多分イフェクサーでしょうと一発で突き止めてくださいました。イフェクサーの副作用であまり知られていないのですが微熱が出ることがあるのだそうですね。
確かにイフェクサーをやめると微熱は下がりました。つらい状況から解放されて本当にうれしかったです。
ですが本当の闘いはこれからでした。離脱症状がひどく、いっぺんにやめてしまっては、冷や汗、動悸、シャンピリ感がひどくとても正常に生活できませんでした。それは3日後から出てくる症状でした。ですので、時間をかけて減量となりましたが、それでもシャンピり感がひどくなかなか減量することができず、やっと1年かけて、断薬にこぎつけました。代理の薬は不要だということで出してもらっていません。
このメールは質問ではありません。精神科の薬は、症状に応じていろいろ出されることが多いですが、患者の希望に応じてどんどん出していると、こんな苦労をすることもあるのだということをお知らせしたくて書きました。今はアモキサンだけで活発な日常を送っています。仕事に趣味に穏やかな日常に、とてもうつ病患者とは思えないような日々です。確かにイフェクサーを飲んでいた時はやる気があったかもしれませんが、増やす必要はなかったのかなと思ったりしています。そういう時に、医者に「増やさなくてもいいのでは?」といえたほうがよかったのかなと思ったりしています。
こういうこともあります、という一例です。ご参考になさってください。
林: 微熱は抗うつ薬のごく平凡な副作用です。自律神経への作用によるもので、同様の副作用として頻脈があります。これは精神科の常識に属する事項です。この【4324】のケースのように38度を超えることは稀ですが(その場合は「微熱」とは言えないことになります)、抗うつ薬増量後に熱が上がったとのことですので、そうであれば、抗うつ薬の副作用の可能性を考えるのが常識です。
(2021.6.5.)