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う つ 病


もし人間に悲しみも苦しみもなかったら、喜びも幸せもないかもしれません。どんな悲しみの中にあっても、真っ暗な夜がいつかは必ず明けるように、いつかは気持ちは晴れ、新しい朝が訪れるものです。過去の悲しみや苦しみが、 一種の懐かしさとともに思い出されることもあるでしょう。ところが、うつ病の人が経験する暗い気持ちには、光が差すことがありません。夜は永遠に続くのです。励ましやなぐさめは空々しく感じられ、逆に絶望感を募らせるばかりです。うつ病の悲しみはふつうとは質の違うものです。うつ病は病気です。ただし 、

うつ病は治る病気です。

しかも治療は比較的簡単です。薬を中心とした治療で、8割以上の人が2-3週間 で回復に向かいます。つまり、治療さえすれば、うつ病は大した病気ではないのです 。ただ一番の問題は、うつ病の人の半分以上が治療を受けていないことです。その理由はいろいろあります。うつ病になりやすいのは真面目で責任感の強い人が多く、自分の問題は自分で解決しようという傾向が強いこともそのひとつです。また、周囲の人も、心の問題は医療の対象ではないと考えがちです。こうしたことのために、治療が遅れたり、まったく治療されなかったりということが起こるのです。

治療しなければ、うつ病は悲惨な病気です。

うつ病の絶望感はとてもつらいものです。将来には希望がまったく持てないばかりか、過去の自分の小さな行為に大きな罪悪感を持つこともあります。物事に対する意欲や興味は失われ、それまで好きだった趣味も楽しめません。仕事もできず、自分がまったく価値のない人間に思えてきます。イライラが増してくることもあります 。
深い悲しみも時が解決してくれる。うつ病の人を前にして、このように考えること は、本人をさらに苦しめることになります。うつ病の人は、将来の希望を信じること ができないものです。治療しなければ、うつ状態は一年以上続くこともあります。自殺の心配もあります。うつ病による自殺は、適切に治療を受けていればほとんどが避けることができるはずです。

うつ病の症状は全身にあらわれます。

心の不調は体にも影響します。朝早く目が覚めてしまい眠ることができず、そのため十分な休息を取れないことが状況を悪化させます。食欲もなくなり、たとえ食べても味を感じられなくなります。頭痛や全身のひどいだるさを感じ、何かほかの重い病気にかかってしまったと思うこともよくあります。体の不調を自覚しながら、いろいろな検査を受けても何の異常もない時も、うつ病の可能性が大です。

うつ病の原因は脳の中にあります。

脳は、絶えず活発に働いています。脳の中では、化学物質が作られ、その物質が分泌され、電気も起こっています。こうした活動に、体の運動や感覚はもちろん、喜びや悲しみ、そして体の調子を感じとるというような脳の働きが支えられているのです。
うつ病ではこうした化学物質の活動の調子が一時的に乱れていると考えられています。このため、健康な時とは質の違った悲しみや苦しみを経験するのです。
その乱れの根本的な原因はまだよくわかっていません。
ストレスや悲しい出来事が引き金になることもあれば、何のきっかけもなくうつ病になることもあります。もちろん遺伝的な体質も関係します。
はっきりしていることは、うつ病で起こっている脳内の不調は、医学的な治療によって治すことができるということです。


上の文章は、うつ病についてのエッセンスにすぎません。詳しくは うつ病についてのQ&A  の実際のケースの数々、さらには それは、うつ病ではありません! (林 公一 著 宝島社新書)うつ病の相談室(林 公一 著 保健同人社)ご参照ください。新書のほうは2009年に出版したもので、うつ病と似て非なるうつ病の区別を明確にすることで、うつ病とは何か を浮き彫りにした意欲作です。


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