【4226】アルコール依存性と飲酒運転について

Q: 私は30代前半の男性です。同い年の幼なじみの男性Aについて質問です。
Aとは小学校~中学校が一緒で、その他5名の同級生グループで現在も付き合いが続いています。高校、大学、就職先はバラバラでもグループで集まり月2回は飲んだりする仲でしたが、Aは仕事のプレッシャーが強く不安をよく話していました。
Aのことをおかしいな、と思い始めたのは彼に子供が生まれた時期と会社での人事異動が重なった20代後半のことでした。Aの奥さんも幼なじみの同級生なのですが、奥さんから「Aが飲酒事故を起こし車が破損してしまった」と泣きながら連絡があったのです。幸いAにケガはありませんでしたが、車が大破してしまったため私とグループメンバー2人で車の移動の手配や廃車の処分を手伝いました。Aはひどく酔っていたため記憶があまりないようでしたが、その後も5年にわたり計3台の車を廃車にする自損事故を繰り返しました。いずれも酩酊状態で起こした事故であり、3台目の車を破損した直後に精神科に入院、アルコール依存性の診断が下りたようです。

この入院中に本人と奥さんから詳しく話しを聞いたところ、朝から飲んで、と言うより飲みながら運転し出勤していたようです。仕事のプレッシャーがあったのは本人から聞いてはいましたが、その不安を軽減するため飲んで出勤していたのではないかと個人的に感じました。しかし最後の事故を起こした時期は仕事をしていなかったのですが、Aは車の中だと奥さんにバレずに飲めるんだ、と話しており車内からビールの空き缶が出てきたことが何度もあると奥さんは怒りながら教えてくれました。人身事故でもなく、本人もケガが全く無いとは言え車を大破するという大きな事故を連続で起こしたという意識に欠けているようにしか見えず 「これだけ車が壊れても無傷のオレはラッキーだった」と発言したAの運転のモラルの低さに呆れてしまい、連絡も久しく取っていなかったのですが、先日実家近くで偶然会った際「飲酒が原因で免許取り消しになっていたが、取り消し期間が明けたのでまた取りに行こうと思う」と発言したため「お前に運転する資格は無いと思う」と返答すると物凄い勢いで反論し「じゃあオレがまた飲むと思っているんだろう」「この田舎じゃ車は必要不可欠なのはお前も知ってるだろう」と怒鳴ってきました。グループメンバーからAが数ヶ月に一度はビールを飲んでいるのが奥さんに知られよく言い合いになっていると聞いていたので断酒は出来ていないと思われます。
しかし私としては、仮に断酒出来ていたとしても車という「1人で誰にも邪魔されない空間」が彼の飲酒欲求を強く駆り立てるのではないかと密かに恐れているのです。
アルコール依存者が全員そうであるとは思いませんが、少なくともAにとって運転と飲酒は強く結びついていると考えます。
非常に長くなりましたが、林先生の見解をぜひお聞かせください。

 

林: せっかくのご質問ですが、「見解」はあまりに漠然としていて何を求められているのか把握できず、また、そもそもこの精神科Q&Aは事実を回答するものであって私の見解を披露するものではありません。事実の回答と一体になる場合は見解をお示しすることもありますが、見解のみをお示しすることは原則としていたしません。
ただこの質問メールは、質問メールそのものが事実の供覧という性格を持っていますので、掲載することに意義があると考え、掲載させていただくことにしました。質問者にはご要望にお応えできない形で申し訳ありませんが、意義のあるご質問をいだいたことに感謝いたします。

(2021.2.5.)

05. 2月 2021 by Hayashi
カテゴリー: アルコール依存症, サイトの方針, 精神科Q&A