【4253】 ベンゾジアゼピンに身体依存はないのでしょうか

Q: 私は統合失調症の30代男性です。ベンゾジアゼピンは安全といわれて精神科でいろいろな場面で睡眠薬や抗不安薬等に使われていますが本当に身体依存はないのでしょうか?
主治医に言わすと精神依存は考えられるが身体依存は考えにくいとの見解でした。MRに聞くとイギリスやアメリカでは依存症のエビデンスが出ていると聞きましたし新聞にも載っていましたしどうなのでしょう?

 

林: ベンゾジアゼピンには依存性があります。依存性に限らず、またベンゾジアゼピンに限らず、どんな薬にも副作用はありますから、薬を使うか使わないかは効果と副作用のバランスを考えて決めるものです。質問者は統合失調症であるとのこと、統合失調症の治療のためにはベンゾジアゼピンを使う必要はないというのが医学的には正しいとされていますが、実際には不眠等に対して使うことがしばしばあります。
ご質問文にある精神依存と身体依存は、明確には区別できるとは限りませんが、ベンゾジアゼピンは離脱症状がありますから、明確に身体依存ありと言えます。もちろん身体依存があるという事実と、その薬が良いか悪いかということは全く直結しません。繰り返しになりますが、薬を使うか使わないかは効果と副作用のバランスを考えて決めるものであって、いかなる薬にも副作用があり、身体依存はその副作用の一つであり、身体依存があるという事実に基づいてその薬の良い・悪いを決めることはできません。

(2021.3.5.)

05. 3月 2021 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 薬の副作用