【4117】私はうつ病なのか双極性障害なのか、長く内服治療が続いているこの状態が治るのか

Q: 30代女性です。 私はうつ病と診断されて4年になります。
初期症状は気分の落ち込み、不眠、易疲労感、焦燥感、興味の喪失でした。
近くの心療内科を受診し、当初は仕事に関する適応障害との事でパキシルやリフレックスを飲んでいましたが改善せず、こんなにしんどい思いをするなら死んだ方がマシという希死念慮が出てきたため精神科病院に紹介されて受診。
そこでうつ病と診断あり、3ヶ月休職しその間入院で薬剤調整を行いました。
三環系の薬を試し、その中でアナフラニールが合ってうつ症状はどうにか落ち着き復職できました。
その後補助的な気分安定剤や眠剤を外しながらアナフラニール単剤で治療をしていたところ、およそ1年半後に焦燥感としんどさがぶり返し、ちょうどその頃退職する予定だったので今度は在宅での薬剤変更になりました。
この時、気分の波がないか主治医に確認されます。
聞かれた後よく考えれば今までの人生、反抗期や思春期のせいかとも思われるものの、3年ぐらいの周期で傲慢な考えや態度を取る時期やその後つきものが落ちたように反省して落ち込み態度を改める事があった気がして、それを伝えたのです。

その後の処方は
リーマス800mg、セロクエル200mg
→しんどさは改善するがリチウム中毒
ラミクタール200mg、リーマス400mg、セロクエル200mg、エビリファイ1.5mg
→ 今なら何でもできる!という万能感、高揚感が出現
ラミクタール200mg、リーマス400mg、セロクエル200mg、エビリファイ1.5mg、 エビリファイ12mg頓用
→頓用使用して高揚感が落ち着き少し気分が落ち込む
ラミクタール200mg、リーマス400mg、セロクエル200mg、エビリファイ1.5mg
→ うつ症状は小説のような長さの文章が読めない、易疲労感、外出のあとや残業が続くと調子を崩す程度、高揚感の出現なく1年この内容で内服し現在に至る

先生にお聞きしたいのは、私はうつ病なのか双極性障害なのかということと、長く内服治療が続いているこの状態が治るのかという2点です。
障害者手帳の診断書にはうつ病と記載されており、主治医に本当に治るのかたずねると「絶対治るから!色々な治療法を持ってるから大丈夫!」と断言されるのみでした。
確かに今は3ヶ月に1回の受診に減りましたし、パートですがフルタイムで働いています。
でも4年経つのに治りません。
今の薬を飲まないととても日常生活を送る事ができません。
私は精神科の経験はありませんが看護師なので、双極性障害は治癒せず寛解という状態になる事を知っています。
治療に対する熱意を感じられる今の主治医を信頼しており、一度もセカンドオピニオンを受けた事はありません。
でも私が今どんな状態で、このままの治療で本当に「治る」状態に持っていけるのか不安です。
上記のつたない情報でわかる範囲で先生にご意見をお聞きしたいです。

 

林:
→ 今なら何でもできる!という万能感、高揚感が出現

経過中このようなエピソードが見られている以上、診断は双極性障害であると考えるのが妥当です。但しこのエピソードの持続期間が記されていませんので、もしごく一過性であったのであれば何とも言えないということになりますが、処方歴をみますと、ほぼ常に気分安定薬(リーマス、ラミクタール等)が出されていますので、主治医の先生は双極性障害と診断している、あるいは、躁状態が顕在化していないくても双極性障害の要素があるうつ病であると診断しているとみることができます。

長く内服治療が続いているこの状態が治るのか

このご質問は、(1)薬を飲まなくてもいい状態になるのか (2)薬を飲んでいる今の状態はさらに改善が見込まれるのか の2つのどちらの意味であるかわかりかねますが、(1)だとすれば、それはあまり期待できないと言えます。すなわちこれまでの症状と経過からみて、薬をやめれば悪化する確率はきわめて高く、薬は飲み続けなければならないと判断できます。(2)については、現在の状態についての、

→ うつ症状は小説のような長さの文章が読めない、易疲労感、外出のあとや残業が続くと調子を崩す程度、

という記載が、質問者にとって、まだまだつらいという意味なのか、それとも、まだ100%良いとは言えないがこのくらいであればよいという意味なのかわかりかねますが、「易疲労感、外出のあとや残業が続くと調子を崩す程度」に着目すれば、生活様式に注意することで、より良い状態になることは期待できると言えるでしょう。他方、双極性障害では、ほぼ寛解になったといっても、軽いうつ状態が持続するケースが一定数存在することは事実ですので、この【4117】の今の状態は、完全には良くならないという可能性も現実のものとして考える必要があるでしょう。

(2020.9.5.)

05. 9月 2020 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A, 躁うつ病 タグ: |