【4127】夫は本当に躁うつ病でしょうか。日常でも時に爆発するのですが。

Q: 夫の病気のことについてお尋ねいたします。夫は50代で病名は躁うつ病です。

10年前
大きなストレスがあり暴力的な行動をする。家具 ソファーなどを屋外に捨て火をつけて燃やす。
室外機を壊すなど。
数時間後には落ち着いて反省する。

3年前
鬱状態になる。疲れがたまり朝起きられない。仕事に行きたくない。2.3日休む。十分に寝られない。
精神科に掛かるつもりが、内臓の病気が見つかり手術 休職としている間に欝は治る。

2年前
また鬱状態になる。疲れがとれず朝起きられない。仕事にいけない。眠れない。
精神科にかかり、抗うつ薬と睡眠導入剤の処方のおかげで1ケ月の休職の後復職。
6ケ月後 薬をやめてもいいといわれるが、本人がまた鬱になるかもと不安がるので、本人が納得するまでトフラニール夜1錠を続ける。

半年前
少し鬱っぽくなる。疲れがとれない。元気が出ない。仕事にはいけるし食欲も変わらないし、睡眠も取れるがトフラニールを朝1錠 夜1錠に増量する。1ケ月ほど続ける。

3ケ月前
鬱が治り元気になり明るく 意欲的になる。
そんな中 お酒の量が過ぎることを注意したことが発端になり激しく怒る。
ふすまを10枚ほど壊す。
この時点で病名が躁鬱病にかわり、リーマス デパケンの服用を始める。

最初の躁から 鬱までの間の7年間の様子。
線香のにおいが苦手で、リビングまでにおってくると食器を投げつけて怒る。
テレビのボリュームが大きいとメインのスイッチを消して誰もテレビを見られなくする。
食事中気に入らない事が会話に出てくると家中の電気のスイッチを消してしまう。
性的な逸脱とか高価な買い物とか私が知らないだけなのかもしれませんが職場でのトラブルもなかったと思います。
鬱も2回ありますが 双方とも軽いと思います。
夫は本当に躁鬱病なのでしょうか。性格でしょうか。

リーマス デパケンは 生涯のみ続けたほうがいいのでしょうか。
担当医は本人が困らず家族も許すのであればやめるという選択もあるといいます。
また再発したときに治療を再開するという方法です。
ただこのときリーマスの効き目が今と同じだけは期待できないかもしれないといわれました。
セカンドオピニオンを受けた医師は、確かに躁の状態はあるけれども、躁鬱病とは決定できないといわれました。
ただ仕事を続けている間は飲んでいたほうがいいだろうとの事です。
この医師からは2回目の躁は 薬による躁転かもしれないといわれました。

病気と知らずに薬を飲んでいなかったときと 今とを比べても変わりが無いように思うので、やめてもいいようにも思うし、薬のおかげで 今の状態でいられるのかと思ってもみたりしています。
ただひとつ言えることは、激しい暴力は確かにとても困ります。
でも時としておこる 日常の怒りもとても困るのです。家族は常に爆弾を抱えているようで、夫を怒らせないように気をつけて生活しないといけないのです。
娘から言われました。「最近の夕食はお父さんが怒らないから おいしいね」と なんだか涙が出てきました。

 

林: この経過の記載からは、躁うつ病(双極性障害)の躁状態が存在したかどうかがよくわかりません。躁状態かもしれないと思われるのはすべて「キレる」という形で、典型的な躁状態であるとは言えません。そうは言っても、そのような形を取る躁状態もありえますが、この【4127】の「キレる」というエピソードは、ある時期(すなわち躁病相)に特定せず、日常的にも時に発生しているようですので、そうであれば双極性障害の躁状態と判断することはできません。
したがって、

セカンドオピニオンを受けた医師は、確かに躁の状態はあるけれども、躁鬱病とは決定できないといわれました。

という見解は正しいように思えます。

この医師からは2回目の躁は 薬による躁転かもしれないといわれました。

これも「かもしれない」という範囲において、正しいように思えます。

但し、セカンドオピニオンの医師の判断は、それまでの経過を聴くことに基づいていますから、メールに基づく私の判断と一致することは当然とも言えます。そのような判断よりも、症状を直接にみている主治医の判断の方が正しいとするのも妥当な考え方です。

結論としてはこの回答の冒頭の通りで、この経過の記載からは、躁うつ病(双極性障害)の躁状態が存在したかどうかがよくわかりません。したがって薬に関しても、飲み続けることが適切かどうかわかりません。

(2020.9.5.)

05. 9月 2020 by Hayashi
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