【4081】双極性障害と診断されているが統合失調症ではないか

Q: 30代前半、女性です。双極性障害と診断されていますが、統合失調症ではないかと思っています。一年前、会社で働いているときに同僚の人から「キチガイ」「クビにする」と声が聞こえ、それ以外でもわたしの噂話をする声が聞こえるようになりました。仕事中そういった声が気になり業務が進まず、夜に泊まりがけで働くことにしました。すると、夜中のオフィスの廊下から自分の噂話をする声が聞こえてきて、会社の人が泊まり込んでいるわたしの様子を廊下から監視していると感じました。
家に帰ってお風呂に入ろうとすると、「うわ。おっぱい触った。」などの声が聞こえ、部屋に監視カメラとスピーカーがついていると思い、この部屋から逃げなくてはと実家に帰りました。実家に帰る途中の電車でも「笑ってるぞ。」「逃げるなんて命がけだな。」など聞こえ、実家では「エロビデオの撮影をするぞ。」「この家の会話レベルは高い。」などの声が聞こえました。声は複数いて、高い声のおばあさんと若い女性。中年の男性の3人の声がメインでした。様子がおかしいことに気がついた家族が病気について調べ、精神病院へ行きました。即入院となり、ジプレキサ7.5mgが処方されました。3ヶ月入院しました。入院当初はベッドの上に座ると 「韓国人の座り方だ。こいつは日本人じゃない。」などの声が聞こえていましたが、ジプレキサとリスパダールを飲むと声が小さくなっていきました。退院し、仕事に復帰した後も男性が怒鳴るような声が聞こえる日がありました。ジプレキサを飲んでから体重が20kg増えたので、声は聞こえなくなっていましたが薬を変えてもらうよう医師に頼みました。シクレストを朝と晩に5mmづつ処方されましたが、シクレストにしてから自分の考えていることが声になって聞こえてくるようになりました。だいたい午後から聞こえ出して、自分が考えたことを、少し遅れて声が言ってくるのが寝るまで続きました。朝になると声は聞こえなくなりました。それでジプレキサに薬を戻してもらいました。ジプレキサを飲むと声は聞こえません。これらのことから、ネットで調べてわたしは自分が統合失調症ではないかと思っています。が、医師は双極性障害だと言います。統合失調症と双極性障害は近い病気で、もしわたしが統合失調症なら言ってることが支離滅裂になるはずだから、統合失調症ではないと言われました。わたしは統合失調症ではないのでしょうか?

 

林: 統合失調症だと思います。

もしわたしが統合失調症なら言ってることが支離滅裂になるはずだから、統合失調症ではないと言われました。

その説明はでたらめです。統合失調症だからといって、言っていることが支離滅裂になるとは限りません。というより、言っていることが支離滅裂になるのは統合失調症の一部にすぎません。このメールの内容から見る限り、あなたは統合失調症だと思います。

但し医師の説明のうち、

統合失調症と双極性障害は近い病気

という部分には正しい面があります。
そしてこの医師が、

統合失調症と双極性障害は近い病気で、もしわたしが統合失調症なら言ってることが支離滅裂になるはず

とおっしゃったのだすると、この医師は、内因性精神障害のうちの支離滅裂になる一群のみを統合失調症であると呼んでいるのかもしれません。その考え方が絶対に間違いであるとまでは言えませんが、現代の精神医学の標準的な考え方からは著しく逸脱しているとは言えます。

(2020.7.5.)

その後の経過 (2021.4.5.)

05. 7月 2020 by Hayashi
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