【4070】元々の性格なのか症状なのか?

Q: 姉は20代で、院卒業後も資格勉強を続けています。
私は姉の統合失調症を疑っていて、その理由は、
1、試験に落ちるぞという幻聴あり(ここ1ヶ月)
2、受かるために寝ずに勉強するというなど話が理性的でない、説得しても話が通じない
3、院や予備校で嫌がらせを受けたなど、被害妄想のような話をする
4、叔父が統合失調症
です。
けれど、
1、試験のプレッシャーが原因
2、元々子供の頃から感情的で、こだわりや思い込みが強い性格
3、他人を気にする性格。事実確認が取れてないので真偽が不明。
4、叔父と幼少期が似てないこと(叔父は統合失調症に多い大人しい子供だったらしいが、姉はお調子もの)
という要素もあります。なので、他の家族は元々姉が変わっているだけだと考えてます。私としては、確かにその要素もあるけれど、家族が気づいてないだけで段々酷くなっているのでは?と不安です。全然考えが理解できないことがあって悲しいです。
このままの状態で、勉強で成果が上がるとも思えません。
両親は反対してるのですが、今のうちに無理にでも病院に連れて行った方がいいでしょうか?

 

林: お姉様は統合失調症の可能性がきわめて高いと思います。

他の家族は元々姉が変わっているだけだと考えてます。

とのことですが、それはお姉様について、統合失調症であると思いたくないという願望の現れであって、事実についての冷静な判断ではないと言えます。
記載されている4項目が、「元々姉が変わっているだけ」と考える理由と思われますが、

1、試験のプレッシャーが原因

それはそのように考えることが可能というだけであって、今のお姉様の症状は試験のプレッシャーだけで現れるものではありません。

2、元々子供の頃から感情的で、こだわりや思い込みが強い性格

それは統合失調症を否定する理由にはなりません。

3、他人を気にする性格。事実確認が取れてないので真偽が不明。

それは統合失調症を否定する理由にはなりません。

4、叔父と幼少期が似てないこと(叔父は統合失調症に多い大人しい子供だったらしいが、姉はお調子もの)

それは統合失調症を否定する理由にはなりません。
叔父様と同じ病気ではないと思いたいという気持ちが、4、を統合失調症を否定する理由としてあげさせていることは明らかです。そもそも、2、の「こだわりや思い込みが強い性格」と4、「お調子もの」は矛盾しているのではないでしょうか。ここにも統合失調症を否認したいという気持ちが如実にあらわれています。すなわち、2、の「こだわりや思い込みが強い性格」は、お姉様の性格の中の現在の症状に似ている部分を抽出して、「今の状態は病気ではなく性格」と判断する根拠とされ、4、「お調子もの」は、叔父様の幼少時の性格に似ていない部分を抽出して、「今の状態は病気ではなく性格」と判断する根拠とされています。つまりご家族は、お姉様は統合失調症でないという結論を大前提として、事実の中からその前提を支持する内容を恣意的に抽出しています。

ご家族が現実から目をそむけようとする姿勢が、治療を遅らせ、悲惨な経過・結末に至らせることが、統合失調症ではしばしばあります。このままですとこの【4070】はその典型的な一例になるでしょう。

(2020.7.5.)

05. 7月 2020 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |